9月入学制~総理発言までの早いスピードに違和感
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月30日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。学校休校の長期化を踏まえた、9月入学制の動きについて解説した。
9月入学制
安倍総理大臣は29日の予算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大により学校休校の長期化を踏まえ、9月入学・始業を検討する考えを示した。
安倍総理)9月新学期の動きについて、子どもたちや保護者はもとより、社会全体に大きな影響を及ぼすのだから慎重にという意見もあることは十分に承知していますが、これだけ大きな変化があるなかにおいては、前広にさまざまな選択肢を検討して行きたいと考えています。
飯田)前広に、さまざまな選択肢を検討して行きたいとのことです。
すでに9月入学案は検討されていた
鈴木)「前広」ということは、幅広く議論して行くということです。宮城県の村井知事が声高にこのことを言ったのですが、村井さんは東日本大震災の後に、ただの復興ではなく、創造的な復興をやって来た人です。今回も1つの有事ですよね。ただ乗り越えるのではなく創造的に、これをきっかけとして何か変えられないかということをやろうと。これは村井さんの政治スタイルなので言ったなと思ったのですが、驚いたのはこの話が出てすぐに、文科大臣が選択肢の1つということを前向きに言い、その次の日には総理が「前広に考える」と。私はこのスピードに違和感を持ちました。こんなに大きなテーマなのに早過ぎる。文科に強い自民党のベテラン議員に聞くと、この話はもっと早い段階から官邸を含めて出ていたそうですね。一斉休校になって批判があったり、コロナの収束も見えないなかで、これを乗り切るためには9月入学という話もセットにできるのではないか、ということが出ていたそうです。
社会生活や子どもたちへの影響を考えるといまやるべきではない
鈴木)私は、9月入学は個人的にありだと思うのです。世界も9月入学が多いわけだから、世界のスタンダードに人材も含めて合わせるということはいいことです。ただ、いまやることかと思うのです。これは就職や試験など、社会生活が全部変わって来ます。何より、ついこの前に英語検定試験がなくなって、誰がいちばん苦しんだかと言ったら、生徒たちなのですよ。
飯田)それに向けて準備して来たのに。
鈴木)準備を一生懸命して来たのに、それが吹き飛んでしまった。そのことだけで、どれだけ生徒やその親が動揺したか。このコロナの最中に、9月入学が議論もなく進んで行くのは違うと思います。このタイミングだからこそやらなければ変わらないと言う人がいますが、しっかり議論する話で、すぐにやるのはどうなのでしょうか。いろいろなところに影響が出ます。それよりも、まずはインターネットを使って教育の遅れを取り戻すなど、そういうところにお金をかけるべきではないでしょうか。
飯田)さまざまなご意見をいただいています。横浜市の元大学職員、72歳の方からは、「9月スタートの検討ですが、文科省を中心とした役人や教育委員会の皆さんではなく、実際に現場で仕事をしている教員や職員で、テーマ別のプロジェクトチームを組んで検討するというのはどうでしょうか」。現場でどう運用するのかは、確実に問題になりますものね。また岡山県岡山市のラジオネーム“昭和のおっさん”さん、58歳の会社員の方。「東京の大学に合格しても授業は地方で、ネットで受講できれば若者の東京一極集中は避けられるのではないでしょうか」。確かにネットを使っての新しい授業のやり方として、29日に東京外語大の篠田英朗さんのコメントが出ましたが、チャット機能があるので学生の質問がしやすくなって、コミュニケーションがとりやすくなる部分があるのではないかという指摘がありました。
鈴木)そういう方に、いまはお金と知恵を使うべきではないでしょうか。9月と言うけれど、9月に収束しなかったらどうするのか。またそこから1ヵ月休校するのですか? これは大事な議論だけれど、いまこのタイミングでやるのはどうかという気がします。
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