金正恩訪中で日本は完全に蚊帳の外

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3月29日 FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

「アメリカは日本と協力して進めていく」という外務省の読みが外れる
7:11~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

金正恩 北京 到着 歓迎

2018年3月26日、北京駅に到着し歓迎を受ける、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(中央)(朝鮮中央通信撮影・共同) 写真提供:共同通信社

金正恩委員長が中国を訪問~米朝首脳会談にも言及

中国を訪問し習近平国家主席と会談した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は「朝鮮半島の非核化の問題は解決できる」と述べました。金委員長が今回中国を訪問した背景には、韓国やアメリカとの首脳会談を控えて中朝関係を修復し、外交環境を一気に改善するねらいがあります。

金正恩朝鮮労働党委員長は李雪主(リ・ソルチュ)夫人らと特別列車で中国に入り、26日の月曜日に北京駅に到着。その日の内に人民大会堂で習近平国家主席と会談しました。その後ハイテク企業が集まる北京の施設・地域なども視察し、昨日帰国しました。

中国政府によりますと金正恩朝鮮労働党委員長は習近平国家主席との会談の中で「金日成主席と金正日総書記の遺訓に従い、朝鮮半島の非核化実現に尽力する」と表明しました。南北関係を和解と協力の関係に転換させるとして、南北首脳会談に言及し、米朝首脳会談を開催する方針も明言しました。また「米韓両国が善意で我々の努力に応え、平和と安定の雰囲気を作り、段階的で歩調を合わせた措置を講じれば非核化の問題は解決できる」とも述べ、4月に合同軍事演習を予定する米韓に歩み寄りを求めました。見返りを求めた形です。

それから北朝鮮の朝鮮中央通信によりますと、金正恩委員長が習近平国家主席の北朝鮮訪問を要請し、習近平国家主席は快諾したということです。

今回のこの中朝首脳会談につきまして、アメリカのトランプ大統領は28日Twitterで「習近平国家主席から金正恩委員長が米朝首脳会談を楽しみにしているというメッセージを受け取った」と明らかにし、米朝首脳会談について「楽しみにしている」と応じました。ただ同時に北朝鮮に最大限の圧力を掛け続ける必要性も強調しています。

一方日本政府は情報収集と分析作業を本格化させています。昨日参議院予算委員会で答弁した安倍総理大臣です。

安倍総理)政府としては重大な関心を持って、情報収取・分析に努めているところであります。まさにこの変化は、圧力を最大限まで高め日本がリーダーシップを執ってきた結果、北朝鮮の側から話し合いを求めて来ているという状況だろうと、このように思います。

ただ日本政府としては北朝鮮と米中韓3ヶ国との対話の機運が高まる中、日本が置き去りにされるという懸念を抱えております。政府としては安倍総理のアメリカ訪問について、来月17日から19日の日程を軸に調整に入りました。

韓国と北朝鮮は今日板門店の北朝鮮側施設で閣僚級の会談を開き、来月4月末の南北首脳会談の日程や議題について議論する予定になっています。

トランプ 大統領 安倍 晋三 トランプタワー

トランプ・タワーを訪問した安倍晋三と談笑するトランプ(2016年11月17日)(ドナルド・トランプ - Wikipediaより)

外交敗北した日本~踏んだり蹴ったりで蚊帳の外

高嶋)佐藤さん、これは信用してよろしい流れですか?

佐藤)とにかく日本にとっては最低の状態になっていますね。
今回の状況は何かというと、全て日本の読み誤りから来ているのです。トランプと安倍さんの信頼関係が盤石だから北朝鮮に関してアメリカはパイプを持っていない。だから日本に相談しながらやっていくと固く信じているのですね。特に文在寅政権に関しては反米政権だから、トランプ政権とパイプができるはずは無いと、それが外れていたのです。実はものすごく良いパイプが密かにできていたのです。そして韓国が場所を用意するという、これまでの東アジアの外交では考えられないことが起きた。
そうすると次の段階で日本が賭けていたのが、事務方で準備できない会談だから、日本と相談しながら進めるしかトランプには無いのだと。だからそこで安倍さんがトランプにいろんなことを言うことで影響力を与えられるだろうと思ったら、北がそこを読んでいて、中国に行ったことでこの件は中国と相談しながらトランプは進めるということになって完全に日本は外されたので、外交敗北です。
まずこの状況が読めていないということが、第一義的には外務省の秋葉事務次官の責任ですね。外交のプロだったら皆読めるはずなのです。今月の「文藝春秋」で出ますけれども、藪中三十二さんという元外務事務次官と対談して、私と同じことを言っていました。だからこれはプロの外交官で外交官経験ある人は皆同じ認識です。
それでこの後深刻なことが起きるのです。北朝鮮とアメリカが和解をするときに、ICBM(大陸間弾道ミサイル)だけ凍結する、核は追加的には作らない、その後の核軍縮については皆相談すると。それでまとまると日本全域が北朝鮮の核の射程圏内に入るのですね。
それに加え北朝鮮が必要なのは経済でしょう。トランプは日本に白紙小切手を切って「金正恩に渡せ。数字は金正恩に好きな数字を入れさせろ」と、こういう流れになって来るわけです。

