名優顔負けの演技をみせる、あのネコちゃんは誰?
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第500回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、10月26日公開の『旅猫リポート』を掘り起こします。
優しくも切ない、猫と青年による“最初で最後の旅”
長らく続く、ネコブーム。自由奔放で愛らしいネコちゃんたちの姿をとらえた映画が数多く製作されるなかで、猫と飼い主の絆を描いた新たな感動作が誕生しました。
映画『旅猫リポート』は、「図書館戦争」や「植物図鑑」で知られる人気作家・有川浩のベストセラー小説を映画化したもの。夏目漱石の「吾輩は猫である」同様、猫の視点から綴られたこの小説は、有川浩作品の中でも1、2を争う高評価作品で、世界16カ国で翻訳されています。猫好きはもちろん、万人の心をあたたかくするハートフルな物語が、ついに実写映画化となりました。
本作は、主人公の悟が、ある事情から飼えなくなってしまった愛猫のナナと一緒に、新しい飼い主を探して日本各地をめぐるロードムービー。銀色のワゴンに乗り、悟の小学校時代の親友や高校時代の友人夫婦、幼少期からお世話になっている叔母など、悟がこれまでの人生で出会った人たちを訪ね、自身の人生を振り返っていきます。
悟役を福士蒼汰が、ナナの心の声を高畑充希が演じ 、広瀬アリス、大野拓朗、山本涼介、竹内結子といった豪華俳優陣が勢ぞろい。彼らの名演もさることながら、本作を語るにおいて欠かせないのが、天才猫・ナナの存在です。
少し縮れた巻き毛に丸い顔と目が愛らしいナナを演じるのは、セルカークレックスという種類のネコちゃん。つぶらな瞳で悟を見上げる表情や懸命に顔を洗うしぐさは、猫好きならずとも心を奪われてしまう可愛らしさ。
加えて悟の帰りを待ち、窓際に佇むシーンなどは観る者の胸を締め付けるほどの哀愁を帯び、その名演には驚くばかりです。日本アカデミー賞に動物部門があるならば、受賞間違いなし!? “猫映画の歴史を変える”と言っても過言ではないほどの演技を披露しています。
優しくも切ない、猫と青年による“最初で最後の旅”。人間と猫の深い繋がりを描いた本作は、一過性の猫ブームにとどまらず多くの人が猫との暮らしを選択する現代だからこそ見てほしい映画です。
旅猫リポート
2018年10月26日(金)から全国ロードショー
監督:三木康一郎
原作:有川浩「旅猫リポート」(講談社文庫)
脚本:有川浩、平松恵美子 音楽:コトリンゴ
出演:福士蒼汰、高畑充希(声の出演)、広瀬アリス、大野拓朗、山本涼介、前野朋哉、田口翔大、二宮慶多、中村靖日、戸田菜穂、橋本じゅん、木村多江、田中壮太郎、笛木優子、竹内結子、沢城みゆき(声の出演)、前野智昭(声の出演)ほか
©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社
公式サイト http://tabineko-movie.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/