ニッポン放送「ザ・フォーカス」(2月26日放送)に産経新聞客員論説委員・国際医療福祉大学の山本秀也が出演。東京オリンピックの開催危機について解説した。
東京オリンピックの開催、危ぶむ声が広がる
国際オリンピック委員会(IOC)の委員が、AP通信のインタビューに答えた。「開催するかどうかの判断期限は引き延ばせても5月下旬」という見解を示している。これは「IOCの公式見解ではなく、個人的な考えだ」としている。
森田耕次解説委員)IOC最古参の委員である、ディック・パウンド氏がインタビューに答えたそうです。5月下旬が判断基準だとして、「事態が収束しない場合には中止を検討するだろう」とも言っています。パウンド委員はアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル電子版でもインタビューに応じており、「5ヵ月後の状況をいまから予測することは困難だ」としながらも、Jリーグなどが公式戦の延期や中止を決めていることについて、「選手や関係者ら1万1000人が世界中から集まるオリンピックでは、競技別の対応例は参考にできない」と述べ、Jリーグの判断とオリンピック開催は別のものであるとしています。「オリンピックはかなり密な状況であり、誰かが感染していればリスクは何倍にもなる」との懸念を示しているということです。これに対して橋本聖子オリンピック担当大臣は、26日の衆議院予算委員会で「これはIOCの公式見解ではない」とした上で、次のように述べています。
橋本五輪担当相)東京大会がしっかりと開催できるということを、IOCや組織委員会と連携を取りながら、しっかりとしたウイルス対策をして収束に向けて努力して行く。東京大会に向けて、開催ができるように準備をして行く。それに尽きると思います。
森田)小池都知事も「IOCの東京大会を担当している方からは『しっかりやれ』とメールをいただいている」と、中止の議論を否定しているということですが、オリンピックを危ぶむ声が出始めていますよね。
各国メディアは大きく報道
山本)当然でしょうね。パウンド委員の発言について、単にメディアへのコメントだと言うのですが、私が見た感じだとアジアのメディアもこれを流していまして、かなり話題になっています。「東京大会中止に言及」などと、かなりキツい見出しで流していたりします。国際的にも当然予想されるだろうという意識で、みんなが見ていたということですよね。橋本さんの見解は主催国として当然なのですが、客観的にそれができる状態かということを、時期が来たときに判断しなければいけません。これを間違えないでいただきたいです。オリンピックをやったのはいいけれど、国民がみんな病気になって大変なことになったというのでは、本末転倒ですよね。
森田)確かに、5月下旬が1つの判断基準というのは間違いなさそうな気がしますよね。
山本)普通に考えれば、かなりギリギリですよ。
森田)そうなると延期というよりは、中止の可能性が高いということのようですね。準備期間が短くなってしまうから、他の都市でやるのも難しい。延期での東京開催も、アメリカのメディアの関係もあって難しいようです。
山本)選択肢が少ないのですよね。それまでに収束することを祈るしかありません。そのために、いまきっちり締めるところを締めなければいけないのではないでしょうか。
IOC重鎮委員の発言力
森田)メールもいただいています。「何だか数ヵ月前に見たような光景ですね。新型コロナウイルス感染が広がる世界で飛び出した、IOCの重鎮理事による東京オリンピック中止の可能性を匂わす発言。バッハ会長は否定しますが、あの競技のときも似たような光景が…。バッハ会長があれだけ否定していたのに、結局東京オリンピックのマラソンと競歩は、IOCの鶴の一声で東京から札幌へ。バッハ会長の言葉は信用できないです」といただいています。
山本)IOCの古手の委員は、政治力がありますからね。あれはスポーツ政治の場です。
森田)この発言が世界に拡散してしまうと、どういう影響を及ぼすか。
山本)健全な大会が開かれる方がいいに決まっているのですが、相手は感染症ですからね。
森田)我々が自衛と自粛をしながら、封じ込めて行くということですね。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。