日本の伝統文化を残すということ

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に『ニッポン手仕事図鑑』編集長の大牧圭吾が出演。『ニッポン手仕事図鑑』を配信する思いについて語った。

日本の伝統文化を残すということ

ニッポン放送「あさナビ」

黒木)今週のゲストは『ニッポン手仕事図鑑』の編集長、大牧圭吾さんです。『ニッポン手仕事図鑑』は伝統工芸、日本の職人さんたちが培って来た技術や思いを伝える動画メディアで、最初の3年間は自費でやっていらしたということです。

大牧)いまも制作は自費でやっています。

黒木)2015年から、5年やっていらっしゃるのですよね。

大牧)最初の3年間はメディアとして応援してくださるファンをつける、応援してくれる人がいて初めてメディアは成り立つものだと思っていますので、まず観てくれる人、応援してくれる人を増やすことに力を入れて活動して来ました。

黒木)いろいろな方や、民間からもお話が来るようになったのですね。

大牧)地域の伝統工芸品を海外に発信したいので、『ニッポン手仕事図鑑』で映像を撮って欲しい、あるいは職人さんから展示会の空間コーディネートをして欲しいなど、お願いされることも多くなりました。僕たちが予想していなかったビジネスが、少しずつ生まれて来ていますね。

黒木)動画配信してくださると、海外の方々が観られるということですね。

大牧)YouTubeでアップしていて、外国の方からコメントをいただくことが多いです。僕の祖母が神棚の職人なのですが、神棚の職人になったのは40歳を過ぎてからなのですよ。もちろん技術も努力も必要ですが、40代になってから新しい人生の生きがいとして始められる仕事もあるのです。そういう職業の選び方が、この先の日本にあってもいいかなという思いはあります。

黒木)スタートさせるときに不安はありましたか?

大牧)本業の仕事をやりながら少しずつ進めて来たので、不安はありませんでした。

黒木)生きがいですものね。

大牧)仕事として携わりたいと言う人が、少しずつ周囲に増えています。そういう人たちをうまく巻き込んであげるためにも、僕たちが単独で収益を上げる必要があります。ボランティアだけでは続けて行けないので、そこがこの先の課題だと思っています。

黒木)まずは各地の職人の方を知らなければいけませんね。

大牧)これが大変です。最初のころは何の伝手もないので難しく、ネットでいろいろと調べました。最近も調べているのですが、地方に行かせていただいたときには、自治体や地元の人たちにどんな職人さんがいるのかを聞くようにしています。真田紐という伝統工芸品があるのですが、それはたまたま別のお仕事で地方に行ったときに、素敵なお2人がいると教えていただいたものです。娘さんとお母さんでやっていて、娘さんが60代、お母さんは90歳の職人さんなのです。2人でつくられているのですが、他につくっている方がいないという話を行政の方からお聞きして、取材させていただくことになりました。

黒木)真田紐。

大牧)昔の箱にしまうときに、紐で結んだりするようなものです。

黒木)そのような話を聞くと、取材して発信しなくてはと思ってしまいますね。

大牧)作業風景を撮るのであれば、自分でビデオカメラをセットして撮ればいいのですが、「それだけでは文化は残せない」と何人もの職人さんがおっしゃるのです。何を残すべきかと聞いたときに、「つくり手の思いも合わせて残さないと、技術は継承できない」というお話をよく伺います。職人さんも自分で撮りながら思いを語るのは難しいので、僕らがインタビュアーとして立って掘り下げることで、本音や葛藤など、いろいろなお話を聞くことができます。そういうものを引き出して届けるのが、僕らの使命だと思っています。

日本の伝統文化を残すということ

オークラ出版『子どものためのニッポン手仕事図鑑』著:大牧圭吾(※画像はAmazonより)

大牧圭吾(おおまき・けいご)/ニッポン手仕事図鑑 編集長

■1977年、長野県安曇野市生まれ。
■映像ディレクターとして、秋田県、長野県、神奈川県、和歌山県など、全国の地方自治体の移住促進PR映像などを手がける傍ら、「ニッポンの手仕事を、残していく」をコンセプトに掲げる動画メディア、『ニッポン手仕事図鑑』を2015年1月に立ち上げ、編集長に就任。日本の未来に残して行きたい技術や文化を、国内外に向けて発信している。
■2017年9月、『子どものためのニッポン手仕事図鑑』を監修し、出版。

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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