ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月23日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。イギリスのEU離脱について解説した。
英仏首脳会談~マクロン仏大統領とジョンソン英首相が初会談
フランスのマクロン大統領は22日、パリでイギリスのジョンソン首相と初めて会談した。ジョンソン氏はメイ前首相がまとめたヨーロッパ連合(EU)離脱案の修正交渉を目指しているが、マクロン氏は会談前に行われた記者会見で、イギリスとの再交渉に否定的な姿勢を改めて示している。
飯田)あと約2ヵ月で離脱、10月末ということですが。
宮家)ジョンソン首相は、以前のメイ内閣で外務大臣をやっていた人でしょう。直接交渉をどの程度やったかはわかりませんが、それならEUの立場をわかっているはずです。またドイツのメルケル首相は、リップサービスなのかもしれませんが、「それだけ言うのであれば案を出してくれ」と言ったそうですね。そんなことをよく言えるなと思います。EUは20数ヵ国あって、フランスなどはイギリスに対しけんもほろろですよね。いままで何度も譲歩に譲歩を重ねたのに、結局メイさんはイギリスの国会で関連法案を通せなかったわけだから、すでに万事休している。それをまた譲歩しろなんて冗談ではないと、フランスだったらそう思いますよね。特にマクロンさんはEU主義者、欧州国際主義者ですから。そんな身勝手なことを言い出したらEU全体がバラバラになることを分かっているので、冗談じゃないと思っているのでしょう。
メイ前首相にできなかったことが、ジョンソン首相にできるのか
飯田)ジョンソンさんからすると現状は八方塞がりですが、「近づいて来たら、お前たちは本当にやばいことになるぞ」というのを梃子にしているということはありますか?
宮家)何か恐喝のようですよね。実際にその悪影響を自分たちで調べてみたら、イギリスが「合意なしのEU離脱」をしようものなら大変な目に遭うという、機密文書がメディアに流出してしまったわけです。
飯田)GDPが1割くらい減るという話がありました。
宮家)通関が止まって物資が入らなくなり、大混乱になるという話ですよね。なぜそういうものが漏れるのかわかりませんが、国内でも彼に対する反対派がいるということですよ。その意味では前途多難です。イギリスの新しい首相だから、いまのところはみんな付き合ってくれるけれど、このまま行けばEUとの衝突です。メイさんがあれだけやってできなかったことが、どうしてジョンソンさんにできるのでしょう。もともと煽ったのはジョンソンさんなのですから、きちんと責任を取れということなのでしょうが、世の中にはやりっぱなしの人もいますからね。ガチンコでやったら、イギリスはどうなるのか。アメリカに頼ると言ったって相手はトランプさんですから、一体どうやって頼るのでしょうね。
英米首脳の初顔合わせはG7になる
飯田)ジョンソンさんとトランプさんの初顔合わせは、おそらくG7になるのですよね。
宮家)2人の仲はいいそうですから、どちらも英語が喋れるし、意思疎通はしっかりしているのでしょう。
飯田)G7の話題だと、首脳宣言が出ないのではないかという話もありますよね。
宮家)いまのアメリカ大統領は、本当に破壊力抜群ですね。いままで国際社会が作って来たものを全部壊している。まだ創造的な破壊であればいいのだけれど、破壊のための破壊であるような気がします。こんなことを繰り返していたらどうなるのか、とても心配です。
飯田)そのトランプさんを唯一諫めることができるのは、安倍さんだと言われていますが。
宮家)本当に諫めることができる人は、世界中に誰もいないのではないですかね。いるとしたらイヴァンカさんかもしれませんね、父親は娘には弱いから。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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