森永卓郎が年金受給年齢を解説~70歳まで働く人生は幸せなのか?
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「垣花正 あなたとハッピー!」(4月25日放送)で経済アナリストの森永卓郎が、年金受給年齢が70歳に引き上げになった場合、どのようになるかを解説した。
現在、高齢者というのは65歳以上の人という定義になっています。ところが、政府の意向をうけたということではないと思いますが、日本老年学会がこの高齢者の定義を65歳以上から70歳からにしていいのではないかと言い出しています。
政府は年金の受給開始を70歳にしようとしている?
日本老年学会とつながっているとは言いませんが、その背後に政府の思惑として70歳までみんな働いて、70歳から年金をもらうようにしましょう、という策略があるのではないかという気がします。
なぜかというと、現在の年金制度というのは賦課方式と言って、現役世代の収めた保険料はそのままいまのお年寄りに支払われます。どこかに貯めておくということではなく、ストレートに支払われるので、現役世代が年金世代の生活をダイレクトに支えているのです。
いまの年金給付金を維持するには2/3の男性が70歳まで働かなくてはならない
高齢化が進んでこのまま65歳支給を維持すると、最終的に年金の給付というのはいまの6掛けになる。40%カットしないとやっていけない。いま、モデル年金は22万円。夫が40年間ビッチリサラリーマンをした夫婦で1回も未納がないというところで22万円。それが13万円くらいに減る。
厚生労働省がその将来推計というものを4年前に出したところでは、「いまくらいの年金給付はできます」という推計になっていたのですが、そこには仕掛けがあって、60歳から69歳の男性の労働力率…働く率はなんと66.7%に設定しています。つまり、「2/3の男性が70歳まで働けばいまに近い年金は払えますよ」ということです。
自力で生活できる健康寿命は72歳!
ただそれが本当に正しいのかというと若干疑問があって、日本人男性の健康寿命、つまり自力で生活できる健康寿命は72.14歳です。年金を70歳から貰うと、一生懸命働いてようやく年金を貰って悠悠自適だな、と思った2年後には介護施設行き。このようなライフステージが本当に望ましいかは難しいところです。楽しい仕事であれば続けても良いですが、辛い仕事を70歳までするのは如何なものかと思います。
年金が13万円にさがっても好きなことをして暮らすという選択もある
生産年齢人口は20年以上前から減少傾向ですが、政府は1億総活躍社会と言って、この5年間で百何十万人も労働力が増えているのです。そのうち一番増えたのがお年寄りです。ですから、現在政府の思惑通りに動いているのが実態になります。
皆が働く社会にして日本経済の活気を保とうとする意見がある一方で、思い切って65歳から年金を貰う制度を維持して、それで年金が下がってもいいという選択肢があっても良い気がするのです。13万円になっても暮らし方次第では、生きていくのは十分可能です。70歳まで働く人がいても良いし、65で引退して好きに生きるのも良い。いまは60歳から年金が貰えるので、選択肢は沢山用意できるはずでしょう。
垣花正 あなたとハッピー!
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