泥沼の日韓関係~暗雲立ち込める日米韓の安全保障
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月2日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。韓国をホワイト国から除外する閣議決定について解説した。
日韓外相会談も平行線~韓国の優遇措置からの除外をきょうにも閣議決定
政府は、河野外務大臣と韓国の康京和外相が1日に行った会談を踏まえて、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る、いわゆる「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を、きょう2日にも閣議決定する方針を固めた。関連する政令の改正が決まれば、韓国は今月(8月)下旬にも優遇対象国から除外され、輸出管理を厳しくする対象が幅広い品目に拡大される。
飯田)厳しくするか、基準の見直しという表現もしておりますが、いよいよこういう段階に入って来ました。
宮家)ご承知だと思いますが、閣議決定というものは、その日に初めて考えるわけではなくて、ずっと前から事務的に下から積み上げて来て途中で様々なサインをして、その上でようやく閣議に上げる、つまり今は最終段階です。もう相当前からわかっていたことですよね。ポンペオさんが「仲介する」と言い出し、ホワイト国除外をやめろと言っているのだけれど、仲介やるのだったらもっと早くやらないと。閣議決定をやる直前にこんなことを言ったって、プロセスが止まるわけがないです。韓国だって同じような状況でしょう。そもそも両方が受け入れないと仲介はできない、受け入れていないのに仲介を公言するということは、仲介は「できない」と言っていることと同じです。本当に仲介を真面目にやるのだったら、静かに水面下で働かけ、まず日韓で妥協をさせて、最後に結果を発表すればいいのだけれど。
米の仲介~いまからでは遅すぎる
宮家)もともとどこから混乱が始まっているのかと言うと、金正恩さんに会うと言い出した去年(2018年)から米国の東アジア外交はずっとガタガタしているわけですから。その大きな流れのなかで、韓国がアメリカは韓国の立場を理解をしてくれている、一緒にやってくれるのだと思えば、当然その気になりますよ。ワシントンの東アジア、北東アジア政策がしっかりしていないからこういうことになるのだ、とすら言いたくなります。
残念ですが、ここまで来たらアメリカの介入は難しいです。そして閣議決定をすれば、韓国は必ず対抗措置を取ると思います。いずれにせよ、泥仕合になるでしょう。
飯田)日本として、今回の件はそもそもの輸出管理をちゃんとしていない、というところから始まりました。
韓国の外交に変化
宮家)文在寅さんになる前から起きていることは、韓国の外交が変わりつつあるということです。北朝鮮の脅威は実際にあるのだから、当然守りはしっかりしなければいけないでしょう。文政権はそれを犠牲にしてまで独自性、主体性のある外交をしよう、中国や北朝鮮、ロシアとも上手くやって、それにより朝鮮半島の主体性を回復したいという気持ちがないとは言えないでしょう。そのような状況で、韓国を如何に扱うかについて、日米でも前からしっかり話し合いをすべきだったのかもしれません。私がいちばん恐れているのは、GSOMIA、秘密保持協定ですね。これも韓国がずっと嫌がっていましたが、朴槿恵政権末期にやっと英断をしてくれました。これは、何かあったときに韓米日の間でしっかりと軍事秘密情報を共有し、抑止力を高めることができるというものです。これで韓国の方からGSOMIA破棄の可能性を言い始めたら、北朝鮮からすると「また米韓日は内部でコケている」と笑っていると思います。GSOMIAがなくなってくれたら、北にとってはますます有利になりますから。もしそうなれば、アメリカにとっては日本以上に極めて大きな打撃になると思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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