ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月9日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アメリカ、デイトンとエルパソで起こった銃乱射事件をうけ、トランプ大統領が現地を訪問したニュースについて解説した。
頻発するアメリカの銃乱射事件、トランプ大統領が現地を訪問
アメリカ中西部オハイオ州デイトンとテキサス州エルパソで合わせて31人が死亡した銃乱射事件をうけ、トランプ大統領は7日、事件が起きた現地をそれぞれ訪問した。この訪問にはトランプ大統領が消極的とされる銃規制や、ヘイトクライム(憎悪犯罪)への対応の批判をかわす狙いがあると見られている。
宮家)最近アメリカでは銃乱射が日常茶飯事になっているのですね、ひどい話です。昨日もずっとテレビでCNNを観ていました。問題は山積みなのですけれども、今回トランプさんが言ったことで問題なのは、精神的に不安定な病んだ人たち、ゲームをやっている人たちが悪いと言っていることです。でも、そういう話ではないのですよね。残念ながらアメリカには「刀狩」という伝統はなく、みんな銃を持っているのですから・・・。みんなが銃を持っているところで非武装というわけには行かない。自らを守らなくてはいけないという米国人の気持ちは分からなくはない。しかし、日本から見たらとんでもない話です。
特定のターゲットを狙った乱射事件は「国内テロ」~アメリカ人のテロの犠牲者は国内の方が多い
宮家)もう1つ大事なことがあります。トランプさんは白人至上主義を批判はしているのですけれど、どうも弱いのですよね。大統領が強く言ったからと言って、白人至上主義でなくなるというわけではないのですけれど、そのことについて批判が集まっているのは事実です。もっと言えば、最近のアメリカの議論のなかでいちばん興味深いのは、エルパソのようなヒスパニック系を狙った乱射事件は「ドメスティックテロリズム」、つまり国内テロだと言い始めているのです。昔なら「変な人たちの乱射があって、止められませんでした」という世界だったのですけれど。最近アメリカで顕著なのは、例えばユダヤ教徒、もしくは移民、特にヒスパニックに対するものや、アフリカ系黒人などの特定のターゲットを狙った乱射事件です。しかも戦闘に使うような、弾倉に100発くらい入れて連続して撃てるライフルを使用しているのですから、「これはテロだ」という認識になって来ていると思います。確かに考えてみると、アメリカ人のテロの犠牲者は国内の方が多いということです。海外ではほとんどなくなりましたが、その意味で今回のような「国内テロ」事件は新しくて、古い問題なのだなと思います。
飯田)いままでは銃規制の文脈から言って、ライフル協会という団体もあり、なかなか進まなかった。それがテロ対策という別の文脈から、ひょっとしたら解決策につながるかもしれないですね。
宮家)テロ対策であると同時に、ヘイトクライム、憎悪犯罪対策ですからね。確かにこれは正確な切り口なのだろうと思うけれど、こうした事件がどんどん増えている。トランプさんが助長しているというのは言い過ぎだとしても、彼がそれに対して毅然たる態度を取っていないということも事実です。状況は非常によくないと思いますね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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