馬毛島が米軍空母戦艦訓練の候補地に至るまでの長い経緯
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月2日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。在日米軍の空母艦載機訓練の候補地・馬毛島の買収ついて解説した。
在日米軍の空母艦載機訓練候補地である馬毛島
馬毛島は鹿児島県の種子島からおよそ12キロ離れた無人島。在日米軍の空母艦載機訓練の候補地であるこの島をめぐり、防衛省は島の大半を所有する開発会社との間で、およそ160億円で買収することで一定の合意に達した。アメリカ軍の訓練の他、自衛隊の施設も整備し、中国の海洋進出を念頭に置いた南西防衛の拠点とする方針。
飯田)アメリカ軍の空母艦載機が、地上の滑走路を空母の甲板に見立てて、着陸後すぐに離陸する「タッチアンドゴー」をやるということですね。
須田)馬毛島は無人島であることに加えて、ほとんど起伏がないため、空母に見立てることが容易なのですよ。
飯田)リアル不沈空母みたいなものですか。
須田)非常に使い勝手がいいのですが、馬毛島についてはこれまでに紆余曲折がありました。私が最初にこの島を認識したのは、1980年代です。
飯田)もう30年以上前ですか。
島を所有していた平和相互銀行
須田)平和相互銀行というところがあって、ここがほぼ全島買収するのです。平和相互銀行は、太平洋クラブを関連会社として持っていました。
飯田)太平洋クラブ。ゴルフ場の開発や、一時期は球団も持っていましたね。
須田)銀行のお金と不動産開発、レジャー開発を結び付けた銀行だったのです。ただ、この銀行は不良債権を大量に抱えて、結果的に住友銀行に吸収合併されます。その後、不良債権処理や資金回収のために、馬毛島を自衛隊に売ろうということになりました。自衛隊が欲しいと言ったわけではなく、これを売ったら相当なお金になるのではないかということで、平和相互銀行からお金が動いて政界工作が行われたのです。数十億円のお金が動いたとも言われていて、馬毛島疑惑などと当時の国会でも取り沙汰されました。結果的に紆余曲折を経て、今日持っている会社に渡るのですが、それ以降も何らかの形で国に売却するとお金がたくさん入って来るのではないか、民間よりも国だということで、水面下で蠢いて来たところがありました。いま報道ベースにある写真を見ると、もう自前で滑走路をつくっているのですよ。それを整備してから、さらに金額を上乗せすると。
飯田)なるほど。整備したからもっとお金をよこせということですね。
須田)ところが、今度は会社のなかで内紛が起こって、その思惑を持った社長が追い出されるという状況でした。しかし今回100%決着したかというと、地元自治体が1%を保有していて、基地になることにあまり前向きではないという報道もあります。
飯田)西之表市というところですね。空母艦載機の離発着訓練は厚木基地でやっていますから、近所の人はものすごい音がするのでどこかへ移してくれと、前々から言っていたことですよね。そしてようやく岩国へ移りました。
訓練以外の設備はどうするのか
須田)騒音問題ということで言うと、無人島は大きなアドバンテージを持っているのですよ。ただ、訓練する側からすれば何もないところです。
飯田)訓練が終わったらどこへ飲みに行くのだ、という話ですね。
須田)普天間基地移設の候補地にも挙がったことがあるのですが、そのときもそれがネックになりました。
飯田)この先も、まだまだ二転三転するかもしれませんね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00
≪コメンテーター≫9(月)須田慎一郎/10(火)有本香/11(水)高橋洋一/12日(木)鈴木哲夫/13(金)佐藤正久 参議院議員(青山繫晴 参議院議員 アメリカから電話出演)
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