沖縄慰霊の日~普天間基地を辺野古に移設すれば事足りる問題ではない
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月24日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。普天間飛行場の移設問題について解説した。
沖縄慰霊の日
6月23日、沖縄は慰霊の日を迎えた。74年前の太平洋戦争末期、壮絶な地上戦で県民の4人に1人が犠牲となった沖縄戦の慰霊行事が各地で開かれた。最後の激戦地となった糸満市摩文仁にある平和祈念公園では県主催の沖縄全戦没者追悼式があり、玉城デニー知事が平和宣言を読み上げ、安倍総理も出席した。
飯田)玉城知事はアメリカ軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を進める政府を、宣言のなかでも強く批判しています。一方で式典後、安倍総理は記者団に対して次のように述べています。
安倍総理)辺野古への移設は基地を増やすものではありません。普天間飛行場の3つの機能のうち、1つに絞って辺野古に移します。1日も早い普天間飛行場の全面返還に向けて、全力で取り組んでいきたいと考えております。
飯田)沖縄慰霊の日ですけれど。
須田)慰霊の日ぐらいは怒号や批判的な言動は控えて、心穏やかに式典を行えたらよかったとは思いますが、声を上げざるを得ない人たちがいることも間違いないですね。
普天間基地を辺野古に移設すれば事足りる問題ではない
須田)辺野古問題を真摯に考えると、普天間基地の移設は小泉政権のときに決まったのですよ。どういう経緯で辺野古に決まったかと言うと、もともと辺野古への移設は言われていて、沖合なのか、海上案、陸地案なのかというところで議論が行われていた。ただ、当時の小泉政権下では自然環境なども含めて考えると、埋め立ては必要だけれど陸地案が最も適当だろうということになった。当時の名護市、沖縄県知事や沖縄県、日本の官邸、そして防衛庁と元防衛庁長官の額賀さん。またアメリカ国防総省、およびアメリカホワイトハウス。この両者がすべて合意して、バランスを取りながらようやく決まったのですよ。それが一気にひっくり返された経緯がある。
アメリカとも約束して一旦決めたことをひっくり返すには、日本政府としてもそれなりの交渉がいる。一方的にひっくり返すわけにはいきませんからね。そのなかで米軍再編、あるいはグアムへの海兵隊の移設など、すべて連携して来る話なのですよ。単純に普天間基地を辺野古に移設すれば、それで事足りる問題ではない。グアム移設にあたって費用の一部を日本が負担するとか、そういったことも含めて全部動かして決まった話なのですね。それを御破算にするのは大変な作業なのです。
一方で、沖縄の民意や住民投票の結果も意識しなくてはならない。そのなかでどうするべきなのか、反対派、賛成派、移設推進派もいま1度考える必要があると思います。
一旦決まった約束を見直すことは難しい
飯田)海兵隊にはかなり泣いてもらったということが、後の証言では出て来ています。3つの機能のうち1つを辺野古に移すとなると、アメリカサイドの言い分からすれば、「うちも譲歩したのにどうして進まないのだ」となって来るのですか?
須田)アメリカサイドとしては、大幅に譲歩したという意識があるのですよね。加えて、例えば日本もグアム移設にあたり、どういう形で日本政府としてバックアップができるのか。海外の軍隊、アメリカの軍隊や施設ということになるから、予算でお金を出すわけにもいかない。そこも国際協力銀行などの支援を受ける形で、いろいろと知恵を絞ったのですよ。そういうことからゼロベースで見直す、新しい形で組み立てるのは相当難しい作業だと思います。だからと言って、やらなくてもいいわけではないですからね。
飯田)現状これを続けて行くとなると、今度は普天間の危険性の問題が必ず出て来ますものね。
須田)その一方で、とんでもない議論だとは思うけれど、いま沖縄サイドから沖縄独立論などが高まっているのを見ると、強引に進めることが是なのか非なのか考えなくてはいけないと思いますけれどね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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