ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月26日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。2019年の安倍政権、自民党について総括した。
ジャーナリスト・鈴木哲夫が見た2019年の安倍政権
12月26日に7年を迎えた安倍政権。2019年は毎月勤労統計の不適切調査に始まり、「桜を見る会」の問題、閣僚の問題、議員の逮捕とさまざまなことがあった。2019年の政治はどうだったのか、鈴木哲夫が2019年の政界を振り返る。
飯田)毎月勤労統計調査、そんなこともありました。
鈴木)参議院選挙前でしたね。そして、2018年になりますが、障害者雇用の水増し問題。霞が関の役所が、障害のある人を採用している数字を出していて、それが嘘だった。そして勤労統計に桜を見る会。安倍政権の問題点を敢えて言えば、三権分立を壊していると思うのです。三権分立は民主国家として基本中の基本です。立法(国会)、行政(政府)、司法。これがお互いに独立して、厳しくチェックし合うことでバランスを取る。これが国の基本です。いま挙げた問題は、全部行政がしでかしたことです。それをチェックするのは、三権分立で言えば、司法と国会です。国会がもっとチェックしなければいけないのに、桜を見る会では国会を閉じてしまいました。この3つのケースはどれもそうですが、行政のなかだけで第三者委員会のようなものをつくって反省し、処分して、行政のなかだけで再発防止を考えて、ハイ終わりと。例えば、何か罪を犯した人が自分で自分の刑を決めて、反省を自分で行い、自分で再発防止策を決めて「これで終わりです」としたら、それで済むと思いますか? 三権分立でチェックすべき国会がきちんと機能しているのか、それを疑問に感じました。
安倍一強が続くことによって三権分立が崩れて来ている~矜持がなくなった自民党
鈴木)桜を見る会も、最後までやらずに国会を閉じてしまった。なぜこういうことが起きるのかと言うと、安倍政権が一強で非常に強いから、どうしてもみんながそっちを向いてしまう。野党は一生懸命に追及していますが、ポイントは国会の第一党である与党の自民党の矜持、プライド、責任なのです。議院内閣制によって、国会の第一党の自民党から、行政トップである総理大臣が出るので、守られるのは当然です。しかし、ここまで行政に酷いことがあれば総理に説明を求め、官僚を呼びつけて「なぜ、このような不正をしたのか?」と追及し、三権分立の矜持を見せなければいけません。これができていない。今回も自民党が国会を閉じてしまいました。安倍一強が続くことによって、三権分立が崩れて来ていることは問題だと思うし、いちばん考えなければいけないことです。それがわかりやすいのが「桜を見る会」でした。
異を唱える自民党議員がいない~国民からも不信感
飯田)臨時国会ではアメリカとの貿易協定が目玉で、これが通った瞬間に閉じてしまいました。野党は野党で、抵抗するとなったら全部止めると。与党は与党で、取り敢えず通したいものは全部通す。これは委員会を立ち上げるなどして、同時並行はできないのでしょうか?
鈴木)何か大きな事件や特別なテーマがあるときは、特別委員会をつくるので、そういう方法もあると思います。そんなこともせず、自民党はやたらと閉じる方向へ走るでしょう。昔の自民党は総理を糾弾する人がいて、それが結果的に自民党政権のバランスにもなっていました。だけど、いまはみんながそっちを向いてしまっています。政治の安定はプラスではあるけれど、緊張感がないと権力は国民の方を向かなくなります。緊張感があるからこそ、選挙を意識して国民の言うことを聞くでしょう。野党が早くまとまることによって緊張感をもたらすし、自民党や安倍さんは、基本的なことが壊れて来ていることを自覚して欲しいと思います。
飯田)かつては反対する人も大義名分として、立法は立法府のプライドや矜持で、「言うべきことは言う」という派閥のトップがいましたよね。
鈴木)それでも最後は自民党で1つになるのです。言うべき人もいるのが自民党のよさでした。12月の時事通信の世論調査で、自民党の政党支持率が大きく落ちています。世論はそういうところを見始めたのではないでしょうか。それが数字に表れている気がします。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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