北朝鮮・金英哲氏が訪米~“しかるべき内容”を決めなければ前回と同じ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月18日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。金英哲朝鮮労働党副委員長の訪米について解説した。

北朝鮮の高官が訪米、ポンペオ長官と会談へ

2回目の米朝首脳会談に向けた調整が進むなか、北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長が17日、アメリカとの協議のため、経由地の北京からワシントンへ出発した。ポンペオ国務長官と会談する予定の他、トランプ大統領とも会う可能性があるという。

飯田)金英哲さんという、この人はシンガポールの会談のときにも同行していた人ですよね?

宮家)そうですね。キーパーソンの1人でしょうけれど、また同じパターンです。話し合いを進めて行く、それで場所と日にちを決めるためにワシントンに行く。問題は中身が大事なのですがね。ポンペオさんと会っても話にならないわけです。大統領と会う可能性があると言っても、例えばNSCの補佐官のところに行ったときに、「あれ大統領出てきちゃった」という形で会うケースはあります。写真は撮らないし、公式のものでは無い形で会うことは有り得ると思います。だけど問題は、1回目と同じではないですか。場所は決まった、日にちは決まった、「では話は何なのだ」というと、最後までよく分からない。
その上、アメリカはどんどん妥協して行って、「段階的な非核化でも良い」みたいなことを言い出している。段階的な非核化ということは、少しやり、少しやり、そのうちに「トランプ大統領いなくなっちゃった。そんなことあったのか」という話になりかねない。残念ですけれど、これは少しも良いこと無いですよ。
僕がいちばん恐れているのは、非核化の問題が全然動かないなかで、戦争の終結だとか、平和条約だとか、それから経済制裁の一部解除とか。そういうことだけが先に進んで行くと、もう実際に彼らに対して非核化をさせるための「てこ」がどんどん無くなっていくわけです。ということは一方的にアメリカの方が譲歩して行って、北朝鮮はほとんど自主的に譲歩しないままに得られるものだけ得てしまう。これで良いのかということです。

トランプ大統領が国内政治の問題があるとき、そこを突く北朝鮮の上手さ

飯田)ようやく経済制裁も効いて来ているというようなことも言われていますよね。

宮家)でも、そういう人たちがいるとそれを破ろうとする人たちがいます。どこの国の誰とは言いませんが、いろんな形でせどりは行われているはずです。それを考えると、いま緩める状況では無いはずなのですが、非常に残念ですよね。

飯田)やっぱりその辺は、一昨年の年末にかけて、北朝鮮に軍事的にも圧力がグッと掛かった。やはり、そういうことをしないとあの国は動かないということですか?

宮家)と、私は思いますけどね。でも彼らの動きは非常に上手いですよね。トランプさん自身が前のめりだから、そこがいちばんの弱点です。見事にそこだけを衝いているわけです。トランプさんの弱点は何かって言うと、国内政治的にいろいろ問題が生じたときに、突然衝動的に「ありゃりゃ」という目くらましみたいなことをやる。この癖を突いて、2回目の会談を実現させようとしているのだとしたら、それは上手い。こんなことやられたら困りますよね。それにも関わらず、トランプさんの国内政治的な地位が不安定になっているのですから。これは危ないなということです。

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