北方領土は戻らない~これだけの理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月10日放送)に地政学戦略学者の奥山真司が出演。ロシアとの北方領土問題について解説した。

北方領土は戻らない~これだけの理由

【政治 臨時国会召集】臨時国会召集を前に国会正門前で囲み取材を受ける鈴木宗男議員=2019年8月1日午前、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

安倍総理が鈴木宗男参院議員と面会

安倍総理は9日、日本維新の会の鈴木宗男参議院議員と官邸で面会し、北方領土問題の解決に向けた意欲を重ねて示した。面会後の鈴木宗男氏によると、総理は自分の手で日露平和条約の締結、北方領土問題の解決を必ず全部やると語ったということだ。

飯田)日露平和条約の締結、北方領土問題に関しては、進みそうで進まないという状況が続いています。

奥山)日本のニュースを見ていて「非常に残念だ」と常に思うのですけれども、みなさん、「自分がプーチン大統領の立場になって考えてみてください」ということです。そこから考えると、プーチン大統領の歴史的役割は何かと言えば、彼自身が感じているのは「俺はロシアの皇帝なのだ」「帝国をこれから維持して拡大させ続けなくてはいけない」ということです。そうなったときに、わざわざ自分の領土を、自分より弱い国に差し出すか? という話です。結論として先に言っておきたいのですけれど、北方領土は残念ながら返りません。

飯田)現状の交渉では。

北方領土は戻らない~これだけの理由

会談前、握手するロシアのプーチン大統領(右)と安倍首相=2019年9月5日、ロシア・ウラジオストク(共同) 写真提供:共同通信社

プーチン大統領のロジックから考えて、北方領土が返ることはない

奥山)無理ですね。平和条約はもしかしたら締結できるかもしれません。しかし、それは日本側が思い切り譲歩をしただけのことであって、北方領土問題は解決しません。プーチンさんは5年くらい前に、ウクライナに対して戦争を仕掛けているのですよ。それは何かと言うと、自分の領土であるクリミア半島を取り戻すということではないですか。わざわざ武力行使をして、自分たちの思うロシアの領土を取り返しに行った人たちが、お金であろうが日本側にわざわざ領土を差し出しますか? ということです。それはもう端的に言ってあり得ないと。返って来ません。冷戦が終わった後に、「ソ連は大きな領土を失って、あれは地政学的悲劇だった」とプーチンさんは言っています。その悲劇を繰り返さないのが自分の使命だと考えている人間が、わざわざ日本に返すようなことはしません。日本政府が嘘を言っているとは言わないし、外務省はとても頑張っていると思うのですが、ロシアのプーチンさんのロジックを考えたら、返すという選択肢はないだろうと言うしかありません。

飯田)やはり、帝国の崩壊のタイミング以外には返って来ない。

奥山)あのタイミングを逃したのは本当に痛かった。エリツィンさんのときにもいろいろありましたけれども、あそこで返って来ないとなれば、そのあとプーチンさんが出て来た時点でこれは無理なのだと思いました。もちろん外務省の方や日本政府は、北方領土問題を絶対に解決しますと言いますけれども、土台無理なのです。

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