緊急事態宣言を全面解除~今後どう外国と付き合って行くべきか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月26日放送)にジャーナリストの有本香が出演。緊急事態宣言の全面解除と今後について解説した。
安倍総理、緊急事態宣言の全面解除を表明
安倍総理)本日、緊急事態宣言を全国において解除いたします。
安倍総理大臣は25日に記者会見を行い、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言について、北海道と首都圏、東京・埼玉・千葉・神奈川の計5都道県で終了すると表明した。これで全都道府県の解除となる。
飯田)発令してから49日間ということで、総理は感染者の増加のスピードが再び高まれば、2度目の宣言の可能性もあることを指摘しています。
今後、日本は外国とどう付き合って行くのか
有本)これまで安倍総理は節目節目で会見をされて来ましたが、そのなかでは、比較的お疲れが見えなかった気がします。いままでは、総理がかなりお疲れだった雰囲気もありましたが、何となくさっぱりされたような印象を受けました。なぜ私がそう言うかというと、解除するのは、これで終わりということではなく、ここから新たに始まるということです。新しい生活様式ということを随分とおっしゃっているけれど、人との距離を取ることや手洗いをすることは国民が身につけて来ています。いま問われているのは、政治的に「これから日本がどう外国と付き合って行くのか」ということも、新たに構築して行かなければならない岐路に立っていると思うのです。今回、外国から疫病がやって来たことに対して、国境を閉めるかどうかという判断が、残念ながら日本は遅かったと私は思っています。そこから始まったのですが、国民の総合力、特に現場で医療を支えてくださった方々の努力によって、ここまで来ることができたのだと思います。私たちのようにある程度外出が自粛できる方はいいのですが、そうではないお仕事の方々。
飯田)物流の方々も、ですね。
有本)物流の方々を見ていると、すごく荷物に気を遣ってくださっているのですよね。こんなことをするのは日本しかないと思いました。
飯田)手袋をして、あるいは「サインもいいです」とか。
有本)あんな気配りをしてくださるのは日本しかないわけです。そういう総合力で乗り切ったのですけれども、早くも国境を開けようだとか、これは外国との付き合いではないけれど、旅行市場を何とか元に戻そうとか。とにかく元に戻すことに前のめりになっているけれど、そうではないのです。ここで立ち止まって、日本はどのように世界と関わって行くのかということを考えなくてはならないのです。世界はいま非常に緊迫した情勢へ向かっています。そういうことも含めて考え直さなければいけない時期に来ているのですけれども、安倍総理があまり疲れた感じでいらっしゃると、ここから始まることに国民も力が出ないというところがありますから、それは問題になります。もう1つは、「ステップ1」「ステップ2」という言い方も法律の建付け上、こうだと規定はできないのですが、少しわかりにくさはありますよね。
各国の出口戦略
飯田)3週間に一度見直すと。観光は県内で、徐々にとか、どうしたらいいのかいま1つ、具体的に見えて来ないですよね。
有本)諸外国はロックダウンみたいな強いことができるから、その分、解除のときも極めて具体的です。例えばイタリアでは、同じ州内の親戚の家だけは訪問していいとか。
飯田)友達の家は行くなと。
有本)今回いろいろな反省点があると思うのですが、イタリアは長距離バスを予約するときには特定のアプリで予約してくれと。先ほど飯田さんが台湾のプロ野球の話をしていらっしゃいましたが、どのように人の動きをモニターするのかということですよね。
飯田)台湾はプロ野球の入口のところで実名を出して、どこへ行ったかも全部提示させるそうです。
有本)台湾の場合は、感染ルートを追うための問い合わせに対して虚偽の申告をしたら、100万円くらいの罰金ですからね。そういう事例も含めて、こういう事態のときにある程度いろいろなことに制限をかけるという法律の整備を、今後どうして行くのかですね。あるいは人の動きをトレースするために、いろいろなシステムがあるわけではないですか。それをどのようにうまく使うかということですね。給付金等々を速やかに出すためにも、マイナンバーとの紐付けの問題など。日本は、個人を国や行政が掌握できない状態が続いて来ました。人権や自由との兼ね合いもあるのかも知れないけれど、非常事態に陥ったとき、どのように速やかに掌握できるのかということですよね。
さまざまなことを抜本的に判断してやり直すべき~さらに毒性の強いものが来た場合、「日本モデル」では対応できない
飯田)私権の制限が非常にしづらいというか、ほぼ不可能に近いような。それを世の中の空気を変えることで行動を変えた。日本モデルと言えないこともないけれど、やはり少し窮屈だったところはありました。
有本)「空気を読む」という日本人特有の能力を最大限発揮しての日本モデルですから、他の国はまったく参考にできないのがこのモデルです。そういう意味で、そのままでいいのかということです。それと、今後もう1度国境を開くタイミングをどうするのか。水際での検疫の体制を抜本的に考え直すところに来ているのではないか。観光も、いままでのようなイケイケのインバウンドでいいのかどうかです。こういうことを、もう1度総合的に判断して、新たにやり直すスタート地点に立ったということではないでしょうか。
飯田)それこそSARSのときは日本へ来なかったけれど、今回、日本に入って来たというのは、国境を開いて外国人がたくさん来るような形にしたというのが、原因としてあるのでしょうね。
有本)ありますね。SARSが感染拡大した2003年といまとを比べると、中国の渡航者は20倍くらいになっているのではないでしょうか。いまは年間1000万人が来ていますが、あの当時は、年間50万人くらいだと思います。しかも、ほとんどがビジネス渡航を中心としていて、一般観光客の方はいらっしゃらないから、日本に入ってからの移動距離も全然違うわけです。
飯田)ビジネスだったら1つの都市で終わりますものね。
有本)そうです。今回は幸いにしてと敢えて言いますが、日本の場合は、日本モデルと後付けで言っていることで乗り切ることができました。しかし、もっと強毒性、感染力の強いものが入って来たときには、この限りではないと思った方がいいですよね。
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