2020年度予算案における2つの問題点
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月28日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。政府が2020年度予算編成の基本方針案を示したニュースについて解説した。
政府 来年度の予算、臨時・特別措置で民需主導の成長に対応
政府は27日、安倍総理大臣が議長を務める経済財政諮問会議を開き、2020年度予算編成の基本方針案を示した。経済政策に関して、2019年度の補正予算と2020年度の予算で編成する臨時・特別措置で15ヵ月予算としてまとめる方針だ。これにより民需主導の持続的な経済成長の実現につなげて行くとしている。
飯田)そういえば政権発足当時は、15ヵ月予算をやっていましたよね。
鈴木)行っていました。予算は1年ではないですか。新年度が4月から始まって、翌年の3月までの12ヵ月。予算は現在、審議をして何か決定したとしても、実行に移されて現場にお金が降りて来るのは半年、10ヵ月先になります。それくらいのスパンがあるということです。12ヵ月ではなく、今回は補正も含めて15ヵ月にすることによって、効率的に通して行えます。そういった意味でのメリットがあります。特に今回の補正のなかでは、災害予算ですよ。毎年大変なことになっている。そういう意味でも、15ヵ月という少し長いスパンでお金を考えることにより、景気にもいい影響を与えるという考え方でしょう。
今回の予算案の2つの問題点~「社会保障費」と「オリンピック後」
鈴木)ただ、今回の予算案にはたくさん問題点があります。私は2つ考えていて、1つは社会保障費。ここをどのように考えるのか。膨れ上がって行くなかでどの程度抑えるのか、抑えられないとすれば、どこを削って回すのか。その社会保障費をどうするのかということが1つです。もう1つは、オリンピック後です。来年(2020年)度予算のなかにオリンピック予算がありますが、札幌に移すということで費用が増している、オリンピックそのものの問題もあります。そもそもは、コンパクトオリンピックでやって行こうという話でした。世界の各都市が東京を見て、「これだけ安くできるなら私たちも手を挙げようではないか」とする。オリンピックの継続性のためにも、予算はできる限りかからないようにしなければいけません。ですが、問題なのはオリンピック後です。終了後の反動というのは、過去の世界のオリンピックを見ても必ずあります。日本も開催までは「イケイケどんどん」で来ますが、その後に落ち込んでしまうのではないか。すでにオリンピック前から、不動産を含めて落ち込むのではないかという予測もあります。オリンピック後をどうするのか、ここにやはり予算の重きを置く。社会保障費とオリンピック後、この2つが次の年度予算のポイントになると思います。
飯田)今週もまた経済指標が出て来ますが、指標を見ていると、すでに減速傾向にあるのではないかというものも出ています。
賃金と消費~トータルデザインを示すことも大切
鈴木)基本的なことを言えば、賃金と消費ですよね。この2つになると思うのですが、賃金がなかなか上がらない。消費に関しては、消費税増税前の駆け込みはありましたが、相変わらず財布のひもは固い。これは先ほど言った社会保障に影響していますよね。老後は2000万円の貯金が必要だという話があって、そう簡単には使えず、貯めておかないといけない。そういう将来の社会保障への不安は、消費に直結するので解決しなければなりません。社会保障の先行きが不安だと、なかなか消費は伸びません。いろいろなことが重なって来ますが、トータルでどういうデザインにするのかを示すことも大切ですよね。
飯田)予算が通っても、施行まで時間がかかるではないですか。そのために前々から考えておかなければならないとなると、この国会も10月あたりから始めて、何を行っていたのかという話ですよね。
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