米中日朝韓……2020年、各国の関係の展望は

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月3日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。各国の近況と2020年の展望について解説した。

米中日朝韓……2020年、各国の関係の展望は

各国の元首・新年の挨拶を読み解く

韓国の文在寅大統領は2日の新年の挨拶で北朝鮮の非核化協議について、米朝首脳間の対話の意思は持続しているとの見解を示した。一方、北朝鮮の金正恩氏は新年の辞を見送るなどしている。各国元首の2020年初、2019年末の言葉を読み解く。

飯田)朝鮮半島情勢ですが、文在寅さんは対話の意思が継続していると言っています。

宮家)何を言っているのでしょうね。今や北朝鮮はICBMをぶっ放すぞ、核実験を再開するぞと言っているわけです。対話の意思はほんのわずかに残っているかもしれないけれど、「首脳間の対話の意思が持続している」なんてよく言えますね。国内ではタマネギ男(チョ・グク氏)が在宅起訴されて、厳しい状況が続くでしょう。内憂外患ですよね。こういう状況で、米朝の話し合いは破綻寸前です。よくもまあこんなことを言えるな、と思いますね。

飯田)願望みたいなものでしょうか。

宮家)でも言わざるを得ないですね。途中で否定するわけにもいきませんから。

朝鮮半島情勢は好転せず

飯田)北朝鮮はICBMの発射こそしていませんが、燃焼実験は行っています。どこでその線を越えてくるかということになってきますか。

宮家)それは、技術的に準備ができたときです。政治的にも何らかの意味を持たせるのでしょう。よく考えてみればこの1年半、2018年に中央委員会総会を開いてICBM発射はやめます、核実験はやめますと言いいましたが、結局どうしたのでしょう。恐らく、すべての武器の開発を続けていたのでしょう。時間稼ぎをしたのは彼らだと思います。当然、非核化なんてやる気はありません。我々は夢を見たのです。1年半も時間を稼がれて、新型の兵器をテストされて、次はICBMと核実験を再開するのですよ。何も変わっていません。ほんの一縷の望みで、アメリカ次第で対話の望みがあると言いますが、アメリカが態度を変えるわけはないじゃないですか。いまの大統領選挙でトランプさんの頭にあるのは中国です。大統領選挙でいちばん効果的なのは中国の問題ですから、北朝鮮の問題について何が何でも解決しようとは思っていないと思います。残念ですが、朝鮮半島について大きな改善への動きは見られないでしょう。

飯田)一方、2017年までの圧力路線にアメリカが戻るというのは。

宮家)それも戻れないですよ。韓国が協力しないからです。平和でもない、戦争でもない状態がさらに先鋭化した状態で続くということだと思います。

米中日朝韓……2020年、各国の関係の展望は

米軍、中東に3千人増派へ  イランのソレイマニ司令官殺害について話すトランプ米大統領=1月3日、米南部フロリダ州(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

2020年の米中は膠着状態か~注目は大統領選挙後

飯田)そして中国です。

宮家)トランプさんは1月15日に第一段階の合意について署名すると。閣僚級、副首相級が来てサインするのでしょう。これ自体が大統領選挙へのメッセージ、もしくはキャンペーンだと考えるべきです。トランプさんにとっても中国にとっても、第一段階の合意は必要だったのですよ。合意しないと世界経済がおかしくなり、間違ったメッセージをマーケットへ送ることになるので、第一段階は何とか上手くいった、これから中国が物を買うぞと。そして、第二段階でも自分(トランプ氏)は北京に行くぞと。これは取引をやっているふりですよね。中国がトランプさんと本気で交渉して取引をしようとしているとは思えません。第一段階で物は買うかもしれませんが、本丸である中国の経済システム、政治システム自体に切り込む、もしくは補助金については踏み込まないわけだから、北京は絶対に譲歩しません。トランプさんは来年にはいなくなるかもしれないですからね。お手並み拝見で、11月までは待とうということになるでしょう。いなくなるかもしれない人に対して譲歩してもしょうがないじゃないですか。

飯田)米中は何らかの交渉はしても、2020年は膠着のまま。

宮家)交渉しているふりをして、トランプさんからすれば常に厳しい態度を取って中国に勝利してきた、国民の生活のために頑張っているのだという姿勢を見せるために、パフォーマンスをやると思います。

米中日朝韓……2020年、各国の関係の展望は

日中首脳会談=2019年12月23日 写真提供:時事通信

今年の日中関係~国賓招待を控え、強気な立ち回りができている

飯田)そんななかで日本の立ち位置ですが、習近平氏の国賓での来日がこの春にあります。異論はいろいろとありますが、日中は近づくのでしょうか。

宮家)この間、北京で首脳会談がありましたが、あのときも日本側は中国に対し相当嫌なことを言い続けたわけですよね。普段日本はあまり人権のことは言わないのですが、ウイグルのことも香港のことも東シナ海、尖閣のことも含めて言うべきことは言ったのだと思うのです。ある意味で国賓というのは人質ですから、彼らは訪日を成功させたいのですから、日本の言うことを聞かざるを得なくなります。もし国賓がなかったら、日本の話を真面目に聞きはしませんよ。日本側がこれを上手く使えばいい方向に動く可能性があります。いまの段階でこちらからキャンセルする必要はない。嫌なら向こうがキャンセルすればいいのですよ。

飯田)これは相当大きなカードですね。

宮家)その後で天皇陛下がどうこうするという話がありますが、国賓と訪中するかどうかはまったく別の話ですよ。異論があるのはわかっていますが、いままでのやり方は間違っていないと思います。中国が変なことをすればまた話は別ですが・・・。

飯田)そしたら、向こう側が壊してきたということになりますものね。

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