新元号「令和」決まる、号外の”カオス“に立ち会う
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「報道部畑中デスクの独り言」(第121回)では、ニッポン放送報道部畑中デスクが、日本の新元号「令和(れいわ)」について解説する。
4月1日午前11時40分過ぎ、日本の新元号「令和(れいわ)」が菅官房長官によって発表されました。西暦645年に始まったとされる「大化」から248個目。皇位継承前の新元号発表は憲政史上初めてです。
公表が予定されていた時刻は11時半でしたが、実際は10分ほど遅れました。私はこの日、11時50分過ぎの定時ニュースを担当していましたので、正直ヤキモキしながら過ごしていました。11時40分過ぎの公表の後、ただちに記者会見のシーンを編集し、何とか本番に間に合わせました。それもつかの間、私は有楽町駅に向かいます。新聞の号外が配布されるという情報があったためです。
有楽町のイトシア前。号外については何度か取材したことがありますが、今回はこれまでのどんな取材とも違っていました。「号外待ち」の人々が半端ではなかったからです。
まさか号外じゃないだろう…「ポケモンGO」の集まりか?
最初はそう思いました。イトシア前広場にはざっと見積もって300人以上の人だかりができていました。しかし、何か並んでいる様子には見えません。近くの数寄屋橋・西銀座チャンスセンターでは奇しくも平成最後のドリームジャンボ宝くじが発売を開始していましたが、そのような整然とした行列でもありません。多くの人はスマホ片手に全く別行動をしているように見えます。「みんな号外を待ってんだよ」という声もありましたが、にわかには信じられませんでした。
動きがあったのは午後0時半過ぎのこと。安倍総理大臣の記者会見が終わったころです。集まった群衆が一か所に一気に吸い込まれていきました。ものすごい勢いです。何があるのか?やっぱり号外か?…群衆の外側から近くに行くとその先にはワゴン車が。後部ドアが開き、号外とみられる束を持った人が出てきました。いよいよか…と思う間もなく、たちまち私を含めて人々はもみくちゃになりました。「ちょっと待ってて下さいね」と当初は優しく話していた配布員の女性も「アブナイデース」と、声が“ソプラノ”になっていきました。かなり殺気を感じていたことと思います。その声も“押しくらまんじゅう”で遠くなったり近くなったり…ちなみに号外の配布員は、新聞社の社員が担当していることもあるということです。
「お子様がいるので押さないで下さい」「イタイイタイ」「何だよ!」
悲鳴や罵声が飛び交いましたが、有楽町では幸いけがをした人はいなかったようです。しかし、先を争う人が号外を奪い合い、至る所で「ベリッ」という音が…号外は破るものではないのですが…。
号外を手にした人の新元号「令和」についての反応は様々でした。「いい響き」「まだなじまない。“令”という字は珍しい」「意外だった」「お友達に令ちゃんがいるからよかった」「響きが素敵」「覚えやすくていい」「“昭和”と発音が似ている」…。一方「これで落ち着いてくれれば」という声もありました。新元号が決まるまでそわそわと落ち着かない人が多かったこともまだ事実です。システムの改修など国民生活や経済への影響を最小限にするために、新天皇即位の1カ月前とした公表。これからは混乱をきたさぬような準備・対策が各方面で求められることになります。
今回の号外はもちろん“速報”ではありますが、きょう出ることがわかっていたこと、そしてやはり新元号発表という一回きりの国民的な関心事ゆえ、記念にしようと多くの人が集まったのではないかと思います。(中には“出品”していた人もいたようですが…)
一方、「すごい大変だったけどけがはしなかった。いい記念になった」…春休みで旅行に来ていた小学生の女の子の声です。「お子さんがいるから」と心配する声があった中で、当のお子さんが意外とケロッと冷静だったのが印象的でした。
前述の西銀座チャンスセンター、宝くじ売り場では早くもマスコットが「令和」の札を掲げまして、客とのツーショットに余念がありませんでした。1か月後、いよいよ「令和」の時代が始まります。(了)