児童相談所の設置拡充~児童問題に必要な「専門性」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月20日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。児童相談所の設置拡充について解説した。
児童相談所を設置する地方自治体への財政支援拡充
総務省は19日、2020年度に児童相談所を設置する地方自治体への財政支援拡充を発表した。施設整備費のおよそ7割を国が負担し、約20万人以上の中核市や、特別区を中心に設置を促すということである。
飯田)人口規模が20万人以上のところなどを中心にということですが、現状としてはなかなか厳しいようです。採用の半分くらいしか対応できないということが、千葉県のニュースとして出ています。
専門性が必要な児童問題
鈴木)以前、厚生労働省大臣をやっていた塩崎恭久さんが、厚生労働大臣時代からこの問題に熱心に取り組んでいて、いろいろな流れをつくった。しかし塩崎さんが大臣を辞めたあとに、一切止まってしまった。そこで、野党も入った超党派で児童虐待問題に意識を持っている議員たちが、集まって勉強会をやり、申し入れをしてやって来た。そして、ようやく児童相談所をいろいろな場所に設置するというところまで来ました。自治体、中核市は資金がないので、それは国にと。法律の改正もやって来ているのですが、実態が伴わない。この問題には専門性が必要なのです。実際に、たとえば19日にあった…。
飯田)神戸で、門前払いを。
鈴木)夜中に女の子が来たら、そこにいたのは職員ではなく、NPOの当直員だった。マニュアル通りに対応したということなのでしょうが。
飯田)傷もないし、大丈夫そうだから警察に行くように言った。
鈴木)そこに専門性が加われば、まず話を聞いてみようとか、体の状態を見てみようとか、目を見てみるとか、その人の表情を見て判断する。専門性とはそういうことです。そういう対応が必要な分野なのだけれども、ただ「人数を増やす、国がお金を保障する」というだけで体制ができるかというと、すぐにはできないのです。この問題の深さを考えると、厚労省だけの問題ではなくて、保育士や相談員などを専門的に育てるような教育機関が必要になる。それは文科省の管轄になるかも知れない。また学校のなかの医学部といったものではなく、専門学校のような形にして、若い人に限らずOBの人も入れて、専門的な相談員の教育をして配置をする。そうなると時間もかかるので、一刻も早く取り組まなければいけないテーマです。「ようやくお金だけは付いたな」と見ないといけない。これで前に動き出したと思ったら大間違いです。
政府が総合的にやるべき~予算が付いたのは第一歩
飯田)このニュースも「総務省は」という見出しで始まる。地方自治体の施設の援助は総務省がやるし、いろいろな省庁が関わってしまうのですね。
鈴木)縦割りになってしまっている。これを1つの組織にするということも必要です。それから、児童を預かる施設の問題もあります。プライベートで仕切っているけれど、なかでつながっていて、そこで性暴力が起きるという問題もあるのです。だから虐待の一時預かりではなく、里親制度をどうするかなど、日本は遅れているのです。そういうこともやらなければいけない。これは政府が総合的にやらないといけない話だから、予算が付いたことは第一歩だけれども、まだ途上です。
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