ニッポン放送「高橋洋一のOK! Cozy up!」（8月29日放送）に数量政策学者の高橋洋一が出演。北朝鮮に拘束されていた日本人解放の理由について解説した。

北朝鮮で拘束されていた日本人男性が帰国

今月11日に北朝鮮で拘束された日本人男性が昨日、日本に帰国した。男性は、軍事施設を撮影したとして拘束されていたが、北朝鮮が「人道主義の原則に従って国外に追放する」と発表していた。

新行）帰国したのは、観光目的で入国した杉本智之さんという男性の方ですが、日本政府によりますと健康状態は悪くないということです。

高橋）北朝鮮に行くとこういう事になってしまうので、安易な目的で行かない方が良いですね。特にこの方は映像関係の仕事でしょう？　だからひょっとしたら写真を撮っていたのが違う目的なのかもしれないですけれどね。ただ、早く解放したというので、日本政府がこの男性に事情を聞いて、北朝鮮にどういう意図があったかというのを探っているみたいですね。
私から見ると、早く解放したのは簡単なメッセージだと思います。少し前に米朝首脳会談がシンガポールでありましたよね。その後の話は全然出ていないでしょう。これはアメリカがいろいろ言っているのですが、例えば南北首脳会談で実は金正恩は「1年間で非核化する」と文在寅に言って、文在寅はそれをトランプに伝えているのですよね。だから1年以内の非核化という話であったと思うのですよ。それが上手くいっていないというので、この間ポンペオという人が北朝鮮に行くのを急に止めたでしょう。それは非核化の話が上手くいかなかったからで、アメリカとしては1年前に戻るという形になる。ということは、軍事オプションを取るぞということです。そういうメッセージはずいぶんと出していて、「北朝鮮から手紙を貰ったけれどもこれは戦闘的だ」とアメリカは言ったりしている。金正恩の本気度を試しているわけです。そうすると北朝鮮は焦るから、今回の件でも解放したのだと思います。これは北朝鮮とアメリカの交渉が上手くいっていない結果だと読めます。

新行）それで北朝鮮が日本に対して、融和的なメッセージを送ってきたということですか？

高橋）トランプの方に「ちょっと話してくれ」というメッセージかもしれない。安倍さんとトランプの仲が良いから。北朝鮮とアメリカがシンガポールで会談したときにもトランプ大統領は記者会見で何度も安倍さんのことを言っているわけですよ。それはさすがに金正恩も聞いているので、ここで日本との事を荒立てるとマイナスだと思って北朝鮮が解放したのだと思います。

7月に拘束された韓国人が解放されないのはなぜか

新行）一方で、7月下旬には韓国籍の方が拘束されていますけれど、依然6人の解放には応じていないということです。

高橋）これは北朝鮮から見たら非核化の話をしたときに、文在寅が本当のことを言っているのかわからないけれど、文在寅が北朝鮮とアメリカの間に立っていたのが上手くいっていないということでしょう。北朝鮮から見ればアメリカと直接交渉しているのだけれど、間に入る人によって差をつけているのだと思いますよ。

新行）では、韓国側が上手くやってくれれば解放に応じるということですかね？

高橋）それは南北首脳会談の話もあるから、そこまで取っておくということではないでしょうか。

新行）それが返す、返さないのタイミングになってくるということですね。

高橋）差が出ているのだと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up！
FM93AM1242ニッポン放送　月-金　6:00-8:00