ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。日銀が21日に行った金融政策決定会合のニュースについて解説した。
日銀の金融政策決定会合~金融緩和策の維持を決定
日本銀行は21日、金融政策決定会合を行い、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導する現行の金融緩和策を維持することを決定した。GDPの成長率見通しについては、2019年度は0.6%から0.8%に、2020年度は0.7%から0.9%にそれぞれ引き上げている。
飯田)その後、会見も行われて黒田総裁が答えましたが、現状の景気認識は緩やかに拡大しているそうです。
高橋)黒田さんは元役人でしょう。役人トークを平気でやるので、もう少しエコノミストでなければいけないのではないかと思いますけれどね。「消費税の影響は軽微であり、一時的だ」と。2014年もまったく同じことを言っていたのですよね。あのときに同じことを言って、3年間苦しかったでしょう。今回もたぶん同じです。3年くらい苦しいのを、彼は「一時的」と言うのでしょうね。
飯田)彼にとっての「一時」は3年くらいなのですね。
高橋)そうとしか思えないですよ。
飯田)整合性がないですよね。
高橋)前回と違うのは、景気対策をすぐやるというのはそうなのですが、景気対策なかりせば、全治3年くらいだと思います。
現実とは異なる~公式見解の「緩やかな拡大」
飯田)政府の公式見解もそうですけれど、ずっと「緩やかな拡大」と出ていますが、実感からはどんどん離れて行く感じですよね。
高橋)すごく落ちたところからの緩やかな拡大ですから、「いつから」の拡大なのか聞かないとわかりません。記者の人もよく質問をして、言葉の意味を問い詰めた方がいいと思います。10、11、12月は前回並みですよね。前回並みということは悪いのですよ。前回は3%上げたでしょう。3%上げたのと2%上げたのでは、本来は違うのですけれどね。
飯田)インパクトからしたら、3%の方が1.5倍すごいはずなのですよね。
補正予算の遅れの影響~オリンピック後の景気に不安
高橋)更に、今回は軽減税率を入れているから、大分違うはずなのです。それが同じということは、日本を取り巻く世界経済の環境が少し違って、2014年のときより悪いのです。中国が非常に悪くて、欧州はブレグジットで悪くなります。ホルムズ海峡もどうなるかわからないという不安定要因があり、韓国も悪いですよね。景気対策をまともにやって、補正予算で1年間は増税分を吐き出すという感じなのですよ。2019年の臨時国会のときにやるべきだったのですが、それが遅れてしまったので、オリンピックが終わった後は苦しくなると思います。
飯田)オリンピックが終わるタイミングで、キャッシュレスのポイント還元もなくなるとされています。
高橋)ポイント還元は3000億円でしょう。消費税増税は2%だと5.6兆円なので、それから見ると雀の涙なのですよ。軽減税率が1兆円だから、5.6兆円から1.3兆円の影響がなくなっているので、4.3兆円なのです。その4.3兆円を吐き出さなければいけないのですが、今回の補正はだいたいその数字になっています。2019年10月からやれば1年間は持ったと思うのですが、遅れてしまったのでなかなか大変です。
飯田)15ヵ月予算という触れ込みをしていますが。
高橋)増税してから15ヵ月予算なので、1回取ったものを吐き出すレベルのものなのですよ。2年以降は増税だけが効くので、そうすると大変になって来るのですよね。
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