鈴木哲夫に訊く“次期総裁の行方”~安倍総裁4選の可能性
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月9日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。次期総裁の行方について解説した。
次期総裁の行方
2021年9月までとなっている安倍総理大臣の自民党総裁としての任期。7日に自民党本部で開かれた新年仕事始めの会合では総裁の任期満了を示していたが、真意のほどはどうなのか。次期総裁の行方について、ジャーナリストの鈴木哲夫に訊く。
飯田)年末年始に総理は、いろいろなメディアの取材に答えていました。そのなかで具体的に名前を挙げていましたね。
鈴木)そうですね。あれほど具体的に挙げたのは初めてです。インタビューはすべて「ポスト安倍についてどうですか?」という質問でした。
飯田)当然聞きますよね。
鈴木)まずは岸田政調会長の名前を挙げ、茂木外務大臣、加藤勝信厚生労働大臣、そして菅官房長官の名前も挙げました。なかでも岸田さんに割く時間が長かった。私の取材では、岸田さんは意中の人、本命の人ではないかと言われています。去年(2019年)の党役員の人事があったときに、岸田さんを幹事長にしようと推しました。幹事長は総裁への登竜門のようなものなので、彼を幹事長に就けようとしましたが、結局できなかった。ですので、岸田さんが本命なのかなとは思います。
4選についてどうするか、最終的には決めていない
鈴木)しかし一方では、4選の可能性もあるのではないかと、安倍総理の答えている姿を見て感じました。そのような見方をする人は私の周辺や、自民党のベテランの方にもいます。実は、安倍総理は4選について、やるともやらないとも最終的には決めていないのだろうと思います。どちらかに寄ってはいるのかもしれませんが、「よし、やるぞ」「もうやらないぞ」とは決めていないのではないでしょうか。…決めていないということは、4選の可能性もあるということです。
飯田)そちらに舵を切る場合もありますね。
鈴木)そういう環境をつくっている段階だろうと思います。岸田さん、茂木さん、加藤さんあたりは、安倍さんが4選を行うと言ったときに、安倍さんに対して「ふざけるな」と対抗して戦うでしょうか?
飯田)戦う感じはしませんよね。
鈴木)言い方は失礼かも知れませんが、禅譲組です。茂木さんも、安倍4選があってもいいのではないかと発言しています。加藤さんは仕事師で、とにかく現在の内閣を一生懸命に支えると言っている。岸田さんも戦うとは言っていますが、「安倍さんと戦う」とは言っていない気がします。
飯田)前回の総裁選も、最後の最後で支持に回りました。
鈴木)「次の総裁選に出る」とは言っていますが、この総裁選の相手が安倍さんであったらどうするのか。そこまでの決意のある言葉には、まだ聞こえないですよね。つまり安倍さんは名前を挙げているけれども、もし4選を行うと決めたら、このメンバーは今回は安倍さんを支持して、「4選の次」を狙う可能性もあります。
石破氏の名前を挙げないのは現実的だから
鈴木)石破さんについてですが、安倍さんとの相性は別の話としましょう。石破さんは世論調査を行うと、現在はトップです。ですので、安倍さんも好き嫌いは別として、「後継者としては石破さんも出られるでしょうし」と言えばいいのですが、石破さんについては触れません。
飯田)名前が出ませんでしたね。
鈴木)あえて司会者が聞いたら、「チャレンジ精神のある方で」なんて突き放した言い方でした。石破さんの名前を挙げないのは、次の総理は石破さんになるというリアリズムが強いからだと思うのです。国民からの人気がありますので、内閣支持率が落ちたときに、石破待望論で盛り上がる可能性がある。現実的なのです。それを考えると、彼の名前は挙げられない。挙げている人たちはどちらかと言うと、安倍さんの4選を待ってくれるような方たちです。安倍さんはどこかで4選を決めるタイミングがあり、それまでは決められるような環境をキープしておきたい…周辺の話も聞いて、そのように受け取りました。
飯田)全部を選択肢として残している状態なのですね。
4選について決断するのは秋
鈴木)そうです。そのポイントは、私は秋だと思います。
飯田)オリンピックが終わった後ですか?
鈴木)来年(2021年)になると総裁も衆議院も任期が来ます。そうなるとレームダックとなって、求心力がなくなります。
飯田)追い込まれて解散というようなことになる。
鈴木)ですので選択肢としては、この秋に4選かどうかを決め、4選ならば自分で解散をし、大勝利して4選を勝ち取らなければなりません。もし退陣ならば自分がコントロールできる、自分の後継者。そういう方たちの名前を挙げているのかなという感じがします。
飯田)長期政権のあと、果たして自分の意中の人に決まるかどうか。かつて佐藤栄作さんの場合は、意中の福田赳夫さんが戦いに負けて、田中角栄さんになった。中曽根さんの場合は自分で裁定をすると言って、最後は竹下さんにうまく決めたということもありました。
鈴木)中曽根方式に少し似ているのかなという気はしますね。
飯田)中曽根さんは、その前に1度総裁任期を伸ばしています。両睨みというか、やれるものなら両方やりたいと。
鈴木)安倍さんは3年やらなくてもいいのです。憲法改正が行えれば1年で辞めてもいいわけです。何だか中曽根方式なのかなという気もします。
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