英EU離脱問題~イギリスが日本に近寄る理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月8日放送)に外交ジャーナリストの手嶋龍一が出演。イギリスのEU離脱及び日英関係について解説した。

イギリス メイ首相 EU離脱 EU 合理なき離脱 再交渉 拒否 ヨーロッパ連合 安倍

「英EU離脱へ」EU離脱案、大差で否決  15日、EUとの離脱合意案の採決前に英下院で演説するメイ首相=ロンドン(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

イギリスのメイ首相がEUのユンケル委員長と会談

イギリスのメイ首相は7日、EUヨーロッパ連合の離脱を巡り、ブリュッセルでユンケル委員長と会談した。メイ首相は離脱合意案のうち、イギリス領アイルランドの国境の扱いを定めた条項を巡って再交渉を要求。これに対しEUのユンケル氏は、EU27ヵ国は離脱協定案の再交渉はしないと拒否し、会談は物別れに終わった。2人は月末までに再び会談する予定。

飯田)クラッシュするのではないかとまで言われていますね。

手嶋)何らかの形で少し妥協が図られて、という可能性が段々少なくなって来ています。現時点では、イギリスは非常に厳しい状態のなかでEUから離脱するということになります。

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ラグビーの「聖地」トゥイッケナム競技場を英国のメイ首相(右)と共に訪問し、子どもたちにボールを渡す安倍晋三首相(右から2人目)(イギリス・ロンドン)=2019年1月10日 写真提供:時事通信

イギリスが日本に近寄る事情~日本にとっても攻略すべき相手

手嶋)今回のことがどうなってしまうのか、その影響が東アジア、とりわけ日本にどんな形で及ぶのかについて触れます。
一言で言うと戦後のイギリスの性質は、EUを含めてヨーロッパと超大国アメリカの鎹(かすがい)であるということでした。鎹なのですが、少し様子が違う。EUには入っていたのだけれども、一方ポンドというものを持っていて、ユーロと一線を画している。絶妙なところだったのですが今回、EUとの絆が切れてしまうことになると、そういう役割が減じて行くし、孤立をして来る。
最近際立ったことなのですが、イギリスの知識人は大変な見識を持っていて、それだけに気位も高いしやや冷たい感じもありましたが、そのような人々が日本に対して愛想が良くなって来ている。孤立して友達がいなくなったものだから、日本と仲良くしたいわけです。イギリスは56年のスエズ動乱以来、東アジアから撤退してしまいました。ところが再びイギリス海軍の拠点をブルネイとかシンガポールなどに、と言い始めています。それは日本と連携をして行くということになりますから、21世紀の日英同盟とか緩やかな連携に、というエールを送って来ている。イギリスはいま、日本にとって攻略すべき相手ということになると思います。

飯田)イギリスは、国力やGDPの面で見ればさほどでもありませんが、インテリジェンスという面で見るとすごい国です。

手嶋)老いたりといえども、なお情報大国と言えますし、ファイブアイズというアメリカを中心とした英連邦の中核ですから、日本はそのイギリスと結ぶことによってファイブアイズに入り込みたい。そして“シックスアイズ”として、中国やロシアに対抗するのは非常に意義があることになります。イギリスとのインテリジェンス、情報面での連携は考えてもいいと思います。

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