対北朝鮮~日本がアメリカに訴えるべきこととは?
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4月3日 FM93AM1242 ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!②
避けるべき日本の「乗り遅れるなプロパガンダ」
7:10~お早う!ニュースネットワーク:コメンテーター有本香(ジャーナリスト)
安倍総理が今月17日から訪米~トランプ大統領と首脳会談へ
安倍総理大臣は今月の17日からアメリカを訪問し、2日間に渡ってアメリカのトランプ大統領と首脳会談を行うことを明らかにした。首脳会談では北朝鮮の核ミサイル開発をはじめ、拉致問題の解決に向けて意見を交換する見通しである。
飯田)トランプ大統領との会談についてですが、4月の末に朝鮮半島の南北首脳会談がある、5月末までには米朝首脳会談があるという辺りを見据えてではないかということが言われていますが。
有本)勿論それを見据えてということで間違いないです。私も昨日から政府関係者、あるいは自民党与党の関係者に個別に話を聞いています。無論、この日米首脳会談が終わらないと今後日本側は北朝鮮側が対話を求めて来ても、はっきりとした対応ができません。要するに日本側の進む姿勢ですね。日本としては一番恐れなければいけないのは、2度あったことの3度目をさせてしまうことです。これは日本だけではなくアメリカもそうなのですが。80年代から94年までの間にあった北朝鮮の第一次核危機。このときと2000年代に入って2007年から2008年くらいまでの間にあった第二次核危機ですね。この2回の失敗というのをまた繰り返してしまうと、今度は取返しのつかないレベルになってしまうということが核の問題に関してあります。
飯田)要するに完全に完成してしまうと。
「日米の非核化」と「北朝鮮の非核化」の相違
有本)はい。完全に完成してしまう。結局このときに何があったかっていうと北朝鮮は自分たちが苦しくなると対話を求めて殻から出て来る。非核化ってよく言うじゃないですか、朝鮮半島の非核化と言うけれど、私たちの考える朝鮮半島の非核化というのは「北朝鮮よ、核開発をやめなさいと、凍結しないさい」と。こういう話です。でも、彼らが考える朝鮮半島の非核化というのは「在韓米軍出て行ってくれ」でしょ?
飯田)核を持っている在韓米軍は出て行くべきだと。
有本)アメリカの傘の下に朝鮮半島の南半分がある。この状況をなんとかしたいというのが北朝鮮の本音です。だからやめるわけがないのですよ。ですからその状況の中で、しかも、これだけレベルが上がってしまっている中で、どのようにして核開発をやめさせるか。あるいはアメリカが軍事的なオプション、これを本当に行使するかどうか、ここを見極めないといけないのですが、いまのところは必ずしも軍事力を行使するという選択肢、これはそれほど可能性としては高くない。ただ、一応アメリカとしては強行派と言われる面々を揃えることによって、一種の心理的圧力を加えていこうということはあるでしょう。
万全ではない米国務省~米朝首脳会談の開催も不確定な状況
飯田)国務長官がポンペオさんに代わった。あるいは安全保障担当の大統領補佐官がボルトンさんに代わった。この2人はけっこうタカ派だと、ボルトンさんなんかは特にそうだと。
有本)そうですね。ただわからないのは、辞めた前国務長官のティラーソンさんだって就任前はすごい対中強硬派って言われていた。だけど実際にはそうでもなかった。だから就任してその任に就いても、必ずしもそれ以前と同じような姿勢で臨めるわけでは無いし、アメリカ側は勿論トップは交代しましたが、国務省の体制というのが万全ではないので、実はこの5月末までに行われると言われている米朝首脳会談が予定通り開催されるということも、果たしてどうなるかわからない状況ですね。
飯田)駐韓国米大使ですら名前は挙がったけど、結局ダメになったりしてたし。
避けるべきは日本の「乗り遅れるなプロパガンダ」
有本)ですから実務上、果たしてその段取りが整えられるかどうか、ということはまずありますね。その中で日本側としてはどうするのかというと、一番まずいのはいま日本の国内でメディアを中心に「日本だけが蚊帳の外にいる」という一種の「乗り遅れるな感」です。
飯田)「バスに乗り遅れるな!」ですか。
有本)「乗り遅れるなプロパガンダ」みたいなね。これがあまり優勢してしまって、とにかく北朝鮮と対話することありきなんだというムードを醸成されるとまずい。流石に国民はわかっていて、最近の世論調査でも、「北朝鮮が今回の話し合いという感じが高まってきている。これで核放棄をすると思うか」という問いに対して6割以上の人が「そうは思わない」と明確に答えています。「北朝鮮は必ず嘘をつくのだ」ということを国民サイドははっきりわかっている。だから制裁というのを緩めない形、あるいは新たな制裁というものも例えば政権ではなくて与党サイドで検討しているよという姿勢を見せながら、でも日朝首脳会談、この方向性というのは引き続き探っていく。ただこれもどこでやるかという問題がありますね。
日朝首脳会談があるとすれば、開催地はどこに?
