国連安保理に北朝鮮問題の会合開催を要望する“トランプ大統領の事情”

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月11日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。国連安保理が北朝鮮の核・ミサイル問題について、緊急会合を開催することを決定したニュースについて解説した。

国連安保理が北朝鮮の核ミサイル問題について会合を開催

国連安全保障理事会は日本時間の12日午前5時から、北朝鮮の核・ミサイル問題について緊急会合を開催することを決めた。北朝鮮が米朝協議の期限を年末とし挑発を強めていることなどを受けて、アメリカが会合の開催を要請した。

飯田)安保理外交筋の話として報道されていますが、米朝の関係は対決の方向に向かうのでしょうか?

高橋)米朝でやっているにもかかわらず、このようにアメリカが国連に要請したということは、手詰まりなのでしょうね。もともとはトランプ大統領が6月に板門店に行ってやろうと言ったのですが、ストックホルムで行った米朝の実務者協議が決裂してしまった。その後もできなかったけれど、北朝鮮が一方的に「年内」と言って来たため、安保理でやるということです。ここでやれば、北朝鮮は不利ですよね。アメリカは時間を稼ぎたいのだと思います。北朝鮮はICBMのエンジン燃焼実験をしました。実験をしたということは、実際にエンジンを打ち上げるでしょう。言い方としては、人工衛星だと言って、クリスマスに打ち上げる可能性があります。ここで打ち上げられたら、アメリカは安保理決議に違反するので拳を降ろさなければならず、こういうことをやっているのでしょう。

飯田)「そこまではやるなよ」ということですね。

高橋)トランプ大統領が「やったら全部失うぞ」と言っています。それに対して、金正恩委員長が直接言っているわけではありませんが、北朝鮮は「失うものはない」と言っています。

飯田)いらついた老人の妄言は気にしないというような…。

高橋)「老いぼれ」などという言い方が出ると、危ないですよね。

飯田)以前トランプ大統領が言った、「ちびのロケットマン」と同じような文言ですね。

国連安保理に北朝鮮問題の会合開催を要望する“トランプ大統領の事情”

米朝実務協議に出席した北朝鮮の金明吉首席代表(右から3人目)=2019年10月5日、ストックホルム郊外(共同) 写真提供:共同通信社

2年前の緊張関係に戻りつつある米朝

高橋)似て来ましたよね。平昌オリンピックなどいろいろあって、会談しようということになり、猶予がありました。いまはまだ米朝にチャンネルがあるから、前よりはいいと思います。でもチャンネルがあってもこんなに上手く行かないのだから、2年前に戻りつつある状況です。

飯田)チャンネルの1つだと思いますが、15日にアメリカの北朝鮮担当の特別代表が韓国に行きます。そこで北朝鮮側と接触があるのではないかと言われていますが、これは実務レベルでどうこうなる話ですか?

高橋)実務レベルでやらないと、トップ同士の信頼関係があると言っても、話が進みませんよね。2年前と違うのは、トランプ大統領と金正恩委員長の間でチャンネルがあって、お互いに一応は信頼すると言っているところです。それがなくなってしまったら、2年前と同じくらい悲惨になる可能性もなきにしも非ずですね。

飯田)あのときは五分五分で、開戦もあり得る状況でした。

高橋)過去30年間でいちばん確率が高かったでしょう。平時に比べたら緊張はあったと思いますよ。あれを見て大したことがないと言うのは間違いです。クリントン大統領のときと似た状況だと思いました。あのときも1歩手前で、韓国の大統領が「やめてくれ」と言ったのでしょう。それと似ていたと思います。

飯田)カーター元大統領が行って、取り直す形をつくった。

高橋)歴史にはそういうところがあり、どちらに転ぶかわからない状況があったと思います。だから今回もそれに近くなっていますが、トランプ大統領と金正恩委員長に関係があるというところだけが、唯一の救いです。この関係がなかったらアウトかもしれません。トランプ大統領は軍人ではなく民間人なので、戦争はしないだろうと言う人もいます。しかし最後になったら、それはわかりません。

国連安保理に北朝鮮問題の会合開催を要望する“トランプ大統領の事情”

29日付の北朝鮮の労働新聞に掲載された「超大型多連装ロケット砲」の試射(コリアメディア提供・共同)=2019年11月29日 写真提供:共同通信社

米朝でサイバーテロを仕掛け合う可能性も

飯田)そこには大統領選というファクターも関わるでしょうし、こういう形でやると国内が締まるでしょう。だから大統領選には有利ですよね。

高橋)いまはCIAなどの組織があるから派手なことをしないで、内部工作をする方が可能性が高いと思います。サイバーテロを仕掛けるとかね。それは北朝鮮もやって来ると思います。サイバーは物理的な戦争と違いますが、似ています。人工衛星の発射を失敗させるために、サイバーテロを仕掛けるかもしれません。

飯田)かつてはイランに、遠心分離機の不具合を起こさせましたよね。

高橋)それは、どこまでできるかということがあるでしょう。

飯田)イランはインターネットにつながっていなかったけれども、USBに仕込んだという話がありました。

高橋)今回もインターネットにつないでいなくても、可能性はあります。

飯田)サイバーテロで角を突き合わせることになったら、在日米軍がいる日本も標的の1つになりますよね。

高橋)日本よりは在日米軍です。在日米軍は基地がたくさんあるので、なかなか叩けないかもしれません。

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