元徴用工問題 韓国司法の判断のおかしさをアピールすべき
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ニッポン放送「須田慎一郎のOK! Cozy up!」(2月18日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。韓国での元徴用工問題について解説した。
いわゆる元徴用工問題 原告が日本企業の資産を強制売却へ
韓国で新日鉄住金に賠償を命じる判決が確定した、いわゆる元徴用工を巡る裁判の原告側は、差し押さえた新日鉄住金の資産である保有株式を売却するよう裁判所に申請する。新日鉄住金が応じる姿勢を見せなかったことを受けたもので、韓国で賠償命令が確定していることから申請は認められる見通しだ。
新行)いわゆる元徴用工訴訟の元原告側の代理人弁護士らは、15日に賠償協議のため東京都千代田区の本社を訪れたのですが、面会を断られたとして既に差し押さえている韓国内の資産の売却と、現金化の手続きを始めると宣言していました。
須田)この問題に関して言うと、よく比較対象にされるのが、中国人のいわゆる元徴用工との賠償請求の話です。そのとき、実は日本で裁判が起こされて、これについては最高裁判決が出ているのですよ。それによると、日中間の戦後さまざまな条約締結によって、政府間での損害賠償請求権は消滅した。従って司法の立場としては賠償を求めることは言えないと、明確に個人の権利、権限を否定しているのですね。ただし、最高裁判決は続いていて、企業側がこれを解決することが望ましいという形を取っている。これを韓国とのやり取りに当てはめて見ると、日韓の間でも戦後の条約によって、政府間の賠償請求権は無くなりましたということになっているのです。
企業が勝手に賠償に応じることはできない
須田)では企業がどう判断を下すのかということになって来るのですが、判断を下すにあたって当時の実態がどうだったのか。そのとき働いていた状況は、諸外国のケースと比べて不当に劣悪だったのか、この点を比較してみる必要があるのですね。そういった客観的な検証をして行くと、全く賠償に応じるような立場にないということが明確に言えるのではないかと。だから企業が勝手に賠償に応じるような行動はできない。仮にもし個別に応じてしまうと、日本企業にとって見たら「なぜ勝手に損害賠償をしているのだ」と、場合によっては株主代表訴訟…その企業が株主から訴訟を起こされる可能性が出て来るのです。そうなったときに、何の根拠も理由もないのに賠償に応じたとなると、これは勝てないでしょうね。だから場合によっては強制的に損害を確定した方が、企業にとっては法的リスクが無くなるという状況もあるのだろうと思います。
ただ、それを次から次へと政府が許していいのかという問題にもなる。だからこの問題について、日韓の政府間で何らかの協議をする必要があると思うのですが、韓国はそれに一切応じていない。どう考えても韓国側に非があるし、法律的にも大法院(韓国の最高裁)の判断はおかしいと思うのですけれどね。
国際司法裁判所が仲裁に入った場合のリスク
新行)第三国に仲裁の委員会として入って貰う方法もあったと思うのですけれど、強制売却に行くということは、その間もないということですか?
須田)場合によっては国際司法裁判所に入ってもらう必要性があるのだけれど、国際司法裁判所の判事はかなりリベラル色というか、左派色が強いのです。だから、これは絶対に勝てると言ってそこに持ち込んでも、果たしてあるべき判断が下るかと言うと、私はそれも期待できないと思います。この問題については様々なリスクが生じていて、きちんとした判断が下されれば損害は回復できます。しかし、国際司法裁判所がきちんとした判断を下すのか、この辺りについても見極めが必要だと思いますね。
新行)なかなか協議に応じて貰えないとなると、日本としては対抗措置も考えなくてはいけない状況になって来るのですか?
須田)対抗措置と言うと、すぐに断交だというような話になってしまうのだけれど、何らかの落としどころがあるのではないかと思います。日本政府としては情報発信をして、国際社会に韓国、あるいは韓国司法の判断のおかしさをアピールして行くべきだと思いますね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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