一般教書演説を延期~いよいよ見えてきたトランプ大統領の限界

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月25日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。トランプ大統領が一般教書演説を延期したことについて解説した。

一般教書演説を延期~いよいよ見えてきたトランプ大統領の限界

日米のビジネスリーダーらを前にあいさつするトランプ米大統領=2017年11月06日東京都港区の駐日米大使公邸 写真提供:産経新聞社

トランプ大統領が一般教書演説を延期

アメリカのトランプ大統領は23日、今月29日に予定されていた上下両院合同会議での一般教書演説について、連邦政府機関の一部閉鎖が解除されるまで延期することをTwitterで表明した。政府閉鎖への世論の反発が高まるなか、全米が注目する演説での支持回復を狙ったようだが、下院で多数を握る民主党のペロシ議長に阻止された形となっている。

飯田)一般教書演説とは、アメリカの大統領が年頭に国家の現状や政策課題を、上下両院の合同会議で説明するものです。ペロシさんは最初は29日の演説を求める書簡をホワイトハウスに送っていたのですが、その後招待を取り消したということだそうです。

宮家)State of the Union Addressと言ってね、新大統領の最初の演説はState of the Unionとは言わないのですが、基本的に年に1回やる非常に重要な施政方針演説みたいなものです。大統領が何を考えているかが分かるので、注目されるものです。

アメリカ大統領のスケジュールが情報機関のブリーフィングと副大統領との会食のみ

宮家)トランプ流の直感というか、衝動というか、この非妥協的な政治姿勢。この限界が出てきているなと思います。
これも雑誌の記事によるものですが、もう政府閉鎖を1ヶ月以上やっている。それである日の大統領の、ホワイトハウスの日程が、情報機関のブリーフィングと副大統領との会食しか入ってない…と報じられました。アメリカの大統領ですよ? 他にやることが無い。これは、政治ではないですよね。いくらガチンコで民主党と喧嘩していると言っても、それで空白ができているのですよ。もう壁の問題しか議論しない。壁以外にも中東だって中国だってロシアだって、いくらでも問題はあるのです。それがほとんど議論されてない。誰も人が来ないのだから。

大統領選のキャンペーンだけ~トランプ大統領の政治姿勢の限界

宮家)トランプさんのやり方がそろそろ限界が出てきたという感じがして、非常に残念ですよね。彼からすれば壁の問題というのは、彼の支持者にとっては、1丁目1番地だから外せない。「ここで妥協したら支持者が離れる」という危機感をトランプさんが持っているのだと思います。そんなこと言っても、大統領なのだから統治しなくてはならないのです。キャンペーンばかりやっていますが、壁だけが政治ではないのです。これは彼にとってはもう少し早く妥協すべきだったのですが、それができなかったところに、彼の政治姿勢の限界があるような気がしてならないですね。

飯田)事ここに至れりということになると、次の大統領選がもう近付いて来ますよね。

宮家)もう始まっています。中間選挙終わりましたから。

飯田)そうするとまさにキャンペーン。

宮家)キャンペーンです。だって、あと1年以内にもうニューハンプシャー州で始まるわけですからね。

飯田)予備選が。

宮家)トランプさんはもう臨戦態勢に入っている。そしてギアーを入れてしまったのですよ。ガチンコの方にね。

飯田)このガチンコでやれば支持者は確実について来てくれると。

宮家)だけど、それで政治が本当に動かなくなってしまった。ペロシさんだってこれも党派的にやっているわけですから、どっちもどっちだとは思いますが。

飯田)民主党は民主党の論理で。

宮家)これだけ政府が閉鎖されているなかで、一般教書演説をやるというのは、やはり異常ですよね。でも本当は、トランプさんはテレビでやろうとしたらしいですよ。

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