北朝鮮問題~非核化よりも各国が狙っていることとは?
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3/6(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
文在寅大統領の卓上で動く南北、米朝関係
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター富坂聰(ジャーナリスト・拓殖大学教授)
韓国主導で動き出した朝鮮半島問題~光る文在寅大統領の外交センス
韓国政府が派遣した特使団が、北朝鮮の金正恩委員長と会談した。非核化問題や米朝対話については不明だが、朝鮮中央通信は金正恩委員長が「満足いく合意をみた」と報道した。日本でも避けて通れない北朝鮮の核問題と韓国の狙いについて、文在寅大統領の外交センスを高く評価する富坂聰が解説する。
高嶋)韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長をトップとする特使5人が、金正恩さんと会ったようです。朝鮮中央通信によると、「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、韓国特使団との面会で、南北首脳会談に関し、満足する合意をした」そうです。具体的内容は不明のようです。この前には「文在寅大統領の親書を渡した」という情報も入ってきています。こちらはかなり具体的ですね。富坂さんはこれまで文在寅大統領の外交センスを支持していますが、「思うとおりに動いている」というシナリオを感じさせます。
富坂)そうですね。そもそものきっかけは、韓国がこのまま動いてしまうと、おそらく米朝会談は北京主導でやる。こうなったら3カ国で、ここに韓国が入る余地がない。
そもそも朝鮮半島の問題は南北問題なのに、韓国の席がないところでいろいろ決まってしまうのは、屈辱的なことですよね。そこで韓国は外交攻勢をかけたのだと思います。そこがやはり文在寅はなかなかの嗅覚だな、と見ていたのです。
それ以降、平和攻勢がいいかどうかは別ですが、主導権は韓国になってくる。すると世界メディアが「文在寅と北朝鮮がどういう接見をするのか?」と。これにアメリカがどう関わるかですが、ときどき「会ってもいい」とか、メッセージを出してくるでしょう? そうなってくると、流れが出てくる。実際、水面下で北朝鮮も、アメリカに対していろいろメッセージを送っていますから。いろいろなところで、恐らく接触もしています。だから、米朝間でも進んでいることが、文在寅が作り上げた卓上で、動き始めたことになります。「非核化より朝鮮半島への自国の影響力」という大国の現実が見えていない日本
高嶋)日本はずっと「最大級の圧力」ということで、アメリカにもそれを呼びかけ、実際に行われているわけですけどね。アメリカは「交渉はしない」というようなことをずっと言っている。すると、端から見ている我々は「北が核放棄するわけがないから、これはいつまで経っても平行線に過ぎない」とか、「そのうち、喉を締め上げられて、生活や土地がどうにもならなくなれば、白旗を掲げるかな」とか思ったりしていますが、富坂さんはぜんぜん見方が違う?
富坂)そうですね。圧力をかけ続けなければいけないのは、朝鮮半島の非核化という意味ではそんなに間違いではないと思うのですが、現実的なことを見れば、この問題というのは、「核を取り上げる」というゲームと、もう1つは「その過程で朝鮮半島にどう自分たちの影響力を伸ばすか」というゲームがあるので。後者の方が、大国としては興味があるというのが、日本はあまり見えていないのかな、と思います。
つまり「金正恩が核保有していても、自国に圧倒的有利ならいいや」という判断を、いろいろな国がするわけです。高嶋)日本は、それが1番怖いのですね。
富坂)実際そうでなければ、島根県くらいのGDPの、人口たかが2,000万人の国が、あんなことで生き残っていけるわけがない。そもそも、バルカン半島にしても朝鮮半島にしてもインドシナ半島にしても、戦争の舞台になるところは、必ず大国の思惑で空白ができるのですよ。
高嶋)北側はアメリカを納得させるような切り札はあるのですか?
富坂)たとえば、一気に核放棄をせずとも、意志を示す1つのおみやげを持ってくるとか。ICBMを形式上、放棄するとか。昨年15発くらい撃っていますが、最後の2回は再突入は実質的に失敗していると言われているのです。だったらもう止めてしまうとね。
高嶋)「1万3,000キロ。つまりアメリカに届く」というのを止め、核は持つ。するとアメリカにとっては「ウチに飛んでこないなら妥協してもいいかな」となる?
富坂)「1回はテーブルについてもいいかな」と。ようするにアメリカとしては「核放棄させる」という旗は降ろせません。しかし、北朝鮮も「核放棄した」とは言わないけれど、流れとしては……となる可能性もあるかもしれない。
高嶋)具体的になってきましたね……
高嶋ひでたけのあさラジ!
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