混迷する英議会~EUからの「合意なき離脱」を回避できるのか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月18日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。EU離脱問題で混迷するイギリス議会について解説した。
EUからの離脱、イギリス下院で29日に再び採決へ
イギリス政府は17日、下院で15日にEUヨーロッパ連合からの離脱合意案が否決されたことを受け、新しい方針に基づく代替案をめぐる下院の採決を、29日に行う考えを示した。
飯田)ハモンドさんという財務大臣が、業界向けのブリーフィングで話したそうなのですが。もうこれは期限延期という話になるのですか?
宮家)イギリスはどうしちゃったのですかね。昔は民主主義のお手本みたいなことを言われて、イギリスとアメリカで英米法だなんて言っていましたが。アメリカを見てくださいよ。連邦政府は閉鎖したままですから。
飯田)なんかもう慣れっこになってしまいましたけれど。
宮家)そしてイギリスはブレグジット(EU離脱)で大騒ぎで出口が無い。サッチャーさんという、鉄の女と言われた人が昔いました。あの強力な人に比べてメイさんはどうですかね、プラスチックの女かな…と思ったけれど、よく考えたら、冷戦時代にソ連がいて、レーガンさんがいてガチンコでやるというあの時代から考えたら、冷戦は終わってしまった。そしてヨーロッパの国々はEUどころか、ナショナリズムだポピュリズムだと大騒ぎになっているときに、イギリスも同じような形でこうなっているわけだけれど。メイさんも辛いでしょう。
飯田)よく投げ出さずにやるなあと思います。
宮家)やめさせてもくれないわけですよ。やめたいと言っているわけではないけれども。離脱の法案が否決ということは、身内の、仲間が反対しているわけだからね。
飯田)そうですね。保守党からの造反が120いた。
3月29日の期限には現実的に間に合わないか
宮家)でも不信任は否決できるということは、「お前、首相はやれよ」と。まあ可哀想ですよ。
飯田)で、ようやくこさえた合意案は、こんなもんじゃダメだよと言われる。
宮家)だけどそれって衆愚政治でしょう。イギリスがこんなことになるとは思わなかったという人が多いのではないですか。僕もその1人ですが。やはり難しいのですね、民主主義で自由と発言を認めながらやって、難しい判断をして行くということは。
これに限らず、同じようなことがヨーロッパ中で起きていると思います。これからどんどん国内政治が不安定化して行き、みんなが言いたいこと言うようになって、コンセンサスが作れなくなって、物事が決まらなくなる。そうすると、もっと強いリーダーが必要だ、もっと厳しいことをやる強い政府が大事なんだ、と言い出したら昔と同じになってしまう。そういう大きな危機を暗示しているとまでは言いませんが、嫌だなという感じがします。ですから、このときこそ欧州の政治家、トランプさんも同じですが、もっとしっかりと頑張らないといけない時期だと思います。
飯田)3月29日が期限と言われてはいますが。
宮家)無理でしょう。1月がもうすぐ終わるのですよ。これからもっと難しいことがあるのだから、それを基本ができていないところで、どうやって3月末までに間に合わせるのだろうか。私は非常に悲観的です。いろいろなことを言う人がいますが。
飯田)延期とかそういうことを。
宮家)そうすると合意無きガチンコの離脱になったら、いちばん困るのはイギリス人ですからね。党内で対立している場合ではありません。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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