NHKの肥大化は疑問~常時同時配信4月開始へ
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月10日放送)にジャーナリストの有本香が出演。NHKの常時同時配信について解説した。
NHKのネット常時同時配信、来年4月から開始
NHKは9日、テレビ番組を放送と同時にインターネットに流す「常時同時配信」について、総務省から求められていた回答を発表し、当初目指していた本年度中の開始を断念。2020年4月から配信を始めると明らかにした。
飯田)ネット常時同時配信。ラジオの場合はradikoを通じて既にやっていますが、NHKはニュースなども含め、それをテレビでやるということです。いままでも災害時などは特別にやることもあったのですが、それを常時やっていく。民業圧迫につながるのではないか、という批判も出ています。
NHKと民放各社の経営の違い
有本)NHKと民放各社というのは、ビジネスモデルがまったく違います。NHKの場合はネット同時配信をやって、ネットにつながる端末からすべてお金を取るということが堂々とできます。だから、ネット同時配信をやった方が得なのです。しかし民放のテレビ局はスポンサーとの契約の関係がありますから、ネット同時配信をしてしまうと、それが崩れてしまいます。新たにそこを織り込んだ形で契約ができるかどうか。もう1つは、権利関係がどうなるのかというところです。ネットの場合は世界中で見られるメリットがあるけれども、いままで日本のテレビ映像は外国で放送、配信するという契約にはなっていない。それが果たしてクリアできるのかという問題があります。
飯田)そうですね。スポーツや芸能関係なども含めて、映り込むものがどこまでの契約になっているのか。
有本)それをすべて見直さなければいけないところがあります。NHKはその辺りが、民放よりは事情が複雑ではないという部分はあると思います。
飯田)来年(2020年)4月から配信開始ということになると……
有本)おそらく、オリンピックまでにどうしてもやりたいということではないかと思います。
飯田)まさにオリンピックの映像なども、権利の塊のようなものですよね。
有本)そこがどうなっているのか気になりますよね。ただ今回の見直しのなかで、オリンピックについては除いたということではないでしょうか? 時間が押してしまったので、その辺りの調整が間に合わないのだと思います。
経営の多角化は国民に望まれているのか
有本)私はNHKに関して、割合批判的な立場からものを言って来ました。NHKの会長人事で、次期会長にみずほフィナンシャルグループ(FG)元会長の前田晃伸さんが就かれることが決まりましたが、経済界出身者ということで、ぜひ大胆に、いわゆるNHK改革をお願いしたいと思っています。1つは、NHKのなかでいろいろなチャンネルがありますよね。NHKは我々の納めている受信料で経営をしていますが、その経営が多角化しています。私は多角化する必要性はあるのかと、根本的なところで疑問があります。NHKを巨大なNGOのようなものだと考えると、本業以外、あるいは本業であっても、あまりにも多チャンネル化を進めて受信料をどんどん取るぞという方向に行くのは、国民としては望んでいないと思います。
飯田)新聞などを見ると、「DVDが出ました」という一面広告をガンガン出していたりしますね。
有本)新社屋の問題もあって、納得感がいまいちないですよね。むしろコアな部分に絞り込んでもらえば、受信料を下げられるのではないかと、私は以前から思っています。そのなかでネットの同時配信や、いろいろなことにチャレンジしていただきたいけれども、いまの膨らんでいる経営はあのままでいいのかなと思いますね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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