飯田)前回は2回とも平壌でやった。
有本)中国は場所を提供しても良いと言っているという情報もある。あるいはヨーロッパの北朝鮮と国交のある国。
飯田)ストックホルムとかスウェーデン、あの辺は制裁を緩めるみたいなときに合意した国ですからね。
有本)ただしヨーロッパまでは恐らく金正恩は出て行かないだろう。
飯田)飛行に乗ってまでというのは。
有本)飛行機には乗ることになりますが、日本で日朝首脳会談をやるという方向性を模索しているという情報もあります。これも0ではない。もし実現するようなことになると随分展開は変わるのですが、これを一番恐れるのは中国ですね。日本やアメリカの方向にいまの北朝鮮の若い指導者がシフトしていくということを中国は一番恐れています。そういう綱引きが今後出て来るわけです。
飯田)それもあってこの間は列車に乗って金正恩は行ったわけですか。
有本)あれは伝統的なやり方からですね。彼は専用機を持っていて、実はかなりの飛行機好きだとも言われています。ですから日本で東京の米軍が持っている飛行場に降ろすというようなことで保安面をこちらが担保するというようなこと。そういう投げ掛けというのも当然あると思いますし、河野大臣が韓国に拉致問題を俎上に載せてくれるように頼むと。日本は北朝鮮側に対してパイプがないからということを言っていましたけれども。
飯田)来週訪韓だと。
有本)ただ、必ずしも日本が北朝鮮とパイプがないということではないんですね。水面下でいろいろな働きかけをしているということは聞いています。それからもう一つはですね、アメリカの大統領と安倍総理が会談するというトップ同士の会談というのはありますが、それとは別にゴールデンウィークの期間中になると思いますが、自民党の議員がワシントンに行ってアメリカ議会の安全保障関係の重鎮も含めた主要な議員の人たちと会談するという日程をいま組んでいます。
水面下で進む北朝鮮外交
飯田)オフィシャルな政治外交だけじゃなくて議員の方の外交ですね。
有本)議員の方の外交ですね。自民党は党内に北朝鮮問題のプロジェクトチームを持っています。これは二階幹事長、それから北朝鮮関係をずっとやってきた古屋圭司さん、あるいは山谷えり子さんはいま拉致問題の本部長をしています。そういう人たちと若手の人たち数名を含めた北朝鮮に非常に詳しい人たちだけで構成されていて、このメンバーがワシントンに行くということを計画しています。向こうのカウンターパートになるのは共和党を中心にした議会の安全保障に強い人たち。この人たちに何を言うかというと、アメリカでも2人のアメリカ国民が北朝鮮に拘束されています。1人は明確に拉致の被害者だと言われている。この拉致問題というのは日米共通の問題だと認識して働きかけるように国務省・政府に議員側から言って欲しいと。こういう働きかけを強める。今までもやってきているのですが、それをやるということですね。
軍事的オプションを持たない日本の現状
飯田)いずれにせよ日本には軍事力というパワー、裏地がないですから、アメリカと北朝鮮が実質的な交渉をせざるを得ないのですが。
有本)日本にはオプションがないですから。
飯田)ただアメリカにとってはICBMさえ無くせば「俺のところには届いてこないよ」と、OKなのですが、日本にとっては中距離のミサイル・短距離のミサイルが向いているわけですよね。これはアメリカに中途半端な妥協をさせちゃいけないわけでしょ。
有本)全くその通りですね。結局これもね、日本としては在日米軍で対応していくということしかないわけじゃないですか。ミサイル防衛システムとか陸上イージスとかあるけれども、基本は対抗としてはそうですよね。ですからやはり日本はね、そういう自分たちが当事者になっている安全保障の事柄に全く自国で向き合えないという状況ですよね。それから拉致被害者の救出もある程度米軍頼みで、その後自衛隊がどういう動きをするか別ですが、基本お金を払うということのオプションしかないという状況です。
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