3月8日(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④
アメリカ国家経済会議のゲーリー・コーン委員長が辞任を表明
7:16~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)
現実派・国際協調派のコーン委員長が辞任、高関税への反対
アメリカのトランプ政権で経済政策の司令塔を務める国家経済会議のゲーリー・コーン委員長が6日、辞任を表明した。鉄鋼とアルミニウムに高い関税を科す輸入制限に強く反対していたが、トランプ大統領が強行する考えを変えない為、辞任を決断したと見られている。
トランプ大統領は鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を科すとしまして日本を含む全ての国の製品が対象になる見通しで、近く正式決定する方向です。この輸入制限を巡りまして、NEC(国家経済会議)のゲーリー・コーン委員長が6日、数週間以内に辞任すると表明しました。
コーン委員長はこの輸入制限を巡って賛成派のロス商務長官らと対立していたようです。このコーン委員長というのは投資銀行大手ゴールドマンサックスの社長兼最高執行責任者からトランプ政権に入りまして、法人税率の大幅引き下げを柱とする税制改革に尽力した人物です。後任につきましては対中強硬派として知られ、現在はホワイトハウスで貿易政策を担当していますピーター・ナヴァロ通称製造政策局長らが軸になるという風に見られています。
一方、EUのヨーロッパ委員会はこの輸入制限が発動された場合にはWTO(世界貿易機関)への提訴。それからアメリカ製品への報復課税などの対抗措置を取ると正式に表明しました。報復対象のリストを近く公表するということですが、対象品目にはバーボンやオレンジジュースなどが含まれるということです。一方日本は冷静に受け止めておりまして、強硬姿勢とは今のところは一線を画しているという状況です。
トランプの狙いは中間選挙のための支持層へのアピール
高嶋)トランプ大統領の本音はどこにありますか?
山本)本音は一言でいえば中間選挙睨みでしょうね。これは国の政策というよりはトランプを支持している30数%の選挙民に受ける政策、これを狙ってきたとしか理解ができないですね。
高嶋)アメリカの国内の鉄鋼っていうのはどういうことなんですか?
山本)アメリカっていうのは勿論当初、建国の早い段階では鉄鋼王国として成り立って行くわけなんですけど、今の状況でいうと例えば鉄鋼製品全般でみるとカナダの比率が最も高いとかですね。その後欧州、日本、韓国なんかが入って、中国の比率自体は大変少ないですよね。ただし、鉄鋼全般について言えることは中国が余剰生産能力をフル回転させて鉄鋼の安売りを続けた結果、世界的に値段が下がってしまったと、その元凶が中国だっていうこれは間違いないですよね。ただし、それをじゃあ患部を叩くのに一点に放射線を当てなきゃいけないのに全身に当てて被爆させたらどういうことになるかっていうのも近い状況かもしれないですよね。カナダにしても欧州にしてもこれはとばっちりもいいところですから。
高関税政策の世界経済への影響
高嶋)これ世界の経済にすごく大きな影響を与えるわけですよね。
山本)もちろん大きな影響を与えますし、それから経済問題とはいえ大方の迷惑を被る国はアメリカの同盟国だってことを忘れちゃいけないですよね。同盟国同士で貿易戦争やって、じゃあ喜ぶのは一体どこの誰ですかっていうことですよ。
高嶋)ということは中間選挙まではそういうわざとらしいけれども自分の支持者を満足させるような、それで得票をまた獲得して終わったらむにゃむにゃって。
山本)その後どうするのか。次の大統領選も出る気でいるようですから。ともかく、コーン氏のようにこの人ゴールドマンサックスの経営者だったわけですけれど、この人言ってることはまともで、いまこの高関税で対抗すべきじゃないっていうのは当たり前のことで、普通のことを言ったのに普通の話が通らないということになればやってられるかってことになりますよね。まあこんな状況はトランプ政権でもう随分これからも出て来るんだろうなと思いますよ。
高嶋)よく辞めますね。トランプ政権は。
トランプ政権の埋まらぬ幹部人事
山本)辞めるのも問題なんですけど元々席が埋まってないんです。1年経ってもあの政権は。国務省とか役所を含めて幹部人事ががら空きになってる状態で幹部がどんどん辞めて行って政権成り立つんですかって。
高嶋)成り立つも成り立たないも日々動いてるじゃないですか、よくわからないですけど。
山本)ということなんですけどね。夜中の3時に起きてTwitterですか? どうするのかわからないですけどね。
高嶋)あんなんで良ければ小さな政府なんかいくらでもできますね。
山本)一人でやって行政命令はTwitterで出すんですか、そこまで行ったら漫画ですね。
高嶋)そういうような異常事態の中でまともな経済政策を唱えているコーンさんという方がこれじゃやってられない、辞任だよと。でもトランプさんはそれに対して全く意に介さないという。
山本)まあ日本は冷めた頭を保つ必要があるということですね。
高嶋)その本心が一にも二にも中間選挙ということですね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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