ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月12日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。NHKが放送と同時にネットでも配信すると発表したことから、直面する通信と放送の位置づけについて持論を述べた。
NHKが放送とネットを同時配信~放送と通信の境目はどこなのか
NHKがテレビ番組を放送と同時にインターネットで配信することについて、総務省が容認を固めたことが昨日分かった。NHKは2019年度中に総合・教育の2チャンネルの配信を始める意向で、公共放送から公共メディアへの脱皮を目指しており、肥大化を懸念する声も出そうだ。
飯田)2019年度ということは、来年度からですね。あと半年を切っています。民放はずっと反対しているようですね。
鈴木)2019年は1つの節目になると思います。元号が変わるし、翌年には東京オリンピックという最大のコンテンツが待っています。
そもそも民放からすると、NHK肥大化により既得権のようなものが侵されてしまうかもしれないという、「NHK問題」のような捉え方がありますが、私はそうは思いません。
つまり、ネット社会が広がっていくなかで、「放送(テレビ)と通信(ネット)の境界線はどうなるのか」という問題は絶対に起きると分かっていたわけです。それは、いままでのある種の既得権などの仕組みのなかで、どうにかお互い権益を守りながら、「ここは侵すまい、侵されないように」と棲み分けてきましたが、もう限界だと思うのです。ネット社会は当たり前の社会になり、そこでどんどん進んでいるわけですから。
だから、私は思うのですが、従来の日本の法律・行政も含めて、「これが通信である、これが放送である」と、放送と通信の位置づけから何から、もう1度整理する時代に来たと思います。
放送と通信の位置付けからもう1度やり直していくべき話
鈴木)かつて放送というのは「マス(大衆)に対して」だから、当然品質なども制約があった。
通信はある意味で1対1のコミュニケーションですから、簡単に言えば自由で何でもあり。ではその辺の境界線はどうするか。従来の放送と通信では、メディアもテレビやスマホなどいろいろありますが、そういうものが、「ここからがちゃんと公共性や公平性をきちんと持ったものにする。メディアは、何に当たるか?」みたいな位置づけをもう1度整理し直さないと、このまま従来の既得権のなかでずっとケンカしたりではいけない。今回もNHKの問題ではなく、そこから作り替えなければいけない時期に来ている。予想はされていたけど、業界は何となくやり過ごしてきた。
飯田)通信の方にも、たとえばデマを流さないようにするには、フェイクニュース規制みたいなものが各国で出ていますよね。
鈴木)それはそれでもちろん大切です。しかし、それをやり過ぎることで、通信の自由が失われたりもする。だから、線引きは本当に難しいです。だけど、それをやらなければいけない時代が来る。分かっていたのに、いままで手を着けなかった。それが背景にあると思います。
飯田)この問題を「マスコミの内輪ゲンカ」ではなく、ネットを使っているみんなの問題になるということですね。
鈴木)「放送とは何か」、「通信とは何か」の位置づけから、もう1回しっかりやり直す話だと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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