ASEAN外相会議~声明にあるのはあくまでも「朝鮮半島の非核化」

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月3日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。北朝鮮の非核化と朝鮮半島の非核化の違いについて解説した。

ASEAN本部 ジャカルタ ASEAN 東南アジア諸国連合

ASEAN本部(ジャカルタ)(東南アジア諸国連合 - Wikipediaより)

ASEAN外相会議、北朝鮮の非核化約束を歓迎~日朝の接触は

2日にシンガポールで行われたASEAN外相会議で、北朝鮮による完全な非核化の約束を歓迎する共同声明が発表された。ASEANとして北朝鮮の対話姿勢の支持を鮮明にした形となっている。

飯田)日本のメディアの報道はそうなっていて、非核化約束を歓迎と言っていますが、宮家さんは原文をお読みになりましたか?

宮家)リスナーの皆さんに是非理解して頂きたいのは、非核化という言葉が出てきたからといって、それで北朝鮮の非核化とは限らないということです。言い方としては「朝鮮半島の非核化」と「北朝鮮の非核化」はまるで意味が違う。ここがポイントなので、別に日本語がダメだと言っているわけではないですが日本語で「外相会談が北朝鮮の非核化を約束した」と言っても本当に約束したのかいつも疑問に思っているから、こういうときは原文を読むのがいちばん大事だと思っています。
さっそく頂いて読んでみましたけれど、ダメですねこれは。

飯田)ダメ!(笑)

朝鮮半島 衛星写真 朝鮮 半島 ユーラシア大陸

朝鮮半島 - Wikipediaより

声明にあるのは「北朝鮮の非核化」ではなく「朝鮮半島の非核化」

宮家)「朝鮮民主主義人民共和国の発表された完全な非核化のコミットメント」とは書いてあるのだけれど、それが半島なのか自分なのかは非常に曖昧な書き方ですよね。

飯田)しかも、北朝鮮側が発表したということは、自分のところの非核化なんて彼らは1回も主張したことがないですよね。

宮家)ないのですよ。だから非常にこれは変な文章なのだけれど、理由については後で説明します。もう1つ気になるのは、ここで国連安保理決議を言っていて、それは正しいのですよね。その後で、自分たちのサポートのなかで「国際的な努力」というのが書いてあって、「完全、検証可能、不可逆的な非核化(CVID)」と書いてあるのだけれど、そこには「Korean peninsula」と書いてある。

飯田)半島の方ですね。

宮家)これは違うでしょうと。CVIDというのは北朝鮮の非核化だったはずなのに、「Korean peninsula」となっているということは、薄められているわけですよ。何故こういうことが起きるかというと、ASEANの外相会議は多数決ではないから。満場一致で決まるものですから、必ず反対する人たちがいるわけです。中国に近い国、ラオスやカンボジアですよね。どちらかが反対すれば「北朝鮮の非核化」という言い方ができなくなる。「朝鮮半島の」という言い方をすれば皆賛成するけれど、それでは話が違うのですよ。この文書を読むだけで、ASEAN諸国が必死で努力したかというのが見えてくるわけです。

飯田)「朝鮮半島の非核化」という話をしてしまうと、アメリカが潜在的に持って来るかもしれないという。

宮家)いまはもうないのですけどね。拡大抑止というのだけれど、アメリカが同盟国に提供する核の傘もけしからんと言うのだったら、アメリカに出て行けという話だと思うのですよ。それだったら何のために米韓同盟があるのだという話になるので、非常に巧妙な言い方ですよね。北朝鮮は自分自身の核を放棄することに関しては明確に言っていない。2005年の方が言っていたのですよ。昔よりも後退しているのです。更に、段階的にということは、最後の最後までとっておいて、もしかしたらやるかもという程度のことしか見えてこない。

飯田)冷静に見ているというところで言えば、ここのところ北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発している写真が出てきています。

宮家)あれにはポイントがあって、1つはトランプさんが前のめりなのだけれど、アメリカの情報機関は必ずしもそうではないのですよ。だからリークしているわけです。大統領に違いますよと言ったらクビになってしまうので。昔からの手ですよね。常套手段という意味では北朝鮮も同じことをやっていて、「こっちで壊しますよ」と爆破したり「撤去しました」と言っているけれど、実は裏でやっているというのはいままでもそうだったわけです。
衛星でなんでも見えてしまう場合に、ああいう古臭いやり方をするのが彼らなので、やっぱり性悪説で疑わざるを得ない。疑いが晴れない限りは前のめりになってはいけないということですね。

金正恩 金 正恩 北朝鮮 金総書紀 北朝鮮人民共和国

金正恩 - Wikipediaより

北朝鮮の考え方を見るためにも日朝首脳会談はやるべき

飯田)この日本国内には、前のめりというか、アメリカと北朝鮮が雪解けしているからと制裁緩和を主張する人もいます。

宮家)日本もそうですけど、韓国が前のめりになっていますよ。韓国はトランプさんみたいな人と一緒に北朝鮮と戦争する気なんてないわけですから、戦争回避の方向で、できれば経済制裁も緩和という気持ちもないわけではない。それはまさに北朝鮮と中国の思う壺ですね。圧力が緩くなったらあの人たちが核開発をやめるかというと、逆でしょうと。

飯田)これ幸いと。お金が入ってくるのだし、それを使ってできるわ、と。

宮家)それだったらやらせてもらいますわとなります。黙ってやればいいわけですよ。こういうことで何度騙されてきたかですよね。

飯田)韓国も、経済の制裁を緩めるだけじゃなくて、大統領補佐官が在韓米軍の撤退まで言及しているという。

宮家)確信犯ですから。彼らは左派ですから、反米なので。もう1つは、日朝の関係をどうするかですよね。もし会えるなら、やるべきだと思います。前のめりになる必要はないのですが、アメリカが取り上げてくれたって日本の代わりに交渉してくれるわけではないのだし、こっちもそれを望んでいるわけではないですよね。最終的には日朝でやるべきことなので、いま彼らの優先順位でいくと日本と話す優先度は低いかもしれない。だけども、考え方を見るためにも接触すべきだと思います。

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