対米貿易額が13%減少~それでも中国がアメリカに譲歩しない理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月9日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。中国の対米貿易の総額が13%減少したニュースについて解説した。
中国の対米貿易が13%マイナス
中国の税関総署は8日、中国の1月~7月の対米貿易総額が前の年の同じ時期と比べて13.4%マイナスの3080億740万ドル、日本円にしておよそ32兆7000億円だったと発表した。輸出入ともに減っている。アメリカと中国は6月の首脳会談以降、貿易摩擦の解消に向けた協議を再開したが、具体的な進展はなく、貿易縮小に歯止めがかからなかった。
飯田)輸出入ともに減ったのですけれど、差し引きで言うと黒字の額は4.2%の拡大ということだそうです。
宮家)とにかくトランプさんはすべて来年の大統領選挙のためにやっています。どこまで深く考えてやっているか知らないけれども。それをわかっている中国側は、来年(2020年)の大統領選挙でトランプさんが負けるかもしれないと期待する。民主党の候補者の方が中国に対してやさしいから、「今は何もせず黙って見ていよう」と米国の足元を見ている可能性があります。そもそもトランプさんの言うとおりに譲歩していったら中国共産党は危なくなりますからね。そんなことはとても受け入れられないので、米中はやはりガチンコがつづくわけですよね。
それでも中国が譲歩することはない
宮家)第2に、25%の関税をかけると、それを払うのは輸入する方のアメリカ人です。しかし明らかにトランプさんが望んだ成果は出ている。すなわち、全体の貿易量が縮小している。そして中国を国際経済、もしくはアメリカを中心とする経済、からデカップリング、すなわち切り離す方向に動いています。いまは、たまたま貿易が13%マイナスということだけれど、今や戦場はもう為替に動いていますよね。アメリカとしては中国を懲らしめようと、関税をかけていくので、どんどん中国の対米貿易黒字が減って行く、そうすると中国の経済が回りにくくなる。中国の人民元は、昔は1ドル6元だったものが7元になっていますから、これ以上安くなったら暴落しかねません。中国人はそんな人民元を持ちたがりませんから、金に変えるなり、外国で不動産を買いたいと思う。でもそうなると中国経済がおかしくなるので、必死で中国は現状を守らなくてはならない。だから米国に対して降りるわけがない、譲歩するわけがないのです。非常に悪い方向に動いていると思いますね。
飯田)下支えするためには、元が安くなっているところで元を買おうと思ったら、ドルが必要と。中国は米国債をたくさん持っていますよね。それをどうにかして…。
宮家)それはよく言われることです。確かに、売るときは売るかもしれないけれど、売っても米国債が暴落するだけでしょう。暴落してどうなるかと言うと、中国が得るものが減るということです。アメリカは連邦中央銀行がそれを買えばいいだけだから。
飯田)なるほど、自分のところの通貨ですからね。
宮家)もちろんその副作用はあるでしょうが、私は経済の専門家ではないけれども、それは中国にとっても自殺行為になると思います。
飯田)この先も長く続くと。
宮家)現状は当分続きます。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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