日本は中国の知財権侵害の問題をどこまで解決できるか
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4月17日 FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ⑤
8年ぶりに日中ハイレベル経済対話開催
7:44~ココだけニュース スクープUP!:コメンテーター 有本香(ジャーナリスト)
日中ハイレベル経済対話が開催
河野太郎外務大臣と中国の王毅外相が議長を務める日中ハイレベル経済対話が昨日開かれ、両国の経済発展のために様々なレベルで協力を強化していくことで一致した。
日中ハイレベル経済対話、これは沖縄県の尖閣諸島国有化による両国関係の悪化を受け、2010年を最後に行われていなかったが、およそ8年ぶりに開催された。河野大臣は終了後、記者団に対して、日本としてはできれば毎年開催したい、日中の経済関係をさらに強固にしていくための契機にしていきたいと述べている。飯田)ここに来て、日中雪解けムードか? と言われていますが。
有本)日米の首脳会談のニュースの時にもお伝えしましたように、日米中という3カ国の関係で見た方がわかりやすいと思います。まず、経済に於いて日本とアメリカは基本的に価値観を共有しているわけです。
飯田)自由主義で資本主義ですから。
中国の知的財産権の侵害は氷山の一角だけでも年間1,000億円以上
有本)ルールに基づいた貿易をやっていこうという考え方です。中国はそこに違う価値観を持ち込もうとしています。でも現在、トランプ大統領は日本と中国を同じようにターゲットにしていると繰り返し言っています。こういう時ですから日米首脳会談での交渉では「日本は中国とも今、関係を改善しつつありますよ」というような状況も武器にしながら、日本側がうまく渡り合っていけるかどうか。8年前の日中ハイレベル経済対話の時にはどうだったのか、思い出していました。当時、著書にも書きましたが、今も解決されていない非常に由々しき問題は、さっきの価値観に関わることですが、知財権についてです。
飯田)知的財産権。
有本)これの侵害。8年前も非常に深刻でしたが、それは今も変わりません。大体年間1,000億円以上の規模で知的財産権の侵害を受けている、という政府の発表もあります。ですがこれはアンケートに答えてくれた範囲だけの集計で、実際はもっと多い。
飯田)氷山の一角だけでも1,000億円。
有本)実はン兆円以上ある、とも言われています。この日本の知的財産権への侵害が一番多いのが中国です。ほかのアジア諸国など経済発展が著しいところで日本の知財権が侵害された製品が売られているケースがあって、そういった商品は中国経由であったり、或いは中国の業者が介在しているということが多い。こういう問題を日本が中国に対してどこまで強く迫ることができるのか。
中国で日本の地名が使えない
飯田)知的財産権というのは工業製品のイメージが強いですが、農業の種子だとか作物のブランドもありますよね。
有本)ブランドはひどいと聞いています。こういう話でよく取りざたされるのが商標権。日本の地名が中国国内で商標登録されていて、日本の業者が行っても使えない。
飯田)なんとか牛、神戸ビーフだとかが売れないという事態になってしまう。
有本)青森りんごもです。日本の大人気のアニメもとっくに中国で誰かに商標登録されているケースもあって、中国で日本の企業が展開できない事態も起こっています。
飯田)「クレヨンしんちゃん」、大問題になりました。
有本)知財権に関して8年前と比べても根本的には解決されていません。こういう問題について、日本側が「そういう態度では今後通商が難しくなっていきますよ」と押し込められればいいのですが、実際に中国に行って商売をしようと思うと、現場のレベルでは中国側の論理に従わざるを得ない。このあたりのことをハイレベルの経済対話で、どこまで問題解決できるかというところも注視したい。
飯田)日中関係でいいますと、今回ハイレベル経済対話があって、その先には5月に李克強首相が日本に来て、日中韓のサミット開催がある。李克強さん、滞在するのは東京だけではないんですよね。
中国系資本による買収が進み影響力が増す北海道
有本)東京よりもおそらく滞在時間が長いだろうと言われているのが、北海道です。
飯田)知事さんたちとの会議にのぞむという大義名分が…。
有本)知事さんと中国の省庁の会議に出るという名目なのですが、どうやら札幌以外のところにも行くようです。2010年くらいから、私はこの問題を提起し続けているのですが、中国系の資本による大規模な森林を含めた土地の買収、これが日本で一番行われてきたのが北海道です。2010年当時は「そんなこと言うのは、被害妄想だ」という人もいましたが、今やそういう状況ではないというのがはっきりしてきました。
おそらく李克強さんは苫小牧に行くのではないかと言われています。このあたりでは、中国側のいろんな形での買収がかなり進んでいます。飯田)水源など資源のある土地の買収話なのかと思っていましたが、苫小牧というと、そういうことだけではない。
有本)そうです。でも土地だけではなく、様々なもの。そして水源もそうですけど、ニセコ地域では相当多くの中国系の買収が行われ、かつ中国人の人口も増えています。そういったことなど、合わせ技で現在の北海道には中国の影響力が増している。これを日本政府がどのように捉えるのか。今回李克強さんが来る、そして北海道までわざわざ行くというあたりに、いったいどういう真意があるのだろうかと読み解いておく必要があるのだと思います。
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