米朝関係~核の小型化に成功した北朝鮮にアメリカはどう動くのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月8日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。小型化された核兵器を巡る北朝鮮とアメリカの現状を解説した。

米朝関係~核の小型化に成功した北朝鮮にアメリカはどう動くのか

政治 ポンペオ米国務長官が安倍首相を表敬訪問 提供産経新聞

 

ポンペオ国務長官訪朝~非核化首脳会談の溝は埋まらず

アメリカのポンペオ国務長官は、昨日北朝鮮で、金正恩朝鮮労働党委員長と会談した。その日の間に韓国へ移動し、文在寅大統領に、「アメリカによる核実験上の査察受け入れや、2回目の米朝首脳会談を早めに協議することで一致した」と説明しているが、具体的な合意には至らなかったと見られている。

飯田)ポンペオ氏の訪朝は3カ月ぶり、4回目です。Twitterでは「いい旅ができた」と前向きに示しています。それを受けて日本のメディアも前向きにとらえている声もありますが、須田さんはどうですか?

須田)日本の報道も含めて、今回の訪朝で何か物事が進展したか、具体的な内容についてほとんど表に出ていません。しかし、裏で何かあるわけでもない。「とりあえず行って、関係維持を継続した」ということだと思います。
ただ、思い出して欲しいのは、もともと米朝の間で首脳会談を開くに至った経緯です。CIA長官時代のポンペオさんが水面下で北朝鮮の情報機関とCIAで協議を重ね、結果的に米朝首脳会談につなげたのです。つまり、ポンペオルートで主導してきたのです。
だから逆に言えば、ポンペオさんとしても、この問題が進展しないと、なかなか自分の立場が苦しい状況になってくる。だから、「ポンペオさん側」、「間に入っている韓国」、そして、「現在の経済状況的に、米朝決裂は困る北朝鮮」の、さまざまな事情が交錯していると思います。

アメリカは北朝鮮の小型核兵器が拡散してしまうのを恐れている

須田)まったく報道ベースに出ていない話ですが、CIA情報によると、北朝鮮は核小型化に成功しているそうです。しかも「13個保有している」と具体的な数字まで把握している。だから、アメリカとしては北朝鮮が小型化された核爆弾の使用するのではなく、それが拡散してしまうのを、非常に恐れている。そういう背景的事情があるのです。

飯田)小型化まで成功したということは、すでにロケット技術を持っている北朝鮮が、アメリカまで届くミサイルを本当に手に入れた可能性がある?

須田)むしろ、その小型化された核爆弾を外国や組織に売ることになってしまうと、これは大変なことになる。北朝鮮は一切、この情報を表に出していませんが、アメリカがそれを把握したからこそ、今回の会談があるのです。つまり、米朝関係を決裂、対立の構造へ持っていけない。そういうアメリカの事情を念頭に置いておかないと、今回のポンペオ国務長官の訪朝の背景がまったく見えてこないと思います。

飯田)局面がまったく変わってしまいますよね。CIA情報が確かなら、最終的にはアメリカは核放棄の部分は諦めざるを得なくなってしまう可能性があるのですか?

須田)それが北朝鮮国内に留まり、コントロールされた状況下で管理されるのか。もしくは、コントロールされない状況になるか。まったく違いますからね。アメリカは最悪でも前者を維持したいのです。

独裁体制の方が核をコントロールしやすい皮肉な状況

飯田)逆説的で、皮肉で、日本人としてはとても歯がゆいのですが、核のコントロールだけで考えると、「独裁政権が維持された方がやりやすい」とアメリカが傾く可能性もありますよね。

須田)無秩序な状態になってしまうと、核が拡散してしまい、どこに行ったか分からなくなってしまうから、独裁状態を維持した方が良い。
もう1つ、独裁政権とはいえ、小型核兵器を売るという経済的選択肢が絡んでくるのです。それを売却して、何か外貨を得るような動きになってしまうと、それも困った状況です。だから、そこには経済協力や支援の問題が絡んでくるのです。

飯田)そこに、日本は拉致を最後の1人まで取り返さなければならない。

須田)どうしてこの情報がポンと出てきたのか問題視されています。
日本の北村情報官と北朝鮮情報機関が水面下で接触を図っていて、本来は極秘状況であり、マスメディアで報道されてはおかしい出来事です。それがなぜ出てきたのか。その背景にも、いま申し上げたような動きがあるのです。

拉致問題のカギを握るのは北朝鮮の統一戦線部

飯田)しかも今日、日経だけが報じていますが、「北村情報官が会ったとされる人物が、今回のポンペオさんとの会議に出てきた」という話が載っています。

須田)もちろん南北朝鮮やアメリカ、日本が関わる形で、どのように北朝鮮の核を管理・コントロールしていくのか。それがいよいよ大詰めになってきたのだと思います。

飯田)ポンペオ氏がTwitterに投稿した写真に、朝鮮労働党統一戦線部の金聖恵統一戦線策略室長が写っていました。「彼女が北村情報官と会った人物である」と日経は報じています。

須田)小さい記事ですが、これはスクープですね。これまで、あまり統一戦線部の存在はクローズアップされませんでした。
しかし、日本人の拉致は統一戦線部が主導する形で行われてきたのです。だから、小泉総理が訪朝したときに、なぜ拉致問題が前進したのかというと、統一戦線部実質トップの副部長(故人)が、この問題に関わった状況があるからです。

飯田)当時「ミスターX」と呼ばれた人ですね。これが出てきたということは、いろいろ動く可能性があるということですね。

須田)そうです。拉致問題を前進させようとするなら、もちろん国のトップの金正恩が首を縦に振らなければ、1ミリも動きません。加えて、統一戦線部の了解、合意、協力が無ければ拉致問題も動かないのです。

飯田)外交部(外務省)は北朝鮮にとって大した機関ではないのですね。

須田)ほとんど権限を持っていないし、拉致問題にはまったくノータッチですね。

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