フィリピンで収集された遺骨に日本兵のものがなかったのはなぜか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月17日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。フィリピンに残された日本人兵士の遺骨返還について解説した。

日本兵の遺骨はなかった? 厚生労働省はフィリピンで収集された遺骨の鑑定結果を公表せず

第二次世界大戦中に戦死した日本兵らの遺骨としてフィリピンで収集され、現地で保管されていた骨の一部について、厚生労働省に委託されてDNA型鑑定をした専門家2人が「日本人とみられるものは1つもなかった」などとする報告書をまとめていたことがわかった。厚労省は2012年10月に報告書の提出を受けていたようだが、結果を公表していなかった。厚労省の担当者は報告書の存在を認めた上で「2011年に実施した検証結果の域を出るものではないと判断、公表しなかった。隠していたわけではない」と述べている。

飯田)この結果というのは驚きます。

宮家)隠していたのですよ。それしか考えられないじゃないですか。この御遺骨については需要と供給があるわけです。国家としては、国のために亡くなった兵士の御遺体を取り返すのは当たり前です。これをやらなかったら国家じゃないのです。アメリカだってちゃんとやって、北朝鮮は嘘をついていたけれど、やっと今回返ってきて喜んでいるわけですよね。まさにそれを日本はやらなくてはならないので、需要はあるわけです。問題は、37万も残っていることです。

飯田)フィリピンだけで。

宮家)一方で供給はどうかというと、あれから70年以上経っているからなかなか出てこないのは当然ですよね。需要が多くて、供給は少ない。これは残念ながら、ビジネスになるということです。「日本兵ですよ」と持って来る人たちがいるに決まっているので、だからこそ中断したわけですね。厚労省の人たちはそれをわかっているはずなので、税金を使うのだったら実態を公表しなければ納税者は納得しません。税金を使ってやったことは説明をするというのが基本ですからね。説明の仕方次第で国民だって納得してくれるはずなので、それを上手くやって欲しいです。

偽物を持って来ることを現地で日本が取り締まるのは難しい

飯田)73年の年月を経てしまって、それを取り返すのは不可能だから、仕方がない部分はある。でも嘘をついて骨を持って来られるのは道徳的に飲み下せないですよね。

宮家)北朝鮮でもあったからね。

飯田)そうですよ、横田めぐみさんの骨だと言ってね。

宮家)残念ながらあるのですよ。そのときだって公表したので、それは同じことです。

飯田)きちんと抗議もしましたね。フィリピンのことを、こちらで取り締まるのはできないことですからね。

宮家)ちゃんとやれというのはなかなか難しい。フィリピンだって主権国家ですから、日本の関係者が行って権力を行使できるわけがない。あくまでも協力を得るということ。広いところですから現地の協力者は必要だけれど、その人たちが悪い人だったらどうするの、という話ですよね。いまはあまり効率の良い仕事じゃないかもしれない。だからこそ、公表をしなくてはいけないと思います。

飯田)これは国家として当然やらなくてはいけないことです。こういうことがあっても、全部やめることとは違うということですよね。

宮家)そうではなくやり方を変えて、国民に理解を得られるような説明をする。大切なのはこの2つだと思います。

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