辺野古の埋め立て再開~沖縄に対して政府が見せるべき姿勢
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月6日放送)にジャーナリストの末延吉正が出演。辺野古の埋め立て工事再開について解説した。
辺野古移設、岩屋防衛大臣が土砂の積み込み作業再開を表明
岩屋防衛大臣は昨日、アメリカ軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、一時停止していた埋め立て用の土砂の積み込み作業を再開したと発表した。この積み込み作業については、沖縄県から必要な手続きに不備があるとの指摘を受け、3日午後から一時中断していた。
飯田)民間の桟橋から積み込むというところで、その最終的な許可などに不備があった。それを直して積み込み再開、ということだそうです。
末延)予定通り進んで行くと思います。ポイントは、来年の2月14日に県民投票をやることです。法的な拘束力はないけれど、沖縄の民意がどう出るかということなのです。反対が多いのでしょうが、一方で、石垣・宜野湾・糸満・うるまの4つの市は参加を保留していますよね。沖縄にも普天間の危険を除去するというリアリズムですよね、「具体的に少しでも改善した方が良い」という声もあります。
沖縄基地問題~回答の出ない「差別」という問題設定
末延)メディアも含めた体制は、ガチンコの状況になっている。そして、問題設定が間違っていて、基地の問題をどうするかは日本の防衛に関わるところで、中国が超大国になってアメリカとの戦いをしている。あるいは、北朝鮮も核を放棄しない。沖縄の人の心情を考えるとなかなか言いづらいのだけれど、問題が「沖縄差別」という形で設営されてしまった。これは人生不条理みたいな話で、回答の出ない問題設定になっているのですよ。従って、政府の方は日米同盟を基軸で安全保障のために基地を縮小しつつ、移転すると。これはもう動いて行くのですよ。そのなかで問題になるのは、反対する人たちが「沖縄を差別するのか」という論理の立て方をしたことによって、いまの国会と同じように、両者がいくら話をしたって同じ土俵で1つの目標へ向かうことにならない。そこを突いて来るのが中国であり、北朝鮮だということを考えると、なかなか悩ましい。
いまは東京の有楽町だからこう言うけれど、もし那覇や辺野古で放送しているとしたら、それは歴史的な経緯を考えても言いたくない気持ちはわかります。だけど、二枚舌で言うわけにはいかない。選択肢としてリアリズムで行くのか、理想論なのかというところです。少なくとも、差別だという問題設定から抜け出さないと、答えが出せないですよね。
飯田)沖縄も含めて日本国としてどう守るのか、ということですから。そうして考え抜いた移転先が辺野古だったわけですね。
日米地位協定の改善は必須
末延)少なくとも、政府は努力すべきです。あとは、日米地位協定です。米兵による暴行事件が起きる度に、日本人全体が受け止めているじゃないですか。それはあってはならない。独立国に外国軍がいるのは、本当は好ましくないのです。だけど、具体的に日本の防衛体制を考えたとき、日米同盟以外には選択肢がありません。そのなかで、少なくとも日米地位協定の、属国的な部分は改定していかなければなりません。
飯田)公務中に犯罪を侵したら、日本国としては警察権を行使できない、とか。
末延)もう戦後70年以上ですよ。沖縄返還は、僕が高校生の頃でした。そういうところはもっと政府の努力が必要です。アメリカ政府に要求する姿を見せることが、1歩1歩だけれど沖縄の人の理解へのプロセスだと思うのです。
飯田)末延さんはたしか山口の岩国出身、僕は横須賀なのですよ。お互いに基地を抱えている都市で育った身としては、沖縄での米兵暴行はかなり大きく報道されますが、我々の近くでもあったよな、日本人全体の問題だよなと思います。
末延)僕のいた光市の虹ヶ丘という海水浴場は、岩国基地のアメリカ兵がいつも来て、いろいろなものを貰ったり、キャンプの仕方を教わったりしていました。基地はずっと見て来たし、いまも岩国空港は米軍との共用です。基地と言ったら誰も好きな人はいないけれど、現実に防衛は必要ですからね。差別という設定から抜け出すことだと思いますよ。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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