台風19号災害~改めて問われる公共事業と自治体の在り方

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月29日放送)にジャーナリストの有本香が出演。台風19号の災害が激甚災害指定に閣議決定されるニュースについて解説した。

台風19号災害~改めて問われる公共事業と自治体の在り方

非常災害対策本部会議であいさつする安倍首相(左から2人目)=2019年10月15日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

台風19号、激甚災害指定を閣議決定

10月12日と13日、東日本を中心に大規模な被害をもたらした台風19号による被害について、安倍総理大臣は激甚災害への指定を29日に閣議決定することを明らかにした。これが指定されると、被災した自治体が行う復旧作業に対して国の補助率がかさ上げされるなど、財政的な支援が強化される。

飯田)その後も、台風21号などに伴ってということもありました。

有本)そうですよね。復旧して行くなかで、また追い打ちをかけるような形になったので、本当に甚大だと思います。今回、激甚災害への指定が29日に閣議決定されますが、安倍総理は早い段階で言及していました。早い段階で言及したということは、極めて重要なことだと思います。私の出ているインターネット番組で、台風の災害の直後に、大阪の吉村洋文府知事に電話で少しお話を伺いました。今回は東日本の被害が大きかったので、西日本の関西広域連合の6府県が、それぞれ相手を決めて支援をするという取り組みをしました。それについてお話を伺ったのですが、自治体の長としては、「お金のことは心配するなと政府に早めに言って欲しい」という心理だと言っていました。あの時点で総理が激甚災害指定について言及したので、復興して行くにあたり、「国の補助はかなり得られる」という多少の安心感はあったと思います。それにしても今回は、副次的に出て来た被害が多いですよね。

飯田)そうですね。雨が降って、当座でお亡くなりになった方ももちろんいますが、水源地に降った雨が後から流れて来て被害に遭った方も多かった。

有本)そういう意味では今後、公共事業やあらゆる整備関係を復旧することだけではなく、どう考えるかということに、もう1度立ち返る必要があります。それから、激甚災害指定の一覧を見るとわかりますが、以前、他の番組で取り上げたことがあるけれど、日本は何年かに1度、大きな地震が起きるということは私たちの胸のなかにあっても、水の被害が毎年起こるということはありませんでした。

飯田)去年(2018年)は関西が大きな被害を受けました。

有本)今回、東日本では農産物の被害が大きい。

飯田)収穫期でしたからね。

有本)1700億円を超える被害ということです。農家の方々はもちろん大変ですし、農産物の値段が変わる可能性があります。

飯田)そうですよね。市場で青果をやっている人に話を聞きましたが、値段が上がりつつある。仲卸の方々は、ここがだめなら別のところでと代替えはあるけれど、みんなが殺到するわけですからね。

有本)一時的であっても、物が少ないでしょうからね。政府がまだ全容を掴みきっていないということが、また問題です。

台風19号災害~改めて問われる公共事業と自治体の在り方

台風19号 千曲川(左)の決壊現場。濁流が長野市側の住宅地(右)を襲った=2019年10月13日午前11時47分、長野市 写真提供:産経新聞社

公共事業と自治体の在り方についてもう一度考え直さなければならない

飯田)そうですよね。基礎自治体の大合併があって、人減らしを続けて来たということで。

有本)体制が弱くなっていますからね。

飯田)その影響はあるようですね。

有本)自治体が被害を受けてしまって、機能が果たせないというところもありますから。行政の効率化ということと同時に、日本のようにこれだけ災害の多い国だと、基礎自治体の役割が改めて問われるところがあります。効率化だけではすまされない点も、課題として残ったのではないですか。

飯田)ここ20年くらい、災害が少なかった時期かもしれないですしね。

有本)意外にね。

飯田)リスクを低めに見積もって人減らしをやったけれど、それが変わって来た感じがしますね。

有本)公共事業を減らして来たことと、自治体をスリム化して来たこと、これが今回の災害においては問題になるでしょうね。

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