第2回米朝首脳会談~アメリカが会談に期待していない“ある理由”
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月28日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。第2回米朝首脳会談とその見通しについて解説した。
来月開催予定の第2回米朝首脳会談〜アメリカの立ち位置とは
来月下旬、トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との2回目となる米朝首脳会談の詳細を決めるため、今月半ば北朝鮮のナンバー2、側近の金英哲副委員長がワシントンを訪問した。
飯田)基本的にトランプさんと会ったのは表敬訪問で、実質はポンペオさんとやったということですが。
須田)今月の18日に、ワシントンでその会談が行われました。その前提として、日本の北朝鮮がらみの報道は何でこんなに底が浅いのか。きちんと取材すべきこと、あるいは情報分析すべきことを全くしていない。ここが日本メディアのウィークポイントではないかなと思います。
ホワイトハウスが公開した写真~そこに初めて顔が出されたパク・チョルという人物
須田)どういうことかと言うと、今月18日に、ポンペオさんと金英哲氏の会談が開かれました。そのときの写真を、アメリカホワイトハウスのソーシャルメディア室が公開したのですよ。
飯田)そうなのですね。
須田)北朝鮮サイドから来た5人の人物がそこに写っていました。それが誰だったかと言うと、金英哲氏、この人は有名人ですからすぐ分かった。金聖恵統一戦線部統一戦線策略室長という女性は、金与正第一副部長、この方の最側近と言われている。
飯田)金正恩さんの妹の最側近。
須田)そして昨年8月にワシントンポストが報じたところによる北情報室長と会談を持ったのが、この金聖恵氏だと言われているのです。そこまではすぐ分かったのですが、あとの3人は誰なのか。1人は通訳であることがすぐ判明しました。あとの2人が、1人はパク・チョル氏という人物で、アジア太平洋平和委員会の副委員長。これを覚えておいてください。もう1人が金赫哲氏、かつてのスペイン大使で好ましからぬ人物ということで、スペインを追放になった外交官。情報機関の人物です。
飯田)なるほど。
須田)25日付の韓国の東亜日報がこの写真を分析しました。そして、ようやく人物特定ができたのですよ。このパク・チョルさんという人は非常に重要な人物だった。これまで一切カメラの前に顔を晒したことが無い、従って写真を撮られたことが無い人物だったのです。一体誰だったかと言うと、北朝鮮の国連代表部の代表なのです。つまり、世に言われるニューヨークルートの北朝鮮サイドの窓口がこの人物だった。「こういう顔をしていたのか」という人物です。
飯田)「名前は知っていたけれど」という感じ。
北朝鮮一行が宿泊したのは「デュポンサークルホテル」~この事実からわかるアメリカの期待感のなさ
須田)金英哲さんは、事実上の政権ナンバー3です。金正恩さん、金与正さん、それに続くナンバー3ですから、実務交渉に臨んで来ることは物理的になかなかできない。従ってその名代として、このパク・チョルさんが付くのではないか、というのが東亜日報の分析です。私もそう見ています。ただそれを踏まえた上で、東亜日報もまだ掘り方が浅いなと思ったのは、この一行がどのホテルに泊まったのかということです。デュポンサークルホテルというワシントンのホテルなのですが、ここは国務省御用達です。私は10年ほど前に、国務省の招待でワシントンへ研修に行ったことがあります。そのときに向こうが用意してくれたのが、このデュポンサークルホテルだったのです。はっきり申し上げて、二流です。
飯田)二流ですか。
須田)ビジネスホテルがちょっとグレードアップしたぐらいのホテルです。お金の問題があったのでしょうね。北朝鮮サイドは自らホテルを用意することなく、国務省に出してもらったらここになってしまった。ここは公園に隣接しているところで、セキュリティ上チェックが甘いのですよ。狙撃の危険性もあるということで、ポンペオ国務長官がここに入るときは、ゴミ箱の脇の通用口を通ってホテルに入っているのですよ。
飯田)そのぐらい危ない(笑)。
須田)だからいかにアメリカサイドが、今回の北朝鮮からやって来た一行に対して、重要視していないのかがわかります。トランプ大統領の親書をこの場で手渡していますから、北朝鮮サイドにとっては大きな意味があったのでしょうけれども、アメリカとしてはそんなに大きな期待感がない。
期待感があって、政治的なポイントをゲットしようと思ったら、下にも置かない接し方をするでしょう。もっとすごいホテルは山ほどワシントンにありますから、そちらの方に誘導したのでしょうが、デュポンサークルホテルだった。…ということを考えてみると、私が研修旅行に招待されたときも大した扱いを受けてなかったのだな、ということがはっきり分かりましたけれどね(笑)。
飯田)いやいや(笑)。第2回は今度ベトナムでやると言われていますが、それほど大きな成果は出ない可能性が高い?
須田)北朝鮮側は前のめりですよ。これだけの人物を送り込んだわけですから。しかもアメリカが写真を撮ったとはいえ、「それを公開されたら困るよ」というところでしょう。ホワイトハウスが写真を公開したことで、各国の情報機関が動き出して、韓国サイドも韓国メディアもその写真を見て、それを察知して分析をしています。だから18日以降、全世界の情報機関は写真分析に血道を上げたのですよ。ところが日本のマスコミはポーッとしているために、どこからもそんな情報が出て来ない。従って無視しているという状況になっているのですね。
飯田)結局、全部韓国の新聞が書いたことを引用して報じているだけ。
須田)そうなのです。
飯田)そういう1枚の写真でガラッと局面が変わることがあるのですね。
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