日本とロシアが外務防衛閣僚会議を開催~違和感を感じる日本の報道

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月1日放送)にジャーナリストの有本香が出演。昨夜、モスクワで開催された日本とロシアの外務防衛閣僚会議、2+2について解説した。

ロシアがイージスアショアに懸念~メディアはロシアの要望を前もって言い過ぎ

日本とロシアは昨日、両政府による外務防衛閣僚会議、2+2をモスクワで開催した。日露2+2は去年3月に続いて3度目となる。今年9月に予定されている日露首脳会談に向けて、北方領土の共同経済活動や北朝鮮への対応について、意見交換が行われている。

飯田)先ほど終了ということで、記事が出てきておりますが、イージスアショア、陸上版のイージスについてロシア側は懸念を表明し、そこは意見は平行線に終わったということも報じられております。

有本)イージスアショアにロシアが懸念を示すというお話ですが、私が違和感を感じたのは、お互い相手に対して懸念事項があったり要望することは当然あるわけです。そうした時に必ず日本側の報道や識者と言われる人たちが、ロシア側はこういうことを懸念している、日本に対してこういう注文を付けてくるとか、そういうことを前もって言い過ぎです。日本側はこういうところを要望したい、あるいはロシアにはここは譲ってほしいんだというくらいなことがあって、その上でロシア側はたぶんこう言って来るはずだというなら分かるけど、向こうの思惑ばかりが聞こえすぎると、逆に向こうのための世論の地ならしをしてしまっているんです。

飯田)相手の要望を受け入れるための世論の地ならし。

ロシアへの要望は「北朝鮮への制裁の継続」

有本)それをしてしまっている傾向が強いと感じてしまいました、今回も。
今回日本がロシアに対して要望しなければいけない非常に大切なことがあります。
一つは北朝鮮への対応です。これに関してはアメリカと日本が共同歩調をとっている。当然中国に対しては厳しく当たっています、特にアメリカが。日本はそこに関しては必ずしも一緒ではないですけど、アメリカと中国の貿易摩擦を中心とした経済的なコンフリクト(=互いに譲らない緊張状態)があって、それに対して日本はそこに関して必ずしも同一歩調をとってないにしても、中国に対しては強く迫っていっている。
一方ロシアは北朝鮮に対して一応後ろ盾的な関係ではある。ただしロシアは朝鮮戦争の当事国ではない。そういうちょっと距離のある、しかし後ろ盾的な立場であるなかで、ロシアは制裁を緩めていくという流れになっている。「それはちょっと待ってくださいよ」と、そこを強く、一番迫らなければならない。東方経済フォーラムでは、ひょっとすると日朝の首脳が接触するかもしれないと言われていますから。

飯田)9月、ウラジオストックで開かれます。

日本とロシアが外務防衛閣僚会議を開催~違和感を感じる日本の報道

相手国の世論の地ならしをしてしまっている日本のメディア

有本)日本の外交側はそこを強く言っていると思いますが、日本政府が強く要望することを日本の世論も強く望んでいるという方向に地ならししなければならないのが、メディアの役割じゃないかと思いますが、そっちの方向に行っていません。

飯田)外交関係の人に取材すると、TPPをゴリゴリやっている時に世論が反対だと大きく出ていると、それをバックにした交渉ができるという話を聞きました。

有本)そうだと思いますよ、外交交渉というのは。
現在のメディアは、何事にも中立的に言わなければいけないと思っているかのような姿勢を示しつつ、実は向こうの為の世論の地ならしをしてしまっているのではないかなという印象を強く受けるわけです。

飯田)それが意図しているものなのかどうかは分かりませんけど。

有本)さらにロシアに対しては当然北方領土のことがあるわけです。北方領土周辺でも軍事的動きを活発化させていますよね。これは強くけん制しなければいけないはずなのに、メディアがその助けになっていないのは残念だなと思います。

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