ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月13日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。安倍総理の中東訪問について解説した。
安倍総理がサウジ国王と会談~中東情勢安定化に外交努力強調
サウジアラビアを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の12日夜にサルマン国王と会談し、中東情勢安定化に向けた外交努力の重要性を強調するとともに、自衛隊派遣の目的などを説明し理解を求めた。今回の首脳会談は2017年3月以来、3度目となる。
飯田)その後、場所を移してサウジアラビアの皇太子とも会談しました。そこでは中東の安定化へ、抑制対応を要請したということです。北西部のウラー郊外で会談しました。実権を握っているのは皇太子ですから、政治的な話はこちらでする。
須田)大きな枠組みで言うと、中東では10年前に「アラブの春」という民主化を要求する活動が頻発しました。いま10年ぶりに中東は、アラブの春状態を迎えつつあります。いろいろな意味で動乱の要因をはらんでいて、国と国の間の対立構造や、反政府組織の蠢動(しゅんどう)などを含めて、10年ぶりに不安定な状況となっています。
日本が戦後初めて行う~産油国の政治安定と原油を運ぶシーレーンの安全確保
須田)日本は経済面で、原油を中東に依存しています。たしかに原油価格は低水準を推移しているので、マーケットはリスクを意識していないようです。しかしここで混乱が起こると、たちどころにそういった状況ではなくなります。安定的に石油、原油を確保するためには、産輸出国の政治的安定や安全保障上の安定、そして日本としてはシーレーンの安全確保をやって行かなければなりません。これまでは世界の警察官を自称していたアメリカが、前者後者についても主導する形で行っていました。しかしその影響力を後退させつつあるなかで、戦後初めて日本は自主的に、2つのポイントに働きかけて行かなければならない状況に置かれています。ですから海上自衛隊の派遣は、シーレーンの安定確保のために自主的に日本がやらなければならないことなのです。しかし、自衛隊の影響力が出て行くということを、諸外国にどう受け止められるのか。直面する国々に説明して理解を求めなければなりません。そのために安倍総理は今回、中東3ヵ国を回っているのです。
安倍総理の中東訪問の目的
飯田)艦艇を派遣するということは、補給や隊員の休息のために港につかなければなりません。いちばん近いところでは、オマーンやサウジアラビアも絡んで来るということを考えると、その辺の国に挨拶まわりをするのは実務的なものもありますよね。
須田)もちろん展開するのは公海上であるけれど、日本の艦艇が入ることによって軍事バランスに変化が生じます。そういうことについて意識を共有し、密な情報交換をしなければなりません。そこに国のトップが訪問するということは、やっておくべき手続きだと思います。
飯田)今回、日本は自主派遣で、多国籍軍の作戦行動には参加しない。一方で、多国籍軍のセンチネル作戦にサウジアラビアは参加するため、そこの情報共有ができるという面もありますよね。
今後議論すべきこと
須田)あとは多国籍軍との連携、役割分担が必要です。それと、日本と独自の関係を持つイランへの配慮でもありますよね。私は現状、うまくやっていると思います。しかしこれが戦闘海域に変わったときに、このままでいいのかという問題も出ます。次のステージに上がったとき、日本には出せる手段がありません。「それでいいのか?」という議論を今後するべきだと思います。
飯田)今回は調査研究という名目で出ています。武器使用に関しても、自分たちを守る正当防衛、緊急避難、本当に危機が迫っているときでないと撃てない。そうすると自分たちの船も守れないし、他国の船も守れません。
須田)特にシーレーンの安全性の確保という点で言うと、本来は日本の物資を運ぶタンカーや、商船の安全確保にまで踏み込まなければなりませんが、現状の法的な体系のなかだと難しいです。このままでいいのかということです。そのあたりのことは、いままでアメリカがやって来ました。アメリカが退いたときに、経済の導線を守るために何をするかについて、野党も答えを出すべきだと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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