ポスト安倍について菅氏の名を出した二階氏の本当の狙い
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月15日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。自民党の二階俊博幹事長が『文藝春秋』紙上でポスト安倍について菅官房長官の名前を候補の1人として挙げた件について解説した。
ポスト安倍を巡っての党総裁
自民党の二階俊博幹事長が4月10日発売の月刊誌『文藝春秋5月号』のインタビューで、菅義偉官房長官をポスト安倍の1人に挙げたことが波紋を呼んでいる。二階氏はこの難しい時代に官房長官として立派にやっている、党総裁に十分耐えうる人材だと指摘している。
飯田)ただ、二階派として菅氏を推したてるかについては「そういう動きをするつもりはない」と語っていますが、このところ急に動いて来ましたね。
須田)来年に予定されている東京オリンピック・パラリンピックが終わり、政治的な波乱が起こらなければ、そこまでは安倍さんがやるでしょう。そのあとポスト安倍ということで後継総裁選び、後継総理選びが本格化します。夏の参議院議員選挙後はそのことを強く意識したなかで、政治的な動きが起こって来る。そう考えると、このタイミングは早すぎるのではないかなと思いますが、政治的な嗅覚に優れている二階さんとして何らかの意図を持ってこの発言をしたのかなと思います。
2つの総裁選の方法~候補となるのは岸田氏と菅氏
須田)総裁選というと、2つの選び方があります。1つは派閥が合従連衡、派閥で話し合って多数派で選んで行くというやり方。もう1つは派閥の合意がないまま、フリーハンドで総裁選が行われるというやり方。この2つに分かれます。過去を振り返ると、例えば小泉純一郎さんの政権を受けて発足した第一次安倍政権、あのとき安倍さんは森派に所属していましたが、森派閥会長の了承を得られずフリーハンドで総裁に選ばれました。そして6年3ヵ月前の第二次安倍政権でも相変わらず森さんの了解を得られませんでした。派閥は町村さんを推していましたから。このときもフリーハンドで当選しました。先だって行われた総裁選においては、派閥の協力、支援を受けて圧倒的多数の票を得ました。では次の総裁選はどうなるのかと言うと、派閥の推薦・協力を得る形で多数派を形成するのであれば、私は岸田さんだと思います。ところが、もしもフリーハンドの総裁選になった場合、浮上して来るのが菅さんなのだろうと思います。
飯田)菅さん自身は無派閥ということになっています。
須田)菅グループはありますけれどね。
飯田)若手中心にガネーシャの会とか、ありますよね。
対立するところもある二階氏と菅氏
須田)派閥の協力を得るとなると、「なんでアイツ?」みたいなムードも漂いますから、なかなか難しいと思います。そう思って眺めてみると二階さんが『文藝春秋』で菅さんを推すような発言をしているのは、非常に意味深いのではないかなと思います。インタビューでは菅さんを候補の1人として挙げていながら、派閥として支援することはまったく考えていないと言っている。
飯田)このインタビューを見ていて面白いのは、ポスト安倍についても語っていますし、安倍4選についても語って、いずれも記者に聞かれたから答えただけだと言っている。この菅さんの話も、「菅さんはどうなのですか?」とインタビュアーが聞いて、「いや、菅さんはよくやってるよ」と答えて、阿吽の呼吸を感じるところもありますよね。
須田)認識しておかなければいけないのは、二階さんと菅さんは、それほどぴったり合ってはいないということです。ある意味では対立しているのではないかという気がしています。
飯田)安倍さんとの関係も二階さんは戦略的互恵関係だと言われていますけれど、菅さんとの間でもいまはこのタイミングで利害が一致しているから、ということもあるのでしょうか。
須田)一方で二階さんの最大の関心事は、自らの選挙区をスムーズに息子にバトンタッチできるのかどうかです。実は公認がまだおりていない。虎視眈々とその議席を狙っているのが、参議院議員で安倍さん側近の世耕弘成さん。そのあたりのことが気になっているから、いろいろと牽制球を投げているのが二階さんの本音ではないかと。これは私の勝手な読みですよ。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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