黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、女優の広末涼子が出演。映画『噓八百 京町ロワイヤル』の武正晴監督について語った。
黒木)今週のゲストは女優の広末涼子さんです。公開中の映画『噓八百 京町ロワイヤル』。監督のお話をさせていただきたいと思いますが、武正晴さんはいかがでしたか?
広末)迷いがないですね。「スパスパスパ!」と気持ちよく現場も進むし、みんながプロフェッショナルの集団だなと思いました。演じていても楽しいし、自分も迷うことはなかったと思うのですが、何か質問しても明確に答えてくださいます。「たばこのシーン、私は下手だと思います」と言ったら、「じゃあ練習してください。会話のなかで吸うので、カット割りで誤魔化すようなことはしません。自分は若い人たちにもそうしてもらっています」と言われました。
黒木)そのように白黒ハッキリとおっしゃる監督っていいですよね。
広末)いいです、すごく。もし自分が違う芝居をしていたり、何か足りなかったら、きっともう1回やってくれるだろうなという安心感があります。10代のときと違って、100点まで行かなくても、監督のなかで高得点かどうかが自分でわからないとき、「もっとできるのではないか?」と思ったときに、「もう1度本番をやらせてください」と言うことは勇気が必要ではないですか。
黒木)いりますね。
広末)監督がOKを出しているのに自分が「もう1度」と言うことは、次のテイクでもっといいものができるという確信がないとお願いできないし、それがあったとしても自己満足の可能性もあるから、言うべきかどうかすごく迷うのですよ。特に自分もいい歳になって、キャリアも長くなって来ると。
黒木)わかる。キャリアは長いけれどね。
広末)そうすると遠慮されるのではないかと思ってしまって、「もうちょっとやって欲しいけれど、これくらいでもいいか」とOKを出されているかもしれない。そんな不安になる時期もあるのですが、武さんの場合は、足りなければ「もう1回」と言ってくれるな、という安心感があります。
黒木)安心感が。
広末)ありましたね。
黒木)印象に残るコミュニケーションはありましたか?
広末)茶道の部分で、どのくらいの尺で茶道の作法をしなくてはいけないのか、台本で活字を読んでもわからないところがあったのですが、事前に教えていただきました。
黒木)不安を取り除いてくださったわけですね。
広末)そうでしたね、本当に。
黒木)我々は細かいディテールで、その役柄を完成させないといけないではないですか。だからそういうところが気になるのですよね。作品自体ではそんなに大きなことではないわけですよ、茶道でもたばこでも。でも、そこで映画を壊せないというか。
広末)嘘が見えると。
黒木)細かなところだけれど、不安の1つになってしまう。今回の映画での不安材料は、茶道とたばこですか? これは必見ですね。涼子ちゃんの初喫煙。
広末)でも普通にお二方が。
黒木)目の前にいらっしゃるからね。
広末)だから私が失敗できないみたいな。どうですか、黒木さんは緊張しますか?
黒木)大体は初日に緊張しますね。違う人にならなくてはいけないので。
広末)どんな方がお相手だと、緊張しますか?
黒木)役として見るので。
広末)そうか。だから私、本番は緊張していないのですね。本番で緊張していると失敗するのですよ。緊張しているということは、自分の役ではないということだから。
広末涼子(ひろすえ・りょうこ)/女優
■1980年、高知県高知市出身。
■1994年、中学2年生のときにCMオーディションに優勝して芸能界デビュー。その後、数々のCMに出演して社会現象ともいえる人気を獲得。
■1997年、映画『20世紀ノスタルジア』で映画初主演。
■1999年、映画『秘密』『鉄道員』に出演。日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。
■2008年、映画『おくりびと』に出演。日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。
中井貴一・佐々木蔵之介W主演の『嘘八百 京町ロワイヤル』(公開中)に出演。
※大物狙いで空振りばかりの目利き古美術商(中井貴一)と、腕は立つのに落ちぶれくすぶっていた陶芸家(佐々木蔵之介)がタッグを組む「開運お宝コメディ」。
※2018年に公開された『嘘八百』の続編・第2弾。
※広末さんは、再会した2人と幻の茶器に深くかかわる京都の着物美人・志野を演じる。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