黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、フラメンコダンサーの蘭このみが出演。仕事として行っている振付と踊りの違いについて語った。
黒木)今週のゲストはフラメンコダンサーの蘭このみさんです。
このみさんは舞台に立って踊られるのは勿論のこと、宝塚歌劇団の振付もやっていらっしゃいます。フラメンコの振付をしていらっしゃいますが、いかがですか。ご自分で踊られるのと振付をするというのは?
蘭)振付は踊ることとはまったく違います。振付は計算づくでやらなくてはなりません。自分で踊るときはやりたいことをやって行って、整理します。でも自分で踊るとどんどん踊ってしまって覚えていないのですよね。「さっき何をやったっけ」となる。振付は覚えて構成しないといけないので、そんなことはない。私は踊る方が好きですよ、やはり。
黒木)宝塚歌劇団の振付をなさると聞いて、皆踊りは踊れるけれども、いきなりフラメンコと言われても難しいではないですか。衣装にしても、長い裾のドレスを捌くだけでも大変ですよね。そういったところから指導をしなくてはいけないですよね、基礎から。
蘭)そうですね。でも劇団の皆さんもほんのちょっと、30分くらい教えればすぐにできますから、本当に楽ですよ。ただ足のステップ、パソだけは、タップはやっているけれど、フラメンコの細かい足がついて来ないと言うので、毎日練習していますね。
黒木)タップだとヒールなどがありますけれど、これはフラメンコの場合も。
蘭)トゥと、ヒールと、プランタという足の指の付け根のところとか。それから全部でバンバンとか。そういういろいろな、4つくらいのものを組み合わせてやります。なるべく複雑にしないのですが、テンポが速いので、そのテンポで足を鳴らすのに皆さん稽古しています。
黒木)でも足を鳴らしながら体で表現するでしょう。それがバラバラになりがちですよね。
蘭)これは慣れなのですよ。振付でも、そういうことを全部1度に押し込んでしまいますけれども、こなしますものね。本当にすごいですよ、劇団の生徒さんは。今頃になって感心しております。
黒木)そのフラメンコを、このみさんは初舞台生のときにフラメンコが合うのではないかと言われて、それから在団中に留学なさるのですけれども、そのときがフラメンコとの出会いですか?
蘭)そうですね。山田恵子先生のところで教えていただいたときも1つのカルチャーショックでしたが、スペインに行って本物の音を聴いたときは衝撃的でした。木のタブラの音、迫力とかリズムの取り方とか、スペイン人のフィーリングとか、驚きました。宝塚にはなかったものだったのですよね、その音が。1回も経験したことがなかった音の質でした。
黒木)留学なさっていた11ヵ月は、どんなスケジュールだったのですか?
蘭)教室に通うだけでした。お稽古場に通って、自習して家に帰って。毎日、稽古場と家との往復でした。予習して、受けて復習して、次の稽古の予習をして、受けて復習して。1日に6~8時間位やっていました。観光もしましたけれど。
黒木)スペイン語は。
蘭)あまり語学は強い方ではないですね。
黒木)でも行っていらっしゃる間に随分上達なさったでしょう。
蘭)そうですね。上達せざるを得ない、下手ですけれどね。下手なりに。
黒木)フラメンコと言えば、かけ声がありますよね。
蘭)「オーレ」とか。
黒木)フラメンコとは身近なものなのですか?
蘭)スペインの人たち皆がということではないですけれども、やはり好きな方たちにとっては身近なものです。あと南スペインの収穫の踊り、手首を回して実を取って籠に入れるという動きがフラメンコの手首になっているわけです。動き自体がイベリア半島の南にあったので、それを見たら私たちはフラメンコ的と思いますね。
蘭このみ/フラメンコダンサー■東京都出身。
■1983年、宝塚歌劇団退団後、スペイン舞踊家として活動を開始。日本人の踊るフラメンコの可能性を求め、日本の古典を題材に古典音楽と融合させた作品に取り組む。
■1998年からは「日高川」「明烏」「桜幻想」「花がたみ」の4作品。舞台美術家の朝倉摂の大きな協力を得て作品創りを行い独特の世界を踊った。また西洋舞踊との接点を追求する作品にも意欲的。
■1997年には文化庁芸術家在外研修員としてスペインへ。サンルーカル・デ・バラメーダ市メルセデス劇場でフラメンコ・コンサート「カフェ・カンタンテ」に出演。
■2002年、「明烏」で(社)現代舞踊協会「河上鈴子スペイン舞踊賞」を受賞。
■2004年、「桜幻想」で文化庁芸術祭大賞及び 舞踊批評家協会賞を受賞。
■宝塚歌劇団公演、NHK番組など、数多くの振り付けを行っている。
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