上皇となられた前天皇陛下 被災地でひとびとに寄り添う姿が印象的な平成時代

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。上皇となられた前の天皇陛下の、現憲法下で象徴天皇として歩まれた30年について言及した。

上皇となられた前天皇陛下 被災地でひとびとに寄り添う姿が印象的な平成時代

両陛下、被災3県を訪問へ  1991年7月、雲仙・普賢岳の噴火被災地を訪問し、遺族、避難住民を励まされる天皇、皇后両陛下=長崎県島原市 提供共同通信

上皇となられた前天皇陛下に各国首脳が感謝の気持ちを表明

昨日4月30日、皇居宮殿で退位礼正殿の儀が行われました。昨日をもって前天皇陛下はご譲位され、上皇となられ、今日5月1日、新しい天皇陛下が即位されております。日本と関係の深い各国の首脳は上皇となられた前天皇陛下に感謝の気持ちを表明しております。

飯田)アメリカのトランプ大統領『アメリカを代表して天皇皇后両陛下に心から感謝する。新しい時代を迎える日本と協調と協力の伝統を継続することを楽しみにしている』と期待感も示しました。韓国・中国・ロシアなど日本を取り巻く周りの国々からも感謝の言葉が届いているという事です。昨日の儀式がまずは終わりました。

佐々木)改めて平成30年、上皇様と振り返る感じがありましたね。丁度新聞記者になったのが昭和63年の4月、平成元年の前の年でした。だから30年間はまさしく自分の社会人人生、メディア人生と同じだったので、なかなか感慨深いものがありました。平成と聞かれて一番多かった答えは戦争がなかったことだと言われていますが、同時に災害は多かったこの30年でした。

先の天皇陛下、上皇様の印象的なシーンというのは、ほぼ災害の時に被災地に行かれて寄り添ってらっしゃる、その姿でしょう。

3年くらい前にマーティン・スコセッシ監督の『沈黙』という映画が公開されました。作家の遠藤周作の原作を映画化したものです。遠藤周作の宗教観は世界でも有名で、ヨーロッパのカトリック教会からは、こんなものはキリストじゃないと批判されています。遠藤周作の作品の中に『イエスの生涯』という、イエスキリストの一生を描いた有名な作品があります。聖書を読むとキリストは奇跡を起こして病気を治したとか書かれていますが、遠藤周作の『イエスの生涯』には、イエスは病気の子供や盲いた女性がやってくると、その横に寄り添ってただ泣いているだけなんです。決して奇跡を起こさない。でも寄り添ってくれる姿が素晴らしく有難くて、みんながそれに帰依していくという、そういう姿を描いているんです。

日本人の宗教観にすごく沿っている印象で、日本人にはしっくりくると思います。先の天皇陛下が被災地に行って常にひとびとに寄り添っている姿は、まさしく遠藤周作のキリスト感そのもの、そういう日本の宗教感覚を体現されている存在だったんだなと改めて感じるところがあります。

飯田)膝をついて、おなじ目線で、元気を出してください、大丈夫ですかってお気遣いされるその姿。

佐々木)昭和天皇は行幸という形で、戦争が終わって、人間裕仁だと言って日本中をずっと回りましたが、あの時は車の窓から手を振っているだけでした。それが平成の時代になると、窓から手を振るだけじゃなくて、実際に近くに寄っていって、手を合わせて拝まんばかりに人々に話しかける。この一歩の踏み出し方は平成の時代ならでは、上皇様ならではの姿だったんだなと思います。

飯田)現憲法下での象徴としての務めって一体何なのかというのを、ロールモデルがなかったわけですものね。

佐々木)まさに今の日本にはロールモデルのなさが目立ちます。天皇のロールモデルもない。じゃぁ日本社会のロールモデルとは何なのか明治維新以来ずっと、昭和になっても、アメリカヨーロッパに追いつけ追い越せでしたが、その追いつけ追い越せがもはや成り立たなくなってきた。未だに北欧を目指すとか言っているひとがいるんだけど、その北欧でさえも今は移民の問題で混乱していて、ポピュリズム政党が躍進してきている。だから令和の、今の時代には我々が目指すべき国のモデルがない。その中でどうやって新しい国のモデルを作っていくかっていう時代になってきているのが令和の時代だなと思います。

 

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