アメリカの鉄鋼・アルミニウム輸入制限~日本を除外しないのはなぜ?
公開: 更新:
3月26日 FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
中国への制裁措置に加え
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木馨祐(自由民主党衆議院議員・青年局長)
アメリカの鉄鋼・アルミニウム輸入制限~株式市場に大きな影響
アメリカのトランプ政権が鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限を発動したことで、世界全体の貿易が混乱に陥る可能性が出てきた。先週末の株式市場は東京・ニューヨークで軒並み売り注文が広がり、大幅に値下がりしている。
アメリカに輸入される鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税が掛かるということです。これは海外製品が流入すると国内のメーカーに影響を与え、戦闘機などを作る国防産業が弱体化する、つまり安全保障上の脅威だと、これが今回の措置の理由とされています。アメリカ通商拡大法232条に基づく対応です。
これに中国の知的財産権侵害を理由とした制裁措置が加わっておりますので、こうしてみると中国に向けた措置というのが濃厚なのですが、国際社会は中国だけでなく大きなハレーションが起きています。
ロシアもアメリカからの輸入品に対する報復措置の準備を検討する考えです。
今回はカナダ・メキシコ・ブラジル・アルゼンチン・韓国・オーストラリア・EUは適応除外とされているのですが、そのEUの盟主のひとつ、フランスのマクロン大統領は「頭に銃を突き付けるなら協議はできない」訴えています。
日本は適応除外になっていません。日本がアメリカに輸出している製品は自動車や石油パイプラインなど品質の高い物が多いということで、影響は限定的ではないかと見られているのですが、逆にアメリカから締め出された製品がアジア市場に流れて値崩れを起こすのではないかという懸念も出ています。
株式市場・マーケットは敏感な動きを見せており、先週末23日の東京市場は日経平均株価が一時1,000円を超える値下がり、ニューヨークも22日と23日でダウ平均株価合わせて1,149ドルの下げ幅となっています。
輸入制限に対するアメリカ国内の反応
畑中デスク)アメリカで取材中の須田慎一郎さんに伺います。須田さん、今どちらでしょうか?
須田)私は金曜日にワシントンに入って、今朝からはニューヨークに来ています。これからニューヨークの企業経営者に会って話を訊いてみようかなと思っています。
畑中デスク)輸入制限措置なのですが、アメリカ国内ではどのように受け止められているのでしょうか?
須田)中国がどういった対抗措置を講じて来るのかというのが一番注目を集めているところなのだろうと思います。
アメリカの代表する航空機産業であるとか、農産物、大豆であるとかトウモロコシ。こういったところの輸入制限を掛けてくると、アメリカ国内の農家にも大きな影響を及ぼすのではないか、そうしたら中国がこれからどういった対抗措置を取ってくるのかというところがまだ不透明な為に、影響を推し量るという状況になっているのではないかなと思います。畑中デスク)しかし「やるぞ、やるぞ……しかしやらないかもしれないのでは?」といういろいろな見方があったかと思いますが、ついにやってしまったという感じですが、アメリカではその辺どうでしょうか?
須田)ワシントンサイドの見方としては、やはりこれはいずれかのタイミングでやらざるを得なかった。というのも、中国から輸入されて来る物に対して対抗措置を取るという意味ではなくて、これまでアメリカと中国との間では、この種の貿易摩擦や貿易上の対立に関してきちんと解決するシステムが無かった、というのが一般的な認識なのですね。だからそういった仕組み、紛争解決の手段をこれからどうやって構築していくのか、そのテーブルに果たして中国が着いてくれるのかどうなのかというところが一番のポイントになって来るのだろうなという見方が大勢を占めています。
アメリカと中国の貿易摩擦 そして選挙を意識した輸入制限か
高嶋)鈴木さんもこの間アメリカに行ったばかりですが、鈴木さんが感じた空気はどんな空気ですか?
鈴木)やはりその時点では北朝鮮の問題だったり、あるいは中国と台湾の問題だったり、そういったところがかなり関心が高かったですね。ただまたガラッと変わっていると思いますけれど。
高嶋)新聞を読んでいて「トランプさん、それは無いだろう」と思ったのは、「日本の安倍首相らはこんなに長い間アメリカを上手く騙せたなんて信じられないとほくそ笑んでいえる。そんな日々はもう終わりだ」と。握手しながら安倍さんの笑顔を見て、腹の中でそう思っていたなんて、こういうことをよく言うよと思うのですが。
鈴木)まあこれはトランプさんという方の個性かなという気もしますよね。長い目で見れば日米関係が揺らぐということは無いと思いますが、この貿易の話というのはとても大事な話だと思います。
高嶋)貿易だけで言えば過去にもいろんな出来事があったようですが、結局お互いに突っ張って泥試合になることは目に見えているわけですよね。例えばアメリカと中国の関係だけ考えたって、貿易面でアメリカがガーンとやれば中国も負けずに対抗措置を取るに決まっているわけですから。もう具体的な品目も随分出ていますし。
鈴木)これはアメリカもおそらく最後は自分の国の経済がマイナスになる可能性は高いですから、どこかで方向転換するのかなというのがひとつと、もうひとつは中国は決してただの被害者ではなくて、例えば資材の話もありましたが、中国はかなり傍若無人に振舞っているところもあります。だからそこは切り分けて考える必要があるというのがもうひとつ。さらにひとつは日本が除外にならなかった。これは正直直前のG20も含めて野党の話もあって、麻生さんがG20に行けなかったというところで最後の交渉ができなかったというところも大きいのかなと私も正直思います。
だからさっきも言ったように森友学園の話も当然大事な話ですが、日本が世界でというのを考えたときには、やはり優先することもあるかなという気はしますよね。高嶋)選挙を意識するとアメリカもこういう感じになってしまうのですかね?
鈴木)アメリカは選挙の年で、今年中間選挙ですから。特に直前の補欠選挙でも、トランプ大統領よりも、そこの地域で得票率が確か16%くらい共和党は減っているはずなのですね。そこは選挙を意識したコメントというところもあると思いますね。
高嶋)トランプさんを支持する30数%の根強い核になっている人達というのは、よく白人で少し貧しくてなどと言われますが、トランプさんに対してはものすごく思い入れが深いのですね。
鈴木)そうですね。我々が付き合うようなニューヨークとかカリフォルニアの人間というのは、逆に前もクリントンさんが勝つのではないかと言っていました。しかしトランプさんに対する根強い支持が確かにある。その人たちの感覚からすると「僕たちの可哀想なトランプさんがワシントンでいじめられている」と。だからワシントンが混乱すればするほど支持が強くなっているという面も否定はできないのです。
高嶋)トランプさんってその辺は分かった上でやっているのですかね?
鈴木)その可能性もあると思いますよね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00