高嶋)踏んだり蹴ったりじゃないですか。踏んだり蹴ったり蚊帳の外。

佐藤)そうですよ、踏んだり蹴ったりです。この酷い状況を今作っているというのがこの首相官邸であり外務省で、元外交官だった人間というのは、基本は時の政府の外交を応援するというのは重要なのですが、こんなことをやっているようだったら応援の仕様も弁護の仕様も無いですね。

高嶋)安倍さんは急に星回りが悪くなりましたよね。

佐藤)率直に言いますと基礎体力ですよ。基礎体力で物事が激変したということが分からないで頭は森友学園でいっぱいだからこういうことになるのですよ。

高嶋)最初におっしゃったトランプさんの人柄、パーソナリティ、100%読み切っていない、その場限りで言うところもあるし前言を軽く翻すところもあるし。だけど安倍さんはトランプさんと100%共にある親友だと思っている、表面的にはそうなのかもしれない。

佐藤)トランプが一番嫌いなのってヒラリーとオバマでしょう。何でオバマと会うのですか? トランプの方から見れば「俺のことを全然分かっていない。喧嘩を売っているのか」という話になるでしょう。
でもこれは外務省が羽交い絞めにしてでも止めないといけないことなのですよ。だから率直に言いますけど、外務省も、もうこの政権は持たないのではないかと。触るまいと。余計なアドバイスをして自分が火傷したら困ると。こういう姿勢で秋葉事務次官たちがやっているからこういうことになるのですよ。

安倍晋三 麻生太郎

参院予算委員会に臨む安倍晋三首相(左)と麻生太郎副総理兼財務相=2018年3月28日午前、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

北朝鮮問題は今や米中韓の問題~今回の訪中は日本を外す為の策略?

高嶋)当たり前かもしれないけど、中国政府はアメリカと韓国には金正恩の訪中というのを実際に伝えているのですよね。

佐藤)それは舐めているからですよ。安倍政権の権力は盤石で長持ちすると思ったら後で面倒臭いからと。こんなもの大して持たないしフラフラで森友学園で頭がいっぱいだから何も伝えないで良いだろうと、こういう判断をしているだけですよね。舐められているのです。

高嶋)それでどうですか、根本的に今まで北朝鮮はいろいろと理由を付けては支援だけ取って上手いこと言って、核を育ててきたわけじゃないですか。今度は何回目かわかりませんが、成就するような話なのですか?

佐藤)成就しません。これは先延ばしするだけで、またいろんな形で技術開発をしてICBMを作ります。だからそういう意味では核大国になると。だから北朝鮮はこう言うわけですよね。「脅威というのは能力と意思で作られる。我々は能力があるから意思を失くすだけだろう。仲良くしよう。銭を出せ」と、こういう話です。それでトランプは銭を出すのは嫌だから「じゃあ仲良くする仕事は俺がやるから金を出すのはお前がやれ」となると、こういう枠を今作ってしまっているのですよ。
だから今これにおいて本当に日本はトランプとすぐに会って、電話もガンガンして「日本の国民感情を無視したところでは金なんか出ない。それから日本とアメリカでは置かれている状況が違うんだ」というのを言わないといけないし、国会でも「アメリカとは置かれている状況が違う」ということをガンガン発信しないといけないのだけれども、そこは「俺を信じてくれ」みたいな感じなのですよね。

高嶋)読み間違いの一番のポイントというのはそこなのですか?

佐藤)そこです。トランプを信じた、トランプのような人間と盤石の関係を作れば全てが上手くいくと思った、これが全ての誤りの原因で、トランプなんかを信じてはいけないのですよ。皆そんなこと分かっているでしょう。それをあの人だけは分かっていないからこういうことになるのですよ。

高嶋)もうひとつ、中国はとにかく何かの記念日みたいなものがあるとロケットが撃ち上げられたり核実験をやられたりとか、真っ赤になるくらい北朝鮮に馬鹿にされているときがあったじゃないですか。だけど今回はすんなり握手をしていますよね。

佐藤)それは簡単ですよ。そうでなければ日本が動いてしまうから。日本を動かさないように、安倍を外す為には何ができるかという計算のところから金正恩を受け入れたので、韓国と北朝鮮とアメリカと中国が4つになって日本外しをした。こういうことですよね。だから関与していた6ヶ国の中で外されているのは日本とロシアだけですよね。

高嶋)怖いのは、金正恩委員長というのはいろいろと人を殺しているわけでしょう。それが奥さんを連れて中国を訪問なんかしてニコニコ笑っていて、何かメモなんかも取っていて、あの人が良い人に見えて来てしまうという、ああいう映像というのは怖いですね。

佐藤)独裁者ってそういうものですよ。だから我々は良い人と見ないという冷静な目で見ることですよね。ただそれよりも何よりも、日本の国と日本の国民のことを考えないと、これで白紙小切手だけ出すという状況に向かっているわけだから、これは本当に政府も緊張して外交にあたって貰わないと困りますね。

高嶋)非常に厳しい指摘がありましたが、当然その辺は気が付いて動き出すのでしょうね?

佐藤)もう少し経ってからですね。ぼんやりしているから。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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