脚本家の遊川和彦が、黒木瞳がパーソナリティの番組「あさナビ」(ニッポン放送)に出演。脚本したスペシャルドラマ『過保護のカホコ~2018ラブ&ドリーム~』のなかで高畑充希が言うセリフ「ドーント」の由来について語った。
黒木)今週のゲストは脚本家の遊川和彦さんです。
スペシャルドラマ『過保護のカホコ~2018 ラブ&ドリーム~』が放送になりましたね。奥様が言っていた口癖が使われていますね。
遊川)「ドーント!」(笑)。
黒木)私も台本を初めて読んだとき、「ドーントってなんだ? あ、don’tか」と思って。でもそれが至るところに出てくるので、面白いなと思いながら読み進めていたのです。で、充希ちゃんが言うとまた可愛いのですよね。
遊川)「やめろ」と言うと芸がないじゃないですか。「やめて」とか「やめろ」と言うと雰囲気が悪くなってしまうし。「ドーント!」って妻によく言われたものです。彼女が洗い物をあまりしないので、嫌味で俺がしてやろうかと思ったら言われました。冷たいこととかすると言いますね。
黒木)冷たいことって?
遊川)ソファーで2人でいたのに、立ち上がって「そろそろ俺寝ようかな」とか、お風呂に入ろうとしたら「ドーント」と言われます。「もうちょっと傍にいろよ」と。
黒木)あー、惚気「ドーント」。
遊川)怒りdon’tもあるし、惚気don’tもあるのですよ。
黒木)そういうものをヒントに貰うわけですね。
遊川)ファンキーなキャラなのでファンキーさを出すのにはとっても良いなと思います。
黒木)とっても素敵なご夫妻でいらして羨ましいなと思います。もう次を書かれているのですよね? 新しいドラマの。
遊川)書かないといけないのだけれど、まだ書いていませんね。
黒木)そうなんですか? 来年放送ですよね。
遊川)大変ですよ。「先生、まだ書かないのですか?」みたいなオーラが最近飛んで来るのですけれど。
黒木)まだ書かない。
遊川)そうですね。キャラクターが動かないと書かないですね。
黒木)テーマはもう決まっていると思いますが、そのキャラクターを詰めていくわけですか。
遊川)全員のキャラを詰めていって、こいつはどういう動きをするかとか、全員が納得するものが見つかるまでは、わからないままで書いたら「やっぱりこれは違う」と書き直しみたいになってしまって、結局急がば回れということです。
黒木)キャラクターが見えてきて、動き出したらドラマになっていく?
遊川)ほのかなゴールが見えてきたら、役者さんと最初にお会いするときに「この役はこうですが、最後はこうなるつもりで書いています」というちゃんとしたもの、役者さんを納得させるものが書けないと後で頓挫するぞと思うわけです。
遊川和彦/脚本家東京都生まれ、小学校1年から広島県大竹市育ち。
広島大学政経学部を卒業後に上京。テレビ制作会社のディレクターなどを経て、1987年に脚本家デビュー。
以後、テレビドラマの脚本家として、25年以上にわたり話題作を次々と発表。
2003年には スペシャルドラマ『さとうきび畑の唄』で文化庁芸術祭大賞を受賞。
2005年には 涙そうそうプロジェクト『広島 昭和20年8月6日』で日本民間放送連盟賞番組部門・最優秀作品を受賞。また2005年には『女王の教室』で、第24回向田邦子賞を受賞した。
2011年には、最終回の視聴率が40%を超えた『家政婦のミタ』を発表。この作品で、2012年東京ドラマアウォード脚本賞を受賞。
2012年下半期に放送のNHK連続テレビ小説『純と愛』の脚本を担当。
脚本家としては珍しく、撮影や編集の現場に足を運び、チームの一員としてスタッフ全員で高みを目指すことをスタンスとしている。【そのほかの主な作品】
『オヨビでない奴!』『金太十番勝負!』『ママハハ・ブギ』『予備校ブギ』
『学校へ行こう!』『ADブギ』『十年愛』『もしも願いが叶うなら』『禁断の果実』
『人生は上々だ』『真昼の月』『智子と知子』『GTO』『魔女の条件』『オヤジぃ。』
『お前の諭吉が泣いている』『恋がしたい恋がしたい恋がしたい』『おとうさん』
『幸福の王子』『夫婦。』『誰よりもママを愛す』『演歌の女王』『学校じゃ教えられない!』
『曲げられない女』『リバウンド』『〇〇妻』『過保護のカホコ』
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