ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」（8月24日放送）に外交評論家の宮家邦彦が出演。ポンペオ国務長官の訪朝について解説した。

アメリカのポンペオ国務長官が来週、北朝鮮を訪問へ

アメリカのポンペオ国務長官は、北朝鮮を来週訪問すると発表した。アメリカ政府の北朝鮮担当特別代表に、自動車大手フォード・モーターのスティーブン・ビーガン副社長を起用し、共に訪朝する。ポンペオ氏の訪朝は4回目で、前回7月の訪問では実現しなかった金正恩朝鮮労働党委員長との直接会談が行われるか注目されている。

飯田）これについて、アメリカ一部政府高官の「会談しないんじゃないか」という話も出てきています。興味深いメールを頂きました。「ケンジ」さんという方ですが「妻の買った記念硬貨の受け渡しが開始され、受け取ってきました」。どういう記念硬貨かと言いますと、あの6月12日にシンガポールで行われたトランプ&金正恩首脳会談の記念硬貨であると。あのときは盛り上がっていましたけれども。画像付きで送っていただきました。

宮家）素晴らしいものを手に入れましたね。これは、あらゆる意味で歴史的なものですから。歴史的な大成功か大失敗かは知らないけれども。お持ちになる価値はあるので、羨ましいとは思いますが……ポンペオさんが今回何をしに行くのかはよくわかりません。だって、トランプさんは人質を取られているのですよ。

飯田）人質を取られている？

北朝鮮は中間選挙があるトランプ大統領の足元を見ている

宮家）北朝鮮にね。人質が誰かというと、トランプさん自身なのですよ。だって彼からすれば、あれだけ大風呂敷を広げてしまって11月には中間選挙があるから、その前に失敗はできないわけです。成功させるためには、少なくとも失敗させないためには、向こうの言うことを拒否できない。ということは既にその時点で足元を見られてしまっているわけです。そういう状況でポンペオさん？　彼はただの国務長官でしょう。いい話を持ってくるのだったらいいけれど、そうでなかったら無視ですよ。トランプさんに会えばまた何か譲歩すると思いますから。私が金正恩だったら絶対に会わないですよね。会う必要がないです。何をしに行くのかというと、つなぎで行くのです。トランプさんと9月にニューヨークで会ってもおかしくないし。ですので、あまり期待できないと思います。

飯田）首脳会談についても、延ばせば延ばすほどプラスになるのは北朝鮮側になります。

宮家）去年「最大限の圧力」とか「完全で不可逆的な」と言っていたのはどこへ行ってしまったのですかね？　状況は何ひとつ変わっていないと思います。

飯田）IAEA（国際電子力機関）の年次報告書でも全く変わっていないというか、核実験こそやらないけれども着実にやっているという話ですよね。

宮家）世界の北朝鮮の専門家のほとんどがそう思っていると思いますよ。トランプ政権は判断が違うのかもしれないけれど、「ほら見ろ」と思う人たちが多いのではないでしょうか。

状況は好転せず～また騙された？

飯田）圧力の方にアメリカが戻るという可能性はありますか？

宮家）もう戻れないでしょう。あそこまで北朝鮮、金正恩さん個人について国際的な認知度を高めてしまったでしょう。悪役だったのが良い者になってしまった。いろいろな人に会いに行って、中国とも何回もやっている。そうなると、「経済制裁なんてあったの？　戦争なんて終わっているじゃないか。終結宣言で平和条約を結べばいいじゃない」となるわけです。「核兵器？　そんなのもあったね」と。「朝鮮半島の非核化」であって「北朝鮮の非核化」ではないのだから、いくらでも解釈できるわけですよ。
「またやられたな」と言われないために頑張らなきゃいけないけれど、またやられるか心配になります。

飯田浩司のOK! Cozy up！
FM93AM1242ニッポン放送　月-金　6:00-8:00