日露外相会談~ロシアには日本との関係を改善する理由がない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月20日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。19日にロシアで行われた日露外相会談について解説した。

日露外相会談~ロシアには日本との関係を改善する理由がない

日露外相会談 発言するロシアのラブロフ外相(中央)=2019年5月31日午前、東京都港区の外務省飯倉公館 写真提供:産経新聞社

茂木外務大臣がロシアのラブロフ外相と会談

ロシアを訪問中の茂木外務大臣は19日、モスクワでラブロフ外相と会談した。日本漁船5隻がロシアの国境警備局によって国後島の古釜布に連行されたことに抗議した上で、速やかな帰港を求めている。また、平和条約締結の前提となる北方領土問題では、双方の主張の隔たりは埋まらず、協議項目を整理し議論を継続することで一致したということだ。

飯田)経済面での結びつきから、何とか打開したいという記事があります。

日露外相会談~ロシアには日本との関係を改善する理由がない

会談前、握手するロシアのプーチン大統領(右)と安倍首相=2019年9月5日、ロシア・ウラジオストク(共同) 写真提供:共同通信社

中国の存在があるいま、ロシアは譲歩してまで日本との関係を改善する必要がない

宮家)大局的に考えたときに、ロシアにとっての戦略的利益は何か。ロシアはクリミアを取り、経済制裁を受けてアメリカとの関係が悪い。これを何とか打開したいということです。日本は、経済的利益を少し匂わせながら北方領土の話を進めようとしたわけですけれど、アメリカとの関係が悪いロシアにとって、すがるものがあるとすれば、それは日本ではなく中国です。中国との関係は、同盟ではないとプーチンさんも言っているようですけれど、同盟ではなくても無視はできない。少なくとも、低いレベルでの戦術的なパートナーにはなり得る。そうなると、ロシアは譲歩してまで日本との関係を改善する必要はないのです。将来、アメリカとの関係が改善して、むしろ中国がロシアにとって問題になって来たときには、日本との関係を改善しなければならない、となるかもしれませんが…。今の状況では、ロシア側から打開案が出て来るという感じはないですよね。残念ですけれど、当分このまま行かざるを得ないのかなと思います。日本としては戦略的な環境の変化というものを待つ必要があるでしょう。

日露外相会談~ロシアには日本との関係を改善する理由がない

ロ、在日米軍で回答要求  モスクワで記者会見するロシアのプーチン大統領(タス=共同)=2018年12月20日 写真提供:共同通信社

ロシアの不法占拠に対しての時効を止めるためにも、主張は続けなくてはならない

宮家)ただ、いつも言うことですけれど、あれは不法占拠です。日本としては、原則は変わりません。プーチンさんはかつて「日本と引き分けを目指す」と言いましたが、引き分けではなく、ロシアは負けであるべきなのです。しかし、そうは言っても話し合いをしなくてはいけない。それがうまくいかない間は、不法占拠なのだから、少なくとも時効を止めなくてはいけないのです。

飯田)時効を止める。

宮家)ええ。何も言わないでいると、いつの間にか領土は彼らのものになってしまいます。30年以上も経っているので、もう時効ではないかと。日本の民法とは違うのだけれども。日本としては彼らがやっていることは違法なのだということを言い続けないとなりません。

飯田)プーチンさんは日米安保にも言及して、日本に渡したら基地をつくられる可能性があるとも言っています。

宮家)そう言うのであれば、北海道に米軍の基地があるのかと言いたいですね。

飯田)ないですものね。

宮家)ええ。それは言いがかりなのですよね。中国もロシアもあれだけミサイルを持っているのだから、日本だって持つかもしれません。ロシアにそんなことまで言われる筋合いはないわけです。ただ、安全保障上の問題を気にしているということは、プーチンさんは常に戦略的にものを考える人だということでもあるのです。

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